第十三話【ボーナスステージ】
第五階層。
一、ニ、三階層目と同じく、オリハルコンで構成された円形の部屋。
正面に大きな扉が見える。
造りは全く同じなのだが、今までとは明らかに異なるもの。
なぜか大量のスライムがうろうろしていた。
「なんだこいつら」
ほぼ透明な水色に輝くスライムたちを見つめながら、瑠璃がつぶやいた。
小さいやつと、巨大なやつと、空中に浮いている羽の生えたやつの三種類がいる。
「部屋の色と同じなので……オリハルコンのスライムでしょうか?」
「とりあえず一匹倒してみよう」
そう言って彼が近くにいた小さいやつを倒した直後、二人の頭上からレベルアップの音が響いた。
「あれ? 私さっき上がったばかりなんですけど」
「……」
「ということは、経験値がすごいんじゃないんですか?」
「……」
「ん、瑠璃さん? ……って、めっちゃ嬉しそうですね!?」
彼は鬼のような笑みを浮かべていた。
「月、部屋を壊さない程度に暴れるぞ」
「は、はい!」
そんなやり取りをし、二人はオリハルコンのスライムを次々と倒し始める。
その様子は、まさに蹂躙と呼ぶにふさわしかった。
少しして。
「なぁ、月」
「なんでしょう?」
「ここって確実に今までで一番レベル上げの効率が良いよな?」
「はい。間違いないですね」
「倒すたびに光の粒子になって消えていくから、死体が溜まることがないし。すぐに新しい相手も出現するみたいだ」
「なにより、レベルの上がり方が半端じゃないです!」
瑠璃は羽の生えたスライムを殴りつつ、口を開く。
「というわけだから、しばらくの間ここでレベル上げをしよう。俺の気が済むまでは離れないからな?」
「はぁ……。また何年も先に進めないような気がしてきました」
「さすがにこんな恵まれた環境はもう二度とないだろ」
「ま、私は瑠璃さんについていくと決めたので、文句はないですけどね」
「よし。二人で協力して頑張ろう」
「おぉー!」
ここはいわゆるボーナスステージのような所だった。
オリハルコンを破壊できる力さえあれば、誰でも効率良くレベルを上げることが可能で、一気に強くなれる。
そのオリハルコンを壊せるほどの攻撃力を持っている者がかなり限られるため、現状ここでまともに狩りを行えるのはこの二人だけなのだが。
一番小さいサイズのスライムですら白竜の何十倍も経験値を持っているため、とにかく効率の良さが半端じゃない。
加えて、倒していくごとに新しい敵が無限に湧き続けるのだ。
レベル上げが趣味の瑠璃にとって、これ以上の楽園は存在しないだろう。
瑠璃と月は、会話をしつつも楽しそうにオリハルコンのスライムを狩り続ける。
腹が減ったらひとつ上の階層へと戻って魔物の肉を食らい、眠たくなったらそのまま眠りにつく。




