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第四十五話【絶対神】

 瑠璃が目を開けると、そこは真っ白な空間だった。


 扉どころか、床、天井、壁の概念がない場所。

 

 ただひたすら白が続いている。

 

「なんだここ?」


 瑠璃は辺りを見渡す。

 だがしかし何もない。

 

「クリスタルに触れて、気づくことここにいて。……月はどこだ!?」


 探し求めている彼女の姿が見当たらない。

 

『やぁ、はじめまして!』

 

 突然、どこからともなくそんな声が聞こえてきた。

 少年のようなかわいい声質。

 いわゆるショタボというやつだ。

 

「誰だ?」


『ぼくは絶対神。よろしくね』


「ぜったいしん?」


『今日は君と話してみたくてちょっと転移用のクリスタルに細工をさせてもらったんだ』


「俺以外にもう二人いただろ? あいつらはどうした」


『あの二人にはそのままサードステージの最下層へ行ってもらったよ』


「……今すぐ俺もそっちに転移させろ」


 瑠璃は自分なしで月を行かせたことが心配だった。

 

『ちょっと待って。どうしても君に言いたいことがある』


「なら早く言え」


『そう焦らないで。……えっとね、このままだと君に勝ち目はない』


「は?」


『もう少しあとのことになるだろうけど、君は死ぬ』


「何が言いたい」


『どう言ったらわかりやすいかなぁ。……この仕組みのなかで君がどうあがこうと、あの子に勝てる可能性はゼロだ』


「仕組み? あの子?」


『詳しいことは教えられないんだけど、とにかくぼくは暇つぶしで君のことを観察し始めてちょっと気に入っているんだ。だから死んでほしくない』


「俺が俺以外のやつに負けるとでも?」


『確実にね』


「……やってみなくちゃわからないだろ」


『わかるよ。ぼくは絶対神だから』


「胡散臭いやつだな」


『君に渡したい物がある』


「なんだ?」


『ぼくが作った指輪。君の指につけておくよ』


 その言葉と同時に、瑠璃の左手に銀色の指輪がはめ込まれた。

 

「いつの間に」


『ぼくは絶対神だから、なんでもできるんだよ』


「で、この指輪はなんなんだ?」


『ふふっ。教えないほうが面白そうだから教えない』


「はあ? なんだそりゃ」


『でもきっと面白いことになると思うよ。だから外さないでね』


「……お前はなんのために、この指輪を俺に渡したんだ?」


『暇つぶしになりそうだから』


「絶対神とやらはそんなに暇なのか?」


『暇だよ~。だからたまに面白そうなシーンが見られないかなぁって思いながらお気に入りの子を探しているんだ』


「ふ~ん。それが俺ってことか」


『あ、そろそろ行くね』


「自分から呼んでおいて勝手だな。暇なんじゃなかったのか?」


『別の異世界の面白い子がいないかサーチしに行くんだ』


「ま、どっちでもいいや。それじゃあもうサードステージの最下層に送ってもらえるのか?」


『うん。……あ、あと最後にひとつだけ言わせて』


「ん?」


『またこうやってお話ししたいから、今度は君から会いにきてよ』


「は? どうやって?」


『そのうちわかる』


 その言葉をきっかけにだんだん瑠璃の視界がぼやけていく。

 

「あ、おい──」

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