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第百九十九話【未来予知】

 輪廻はスマホをしまい、


「あと五分くらいで着くみたいだから、もう少し待ってもらっていい?」


「了解」


 とそこで、ノヴァが「あー、そういえば」と声を上げた。


「どうしたの? ノー──」


「──パンとか言ったらぶち殺すぞ?」


「あっごめん、今のはナチュラルに間違えそうになった! で、何?」


「チッ。他二人……あの特徴のないやつとその奴隷がいただろ? あいつらも一緒なのか?」


「いや、あの二人ならしばらく帰ってきてないよ」


「は?」


「ノー……ヴァくんたちがここを離れた次の日に出発したから、もう二週間くらいになるのかな? 話によれば遠くを探索するみたいだったけど、所持していた食料の量からしてそろそろ戻ってくる頃だとは思う」


「ならあいつらがくる前に出発しようぜ。オレはあいつ……男のほうの態度が好きじゃねぇ」


「ふ~ん。どんなやつなんだ?」と興味を示す瑠璃。


「見た目や雰囲気は平凡なくせに、気取った喋り方をしてくるからうぜぇんだよ」


「……そんなやつ、ぶっ飛ばせばいいだろ。お前それなりに強いんだし」


「それができればやってる」


「つまり勝てない、と。そいつは楽しみだな」


 そう言って瑠璃は嬉しそうな笑みを浮かべた。


「言ったら悪いが、多分あんたでも無理だと思うぞ。戦いの腕は大したことないくせに、妙なんだ」


「妙?」


「あー、言いたいことはわかるかも! 大して頭がよくないくせに、ウチが計算して導き出す答えを先に知ってたりするから、おそらく未来予知系の能力でも持ってるんじゃないかな?」と輪廻。


「だから、あいつとはかかわらないほうがいいぜ」


「……じゃあ待ってみるか」


「はぁ!?」


「単純に戦いたいというのもあるが、そういう人外なやつとの戦いを経験したら、俺自身もっと成長できる気がする」


「…………チッ、じゃあオレたちは先に行ってるからな」


「そうね、アタシもあいつには会いたくないし」


「「……」」


 ユイはともかく、普段は無表情を貫いている双子ですら若干不機嫌そうにしていることから、よほど嫌なのだろう。

 そんななか、輪廻だけは「う~ん」と首を傾げている。


「何か気になるのか?」


 瑠璃が問いかけると、


「いや、ノヴァくんたちがいない時は別に普通なんだけど……どうしてだろうと思ってね」


「えっ、そうなの?」


 ユイの問いかけに、輪廻は首を傾げたまま、


「まあ、その時の気分によるのかも……」


「なんにせよオレたちは無理だ。というわけで少し離れた位置にあるデパートの入り口で待っているから、用事を終えたら合流してくれ。……一応言っておくが、絶対に連れてくるなよ」


「ああ、わかった」


 瑠璃はそう返答するなり、その場でシャドーボクシングを始めた。

 楽しみで仕方がないようだ。


 ノヴァはそんな彼の様子を見て呆れつつ、仲間三人を連れてこの部屋をあとにする。

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