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第37話 打ち解ける仲。視点、皇二

 汗と柔軟剤、そして女の子特有の甘い匂い。

それらが混ざり合い、鼻水をすすると鼻腔を通った。

柔らかい感触、メリディアナの鼓動。

それらを感じるたび、だんだんと恥ずかしさのボルテージが上昇していく。

あれ、俺って今天使とはいえ同い歳のような見た目の女子に抱き着いて......。


「皇ニ!」


 だ、誰か来た!?

不意に俺は彼女の身から距離をとり、立ち上がった。

声の方を振り向くと、そこには着崩れした服を着た母が立っていた。

母は俺を確認すると駆け足で抱擁してきた。


「心配だった。今までごめんなさい、私あなたたちのこと考えていなかった」


 震えた声でそう喋る親に、ただ棒立ちした。

漸く……漸く、俺のことを息子として見てくれた気がした。


それから数分が経ち、ハンカチで目頭についた涙を拭き取り終わると、母は落ち着きを取り戻した。


「そういえば、メリちゃんも皇二のこと探しに?」


 母がそういうと、メリディアナは「はい!」と返事をした後続けて何かを話そうとした。

その瞬間、俺は彼女の口を塞いだ。


「メリディアナ、俺が不良にボコられてたこというなよ? また心配されるだろ?」


 そういうと、彼女はなるほどと頷いて反応する。

俺はそれを見て、彼女から離れた。


「えっとですね、あぁーうーん。あぁ、そうです! 皇二さんがお家に帰りたいと泣いていたので、こうよしよしと慰めてたんですよ」


「メ、メリディアナ!? 何言ってんだよ!」


 こいつ、嘘に微妙に事実を加えやがった。


「違う、違うからね! たまたま帰国してきたこいつに会って、喋っただけだから」


「いや違いますよ! ほら叔母様、ここに皇二さんの鼻水とか涙がついてるでしょ?」


 メリディアナが追い打ちをかけるように口走り、俺は思わず再び彼女の口を塞ぎに入る。


「お前、軌道修正しようとしたのに何してんだよ!」


 そういうと、彼女はぷくっと頬を膨らませて苛立ちを表す。


「皇二さん、それはこちらのセリフですよ! せっかく上手い噓考えたのにーもう」


「それのどこが上手いんだよ! 俺がホームシックで女の子に慰められてたとか、恥ずかしすぎるだろ!」


「知りませんよ。実際私のこの懐で泣いてたじゃないですか!」


「うわーやめてくれ、恥ずかしい!」


「ふふっ」


 口喧嘩がヒートアップし、俺はいつのまに声量が上がっていたことを忘れていた。

母親の小さな笑い声が耳に入り、すべてが公になってしまったことに愕然とうろたえるしかなかった。


「皇二、あなたそこまでメリちゃんと仲良かったのね。あなたがそんなにお喋りしている姿、初めて見たわ」


「確かに! 私もこんなに皇二さんと会話したのは初めて? もしかして、皇二さん私のこと好きなんですかぁ?」


 な、何言ってるんだこいつ!?

でも、俺今気づいたけどこんな喋れたことなかったような。

もしかして、本当に意識しているのか?

いやいやいや、こいつと出会ってから色々ゴタゴタ動き回ったからだろう。

そうだ、それに違いない。


「皇二さん、もしかしてまだ怪我があるんですか?」


 沈黙し、自身について考察していると彼女は懐近くに迫る。

そして、心配そうに上目遣いでこちらを見つめて来た。

その瞬間、俺の瞳に初めて間近で彼女の顔がくっきりと写る。

チラリと見るだけでも、整った顔をしていて美少女なのはわかっていた。

しかし、こうまじまじと見ると否定した判断が揺らぐような感覚になる。

落ち着け俺、冷静になるんだ。


「まぁとりあえず無事でよかったわ。2人とも、一緒にアパートに行くわよ」


「「アパート?」」

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