表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
402/428

第二百八十話【集結】

 月が病院をあとにし、大通りを歩いていると、急に誰かが目の前に立ちはだかってきた。

 上を向くと、赤髪で強面の男性。


 月は少し眉を潜めつつも、隣を通り過ぎようとする。

 しかし、


「待て」


 通せんぼされてしまった。


「むぅ……なんでしょうか?」


「なぜあんたがここにいる? まだ病院で大人しくしていないとダメだろ」


「? どちら様ですか?」


「オレはノヴァ。あんたの知り合いだ」


「……避けてください」


「無理だな」


「なんで邪魔をするんですか?」


「あんたのことが心配だからだよ」


「っ…………私はもっと強くなれなければいけないんですっ!」


「気持ちはわかるが……それで身体を壊したら、むしろ逆効果だろ」


「むぅぅぅ……」


「がるぅぅぅ……」


 不機嫌に不機嫌で対抗するノヴァ。


「………………はぁ……わかりました。諦めます」


 月は残念そうに踵を返す。

 その瞬間、──魔法で自身の身体能力を強化し、ノヴァのほうに向かって走り出した。


「──っ」


 反射的に阻止しようとするノヴァ。


「チッ!?」


 しかし足元に氷が張られていたことにより、滑ってしまった。

 月がこっそり仕込んでいたのである。

 彼女はその隙に大ジャンプをし、ノヴァの頭上を飛び越えた。

 そして、ものすごい速度で走り去っていく。


「…………」


 ノヴァはそんな月のことを追おうとはせず、むしろ嬉しそうな笑みを浮かべて、


「……まだまだ元気じゃねぇか」


      ◇


 しばらくして。


 ひとつ前の階層でレベル上げを始めた月の元に、大量の人々が押し寄せてきた。

 先ほどのノヴァだけでなく、瓜二つの双子や子連れの金髪女性、ハチマキをした集団など。

 それに加えて、統一性のない屈強な冒険者たちもいる。


 月は目の前の魔物を葬り去ったあとで、みんなのほうを向き、


「ど、どうされたんですか!? ……って、あなたは先ほどの。……言っておきますが、私はやめませんからね!」


「いや、めるつもりはねぇよ」


「えっ!?」


「今から全員であんたの手伝いをしてやる。だからオレたちとパーティーを組め」


「な、なんで……」


「説明が面倒くさいから詳しいことは省く。まあとにかく、ここにいるやつらは全員、あんたの頑張る姿に惹かれて集まったんだよ」


 そう言いつつ、パーティー申請を送るノヴァ。


「…………えっと」


 月は状況が理解できていない様子だが、とりあえず承認した。

 その瞬間、ノヴァが大声で叫ぶ。


「よし、やるぞお前らぁぁぁ!!」


「「「「「おぉぉぉぉぉ!!」」」」」


「親衛隊、隊長の名にかけて、必ずるなたんを守ってみせる!」


「副隊長として、俺も役に立つぞ!」


「ぐふふっ。久しぶりのるなたんはやっぱりかわいいなぁ~。思わずペロペロしたくなっちゃうよぉ~」


「あ~、戦いなんて数年ぶりだからワクワクするぜ!」


「俺はかつて王国最強の魔法師と謳われていたんだ。るなたんの支援は任せとけ」


「…………みな、さん」


 あまりの迫力に圧倒される月だが、両頬を軽く叩いて気持ちを入れ替えるなり「よしっ」とつぶやいた。


 その後、圧倒的な戦力によって、階層中の魔物を蹂躙していく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ