第十四話【再戦】
「いや、ちょっと待てよ。まさかこいつら、普通の魔物と同じで無限に湧いてくるのか?」
瑠璃は再び360度魔物に囲まれていた。
前回の魔物たちの死体がまだ残っているのにもかかわらず、全く同じメンツが揃っている。
まず最初に阿修羅が腕を三本使い、パンチを繰り出してくる。
「邪魔するな。今考え事してんだよ!」
重い体に鞭を打ってほんの少しだけ横ステップをして躱し、相手の後頭部を思いっきり殴った。
阿修羅の頭が一瞬にして破裂し、レベルアップの音が響く。
「……すごく嫌な予感がする」
瑠璃はこの時、ここが転移トラップによって連れてこられた場所ではないかと想像した。
「そういえばあの階段を踏んだ後、気づいたらここにいたしな」
事実、瑠璃の推測は当たっていた。
あの階段はダンジョンに仕掛けられていた罠であり、足を乗せた対象をこの地獄のような部屋に閉じ込めるというもの。
きちんと勉強している冒険者が慎重に確認していれば、いつもの白色とは少しだけ色が違ったため、気づけていたはずなのだが。
あいにく瑠璃はその辺の知識については疎かった。
「もし仮に階段が罠だったとするならば納得がいく。道理で魔物が強いわけだ」
明らかに今までの相手とはレベルが違っていた。
ただ、ダンジョンもまさか倒されると思って白竜たちを設置しているわけではない。
侵入者を確実に殺すためのトラップなのだから。
つまり現状でなんとか生き延びている瑠璃がイレギュラーなのだ。
瑠璃は雷と改造ゴリラのパンチを同時に避けて、大ジャンプをする。
そして、空中に浮いていたかわいらしい天使を殴って絶命させた。
レベルアップの音が聞こえる。
「もしかすると俺……やばくないか?」
落下と同時に頭が七つある大蛇の体の上に乗って全力のパンチを放つと、血が噴水のように出てきた。
レベルアップの音。
「生き残るには……えっと、何か方法はないか」
続いて堕天使と蜘蛛が混ざった魔物の上に飛び移り、心臓をパンチで貫いた。
レベルアップの音。
「こいつらを全滅させても何も起こらなかったし、出口があるわけでもない」
そもそもこの巨大な部屋のなかには、何もないのだから。
「参ったな。……これじゃあダンジョン攻略に戻れない」
この絶望的な状況でも、瑠璃は死ぬとは思っていない様子。
「とりあえずこいつらを倒しながら脱出する方法を考えるか」
少しして。
相手は残り白竜のみ。
瑠璃は相手からの攻撃を避けつつ、ステータスとスキルのポイントを割り振っていった。
今回も全て攻撃力に全振りである。
「いろいろと考えたけど、やっぱり壁とか床を破壊してみるしかないよな。そもそもここがどこに位置しているのかはわからないけども、穴を掘り続けたらどこかに出る可能性が高いし」
そう言いながら白竜の攻撃を躱していき、足元にパンチを入れる。
すると拳が相手の足に突き刺さった。
「おっ、手ごたえあり」
「グォォォ!!」
白竜が暴れ始めたため、瑠璃はいったん距離を取る。
「でも見た感じこの部屋の四面全てがクリスタルに似ているんだよな。あの、俺が本気で殴っても傷ひとつとしてつかなかった床と同じやつ」
彼は知らないが、オリハルコンという超希少な鉱物である。
「今の俺ならもしかすると行けるかもな。白竜にもダメージが通用するようになってきているし」
瑠璃は自分から暴れている白竜に近づいていく。
「まあとにかく何を試すにしても、こいつが邪魔だ」
白い炎や尻尾による薙ぎ払いを避けて、相手の足元に潜った。
そして、身体能力にものを言わせた連続パンチを放っていく。
全力のパンチに比べると一発のダメージは軽いが、とにかく手数が違う。
短時間の間に相手の片足は傷だらけになった。
瑠璃は安全のために再び距離を取る。
その後、かなりの時間をかけて再び白竜を倒すことに成功した。




