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一件目

「今日もお仕事頑張ろー!今日はどんな人が死んだかなー?」

 彼はそう言うと、手元の書類に目を通した。

「ふむ?第一印象はよく居る良い人、かな。うん!今日は楽そう!どうぞ入ってー。」

 彼は心の中で善人aと名付けた人を呼んだ。

「はい、よろしくお願いします。」

 今にも消えそうな声で返事をした彼女はびくびくしながら部屋へ入ってきた。

 ボク...こういうタイプ好きじゃないんだよなぁ。

「キミ、そんな演技が神であるボクに通じるとでも思ったのかな?そーゆーのボク嫌いだからやめてよね。」

 

「あら。バレてたの。さすが神、といった所かしら?」

 

 うわぁ。引くわー。転生先男尊女卑の世界にしたろ。

 

「はぁ、もうキミの転生先決めたからさっさと転生しちゃって。」

 

「えぇ、もちろんこの私に相応しい素晴らしい世界なのよね!」

 

 よし、ちょっと騙してやろう。ひひ。このくらいの角度で微笑んでと。

 

「あぁ。もちろんキミに相応しい素晴らしい世界さ!それにキミは記憶も残してあげよう。」

 

 いっしっし。ひゃー面白そー。楽しみ〜。

 

「そう。じゃあまた会いましょう。」

 

 あぁん?

 

「ウンソーダネー」

 

 また会える訳無いじゃーん。あっかんべー。

 

 女性は苦難の道へと、ウッキウキで旅立っていった。

 

 

 あーあ。あいつきーらいー。え?大人げない?チッチッチッ。ボクは15才ですぅ。大人じゃありませーん。わっはっはっ。...次やるか。

 

 

 彼は書類に軽く目を通すと、とある文字が飛び込んで来た。そこには『同性愛者ゆえに周囲から孤立』と、記されてあった。

 

 胸糞悪いな。はぁ、もー人間ってこれだから嫌なんだよねー。神の世界(アルスガルド)はそんな事関係なく愛は愛なのになー。

 可哀想な奴。

 

「どーぞ」

 

「はい」

 

 ハキハキとした声で返事をした彼女は、優雅に入ってきた。

 

 うーむ。貴族制度のある世界が向いてるかも?

 

「こんちゃーっす、死因何だったの?事故死?」

 

「いえ、...友達との心中です。」

 

 ふーん。いいね。恋人の為なら自分の信仰している神にさえも嘘をつく、か。少しお節介してみーよう。

 

「ねぇ、キミその恋人トモダチにもう一度会いたくなぁい?」

 

「会えるのなら、会いたい。もう一度、あの娘に...」

 

「じゃあこの紙にその恋人トモダチの名前と死んだ場所、あー出来れば死因も書いてね⭐︎」

 

 死因は書きづらいかなぁ?流石に恋人だもんね。

 

 しかし、彼の予想に反して彼女は顔を綻ばせて、歌いながら書いていった。彼が少し覗き込んでみると死因の欄だけ、びっしりと事細かに書き上げられていた。しかし、名前の欄だけはいまだ空白だった。

 

 あれ?そういえば、何故『あの娘』と呼んだのかな?『友達との心中』に嘘を感じたけど、友達だけで無く心中も..?あー。そーゆー事。

 

「終わりました。これで、逢えますよね?」

 

「...もちろんさ!ちゃんとキミの希望通りに会わせてあげる。それに、キミの事が気に入ったからキミの理想郷に行けるように推薦してあげるよ!」

 

「まぁ。ありがとう。貴方には感謝してもしきれないわ!」

 

 ボクが上手いこと騙されてくれたから?くふ。はぁー。この性格の捻じ曲がった奴がどうなるのか楽しみだ。

 

 さて、百合んとこ行かなきゃなー。...百合の神だから百合ってどんなセンスなのかなー?ま、いっか。ちゃちゃっと行ってこよー♪おっつかい。おっつかい。

 

 彼は神の単位で100メートル先、貴方達人にとっては10万km先へと、転移した。

 

「やぁっほー」

 

「うっさい!今、あの子達がくっ付きそうだったのにびっくりしちゃったじゃない。あんたのせいよ!」

 

「ひょえー。どうどう。新しい娘ココに入れたいんだけど、空いてる?」

 

「そうねぇ。今空きが少ないのよ。その娘、どんな娘達なの?」

 

「えー?一人は殺されて、もう一人はその娘を殺した後自殺したよー」

 

「え......救いようのないクズじゃない。まぁでもそれも愛の形よね!ただ、ほら編入じゃない?そうなると試練とかこなして貰わないといけない決まりなのよ。大丈夫なの?」

 

 そりゃあ殺された娘は駄目なんじゃ無いかなぁ一回聞いてみるか。

 

「確認とってくる!またねー」

 

 彼はそう言って殺された娘、真里の所へと飛んでいった。

 

「やほー。姉ちゃん!姉ちゃんが真里ちゃんの担当だったんだ!」

 

「どうしたの?確かに真里ちゃんを担当しているけれど...」

 

「今ねーその娘を百合んとこに送ろうとしてるの。」

 

「この娘、そうなの?そんな素振りは微塵も無かったけど」

 

「あーと。それは...かくかくしかじか」

 

「へぇ。それ面白いわね。良いでしょう。協力してあげる。はい、真里ちゃんの書類。」

 

「ありが__。あっ!真里ちゃんに確認取りに来たんだった!真里ちゃんいる?」

 

「いるわよ。呼んでくるから少し待ってて。」

 

 いやぁ。今回はボクのお手柄だね!うんうん。こんなに素敵な玩具だもん!優遇してあげなきゃね。うふふ。あっでもアニメのが近いかなぁ?どちらにしろ楽しみだなぁ。もしかして、この娘達の様子を投稿したらバズるかな!1儲けだー。やったー!

 

「ほれ、真里ちゃん。」

 

「よし、キミは自分を殺した相手好きー?」

 

 恨んでるかな?普通なら。

 

「何を当たり前の事を。あの快感は人生初でした!」

 

 そっちかー。ふぅ。

 

「じゃあその人にまたあいたい?」

 

「もちろん!逢えたらお付き合いしたいです。」

 

 おぉ。ヤバイ奴同士のすれ違いだ。うーん。でも殺されて無ければ、愛して無かったのかなぁ。ま、いっか。

 

「ふっふっふー。この、優しい!ボクが!会わせてあげようでは無いかー!感謝しろー。」

 

 すると、彼女は頬を上気させ、その美しい瞳を潤ませて感極まった声で小さく返事をした。

 

「はい。私の中でこれ以上の悦びは在りません。」

 

「じゃー早速飛んじゃおぅ!3、2、1、ゴー!」

 

 彼は百合の待つ部屋へと転移していった。

 

「あら?随分と早いじゃない。大丈夫?洗脳とか、拷問なんかはして無いわよね?もし、していたら...私...」

 

「あわわわ。だ、大丈夫だから。してないから。ほら見てよ。彼女のこの笑顔!まーんめんの笑みでしょ〜。」

 

「んー。つまり、洗脳した..という事でいいわね?」

 

「いやいやいやいや、そんなまさか!ほら!見て。ね?魂にボクの跡無いでしょ?」

 

「無いわね。えぇ。信じ難いけれど本当なんでしょうね。」

 

 彼女は美しい額に皺を刻みながら頷いた。

 

「ふぅ。それならこっちで受け入れるわ。」

 

「ありがと!」

 

「ふふっ。ただ、やっぱり元々ここでは無かった以上、テストは受けてもらうけど。」

 

「彼女達なら大丈夫なはずさ!何てったって殺し、殺されても愛し合ってるんだもん!」

 

「まぁ、そうよね。頑張って貰いましょう。」

 

「じゃあ、彼女達は預けるよー。ボクは仕事に戻るよ。ばいばーい。」

 

「えぇ、昇進目指して頑張ってね。また今度。」

 

 彼は転移して、また次の仕事をこなし始めた。

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