第四話【第一階層】
瑠璃は歩いてダンジョンの入り口前へと戻ってきた。
「夜なのにもかかわらず、昼みたいに明るい所だな」
周囲の屋台や建物から発せられている光が、この辺一帯を明るく染め上げていた。
そして相変わらず人口密度が高い。
だが新しく出現した階段の周辺には、なぜかあまり人がいない。
「……みんなもうあの中に入って攻略を始めたのかな?」
そう言って首を傾げる瑠璃。
実際は誰もファーストステージであるもうひとつのダンジョンをクリアしていなかったため、進める者がいなかっただけなのだが、彼はそのことを知らない。
「だとしたら出遅れた。急ごう」
瑠璃は真っ白の階段を下りていく。
少しして。
クリスタルの前に到着した。
「これに触れればいいのか?」
前のダンジョン内で何度か見たことがあるため、瑠璃はこれがすぐに転移用のクリスタルだと気づいた。
躊躇なく手を伸ばして触れた瞬間、クリスタルの前から彼の姿が消滅する。
◆ ◇ ◆
瑠璃が目を開けると、そこには大草原が広がっていた。
「うっわ、なんだここ!?」
風が吹くと同時に草が揺れ、どこからともなく鳥の声が聞こえる。
空を見上げれば青空が広がっていた。
雲や太陽もある。
「外じゃ……ないよな?」
遠くには巨大な湖と森があり、見た感じダンジョンのような気がしない。
だけどそこら辺に魔物がいることから、やはり外ではないのだろうと瑠璃は判断する。
「とりあえず湖に行ってみるか」
そう言って彼は歩き出す。
「ガルルルゥ」
進み始めてすぐ、真っ赤な双眼の狼が襲ってきた。
「シュッ!」
「キャンッ」
瑠璃が顔面に軽めのジャブを入れると、狼は地面に倒れてそのまま動かなくなった。
「……なんだこいつ。弱すぎだろ」
本当にここがセカンドステージとやらなのか? と彼は疑問に思う。
あっちのダンジョンの最下層付近はもう少し手ごたえがあった。
「もしかすると、ここはたまたま新しく出現したダンジョンで、本物のセカンドステージは別にあるんじゃないか?」
実際はここがセカンドステージで正解なのだが、あまりの魔物の弱さにそんなことを思う。
「ま、もう少し進んでみよう。この狼が弱いだけかもしれないし」
というわけで瑠璃は再び湖に向かって歩き出す。




