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【本編完結】便箋一枚分の距離〜妹に婚約者を奪われた私が、神様への嫁入りという名の生贄にされた結果、幸せになる話〜  作者: 時雨オオカミ
寡黙な神様と生贄令嬢

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12/30

幕間・積もる幸せのメッセージ

『おはようございます。


 本日の朝食の献立は白パンのトースト、ベーコンとベイクドビーンズ。スコーンとイチゴジャム。紅茶となっております。


 人狼様、本当にこれでよろしいのでしょうか? 

 お体が大きいのですし、もう少しお食事を摂ったほうがよろしいのではないかと思うのですが。


 私のほうでは、取り寄せていただいたトヨアシハラのお料理にも挑戦してみたいと思います。


 それでは、お仕事にいってらっしゃいませ』



 ……



『お帰りなさい! 


 昼食はトヨアシハラのお食事を試してみました。

 献立は白いごはん、なめこのお味噌汁、肉じゃが? というもの。それから、小松菜とちくわの和え物、きゅうりの浅漬けというものです。


 地から育つお野菜は農民の食事として嫌う貴族もおりますが、人狼様はいかがでしょうか? 私はあっさりとしていて、結構気に入りました。トヨアシハラのお料理は素材の味をそのまま活かしたものが多いようですね。


 もし、お肉のほうがお好きでしたら、そう言いつけてください。

 トヨアシハラの美味しいお肉料理を探してみます。


 それから、おやつにミートパイを作りました。氷室の手前で保管してあるので、お手隙の際に召し上がっていただけたら幸いです。


 本日はお天気がよく、日差しが入ってきていたのでお洗濯がはかどりました。太陽にめいっぱい当てられて、ふかふかになっていると思います。人狼様の毛並みと同じくらいふかふかですよ! 


 朝の見回りお疲れ様でした』



『お帰りなさい。


 夕食は―― 』



 便箋の数が増えるたび、男の微笑みが増えていく。

 相変わらず布を深く被って銀の髪を隠し、決して彼女と目を合わせられることがないが、それでも彼はこの手紙を大切にしていた。


 大切にして、お守りのように持ち歩いたり、保管をしている。

 その数はゆうに二十を超え、女が嫁いできてからひと月ほど経った頃。


 ――とうとう男は震える手で筆を執り、新しい便箋に滑らせた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ぷるぷる [一言] しっかり〜 がんがえ〜! 初めてのお使い系の番組を彷彿とさせられます。 ハラハラw
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