詩集 第一篇 哀人、二百余人の夢、ぽつん
私が時折書き留めている詩集をまとめてみました。
どうぞお楽しみください
一、哀人
幾時代か昔のことです
灰色の戦争ありました
幾時代か昔のことです
灰色の死者は英雄になりました
幾時代か昔のことです
彩色の峰にて助けがありました
幾時代か昔のことです
土竜の城にて風船が弾けました
幾年か昔のことです
飛ぶ船ができあがりました
彼の店主は誇らしげに
「何時ぞやの災禍、この目で見たり」
私の珈琲はもう冷え切っています
過去追い人とは、かくも哀しき
二、二百余人の夢
夢追い人とは等しく罪人
彼は空を眺めて憂いている
道半ば、彼の夢は
いよいよ諦めがついたようです
あゝそうかい。
語るべくもなし、私は瞳を閉じる
彼が罪に科されることはなくとも
彼が背負う罪は何者よりも……
俺は海に……
彼が言って、私も……
墜ちる夢追い人は何を思う
きっと、恨むことでしょう
申し訳ございませんでした
今にそちらへ、とはならず
数刻待たせます
どうぞお許しを
三、ぽつんと……
山が化粧を始めた
ふと窓の外見てぽつん
あゝ私もしないとな
ふと鏡の中覗いてぽつん
鳳仙花が咲いている
ふと窓の外見てぽつん
あゝ爪紅を塗らないと
ふと棚の中見てぽつん
今日は久々に浮かない顔だ
そこに一つ、線を無理矢理つーっ
君はいつもガスマスクをはめて
私にその顔一度も見せてはくれやしない
やれやれ、はあ
ほら見てみなよ
今日もどうせ、雨だ
最初の作品はお気づきかもしれませんが中原中也のサーカスを読んでいた時に思いついたものです。あれには遠く及びませんが、ここはひとつ、ご容赦を。
二つ目は私の中で最後まで枠が無かった作品になります。
三つ目は私があまり書かない恋心ですね。楽しめましたでしょうか。
こういった詩集は本当にふと思いついた時に書くもので、ある程度ストックがたまったら、今回のように3個前後を投稿しようかと思います。