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第七話【旅立ち】

「そろそろレベル上げも飽きてきたな」


 金属スライムを軽いジャブで倒しながら、瑠璃がつぶやいた。


 結局五年もの間、一度も外に出ることなくこの第一階層でレベル上げをし続けていた。


 今現在の年齢は23歳。

 もう立派な大人である。


「にしても、結構長い間この階層にいるのにもかかわらず、一度も人に会っていないのはどういうことなんだろう」


 瑠璃は知らないが、セカンドステージと呼ばれているここへ入るには、全1000階層で構成されているファーストステージをクリアしないといけない。

 そのため彼が人の姿を見ていないのも当然と言える。


「ランキング二位以下の人も結構レベルが高いんだし、勇気を持ってきてみればいいのに。……ここ、めちゃくちゃいい所なんだけどな」


 瑠璃は走って敵を探しつつ、続ける。


「まあ誰にも獲物を横取りされないし、レベル上げがしやすいからいいんだけどさ」


 移動しながらどんどん魔物を蹴り飛ばして絶命させていく。


 魔物からすればいい迷惑だろう。

 彼の進行方向にいるだけで殺されるのだから。


 瑠璃は走りながらステータス画面を表示した。

 

 


 

【琥珀川 瑠璃 男

 Lv355572

 

 HP 1358630

 MP 50

 攻撃力 2935050

 防御力 700050

 素早さ 700050

 賢さ 50

 幸運 50

 

 所持スキル一覧

 

 HPアップ Lv176572

 攻撃力アップ Lv179000】

 

 

 

 

 見てわかる通り、瑠璃のレベルは普通ではない。

 ほとんど眠ることなく無差別に魔物を倒し続けていた結果、気づくとここまで上がっていたのだ。

 途中からは全力を出さなくても金属スライムをワンパンできるようになり、移動速度も格段に成長していたため、狩りの効率がどんどんよくなってきていた。

 

「さてと、レベル上げも十分だし、そろそろ次の階層へ行ってみますか」


 瑠璃はこの五年間で、第一階層を把握し尽くしていた。

 その結果、かなり広いことがわかっている。


 端から端まで歩いて三日以上はかかる距離だ。

 瑠璃であればのんびりと走ってわずか10分ほどなのだが。


「じゃあね、金属スライムたち! 君たちのおかげでかなり強くなれたよ」


 そう言い残し、彼は走り出した。


  ◆ ◇ ◆


 ほぼ同時刻。


 大規模ギルドの天神ノ峰団が、この大草原へとやってきた。


 総勢で30人ほどいて、そのうち5人は武器を持っていない代わりに大量の荷物を運んでいる。

 戦闘を行う者と荷物持ちを分けているようだ。

 パーティならではだろう。


 ちなみに、倒した魔物から得られるドロップ品以外はアイテムボックスに入れることはできない。

 ゆえに食料や武器、テントなどは自分の手で運ぶしかないというわけだ。


 瑠璃に関しては武器も寝床も必要ないため、ひとりでも十分成り立っているのである。


「うっわ、なんだここ!? 本当にダンジョンの中かよ」


 赤髪の赤松が驚きの声を上げた。

 

「すっげぇー。雲や太陽があるぞ」


「ここ、実は外なんじゃねぇのか?」


「これより未知のセカンドステージの攻略を始める。みんな、気を引き締めていくぞ!」


「「「「「はい!!」」」」」


 村雨の言葉に、メンバーが全員揃って大きく返事をした。


 彼らは知らない。


 つい数分前までこの周辺に琥珀川瑠璃がいたことを。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「一応魔物の死体が大量に転がっているのだが、」とありますが、金属スライムでは直ぐに消えたはずですが・・。
[気になる点] セカンドステージのモンスターはすぐに消えちゃう設定だったのでは?
[一言] ニアミス悲しい
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