第十八話【第32階層】
第32階層。
階段を下りていくと、小さな部屋にたどり着いた。
家具や小物がきちんと整頓されており、清潔感がある。
壁や床、ドアなどがオリハルコンでできているようだ。
「楽なパターンの階層だな。今なら月でも余裕で壊せるだろ」
瑠璃がドアへと向かいながら言った。
「瑠璃さん。ちょっと二人で協力して鍵を探してみませんか?」
「えぇー……」
「そんなに面倒くさそうな反応しないでくださいよ。最近レベル上げしかしていなかったせいか、なんとなく頭を使いたくなったんです。それに、四次元の思考回路を持つ瑠璃さんにかかれば簡単でしょ?」
「おう、まあな」
「というわけで、さっそく謎解きチャレンジですね!」
「お前元気だな」
「私、絶対瑠璃さんよりも活躍しますから」
「言ったな? 上等だ」
「頭は私のほうがいいってことを証明してみせます」
「無理無理、諦めろ」
「むぅ~。そう言っていられるのも今のうちですよ」
月は机の前へと移動した。
「こういう脱出ゲームって、大体引き出しとかにヒントがあるんですよ」
「そうなのか?」
「そういえば今まで聞いたことなかったんですけど、瑠璃さんってダンジョンが出現する前、ゲームとかしてましたか?」
「ああ。友達がひとりもいなかったから、読書とかゲームばかりしてた。頭脳系とか脱出ゲームみたいな頭を使うやつはしたことないけど」
「へぇー」
「でもさ。ゲームをしながらいつも違和感を感じていたんだよな」
「ん? 違和感ですか?」
「だって敵から攻撃されても痛くないし、いくら経験値を稼いでも現実では強くならないし」
「まあ、それがゲームですからね」
「昔はずっと生きている感じがしていなかった。だから今は死と隣り合わせでとても楽しい」
そう言って瑠璃は微笑む。
「ちょっと楽しみすぎな感じもしますけど」
「月はどうだ? ダンジョンが出現する前と今、どっちが……て、ごめん。今の質問は忘れてくれ」
「なんで謝るんですか?」
「だって月の親はダンジョンのせいで……な」
「気にしないでください。辛くないと言ったら嘘になりますけど、瑠璃さんと出会ってからは結構楽になったんです」
「……そっか」
「だから私はダンジョンを創った人を見つけて、殺すのではなく、両親のお墓の前で土下座させようと決めたんです」
「ははっ、それいいな」
「でしょ? て、それはともかく早く鍵を見つけましょうよ」
「あ、ああ。そうだな」
月が引き出しを開けると、小さいオリハルコン製の金庫が入っていた。
透けているため、なかに鍵らしき物が見える。
「パスワードが四桁か……」
「さすがにあてずっぽうは無理そうですね」
「俺はとりあえずこっちを探してみる」
「じゃあ私は引き続き机の引き出しを」
瑠璃はタンスの前に移動し、順番になかを探していく。
一段目……何もない。
二段目……何もない。
三段目……何もない。
四段目……メモが一枚入っていた。
「おっ、タンスの引き出しにメモがあったぞ?」
「こちらにもメモがありました」
瑠璃はメモを持って机の前に移動する。
「俺のほうに①って書かれているから、おそらくこれが最初のメモだろ」
そう言って机の上に広げた。




