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ドクター オア アーティスト

作者: 龍

今日来た客の連れで、すげー暗い奴がいた。俺は暫く黙って見てたけど、スタジオの隅っこで体操座りして、少し俯き加減で...。身体中から負のオーラ出まくりだった。髪はボサボサ、目は虚ろで、誰が見ても引きこもりの冴えない奴で、俺は施術に集中してたけど、余りにもスタジオ内がどんよりしてきたんで、「お前が居たら雰囲気悪くなるから帰れ」って言ったら、何も言わずに帰って行った。そん時はそれで終わったんだけど。

数ヶ月経って、急に坊主頭になったそいつが1人でスタジオに来て、「俺に墨突いて下さい」って。何があったか知らねーが、何かを決心した強い目で俺を見てきた。まぁ、客で来るならと思い、一通り説明してやった。

余りの痛さで途中で逃げる奴も居るし、金も掛かるし。それでも、やるって言うから、打ち合わして施術の日を決めた。当日、俺は多分来ないんじゃ無いかな?って、思ってたけど、そいつは時間通りに現れて、少し感心した。それから、ファーストタトゥーが突き終わる頃には、そいつに変化が現れた。あの、スタジオの隅っこにいた奴が、すげー笑顔で周りの客と話す様になってた。ほんの少しの勇気と、ほんの少しのきっかけが奴を変えたんだろう。

俺はいつも通り淡々と仕事をこなす。

俺が彫ったタトゥーが奴を変えたなんて

そんなおこがましい事は考えない。奴が自分から変わっただけ。これが俺の日常なんだ。

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