第十三話【復活】
瑠璃は、にやりと笑みを浮かべた。
「はぁ、はぁ……。よし、これならいける。勝てるぞ」
空中にいる白竜が大きく口を開いた瞬間、彼は全速力で移動を始めた。
そして途中で急ブレーキをかけ、反対方向へと走り出す。
「そんなもん当たらねぇよ」
宣言通り、白い炎が瑠璃に命中することはなかった。
そう、彼はもうすでに相手の行動を完全に把握していた。
白い炎を放射する際、白竜は大きく息を吸った後で、瑠璃の移動速度を計算して発射している。
つまり途中で進行方向を変えてしまえば、簡単に躱せる。
それもこれも、瑠璃の並外れた速度があってこそだが。
「グォォォ……」
瑠璃をじっと見つめる白竜。
どうやら白い炎が当たらないと判断したのだろう。
「さて、どうしたものかな」
相手の攻撃は当たらないが、瑠璃も白竜に致命的なダメージを与えることができない。
このままだと体力勝負になるだろうと、彼は判断した。
「どっちが先にくたばるか、勝負だ!」
「グァァァ!!」
まるで返答するかのように咆哮を上げながら、白竜は瑠璃に向かって急降下してくる。
彼は軽いフットワークを生かして体当たりをギリギリで躱しつつ、相手の下半身に右フックを入れた。
更に通り抜けざまに尻尾へミドルキック。
「はぁ……はぁ……」
瑠璃は荒い呼吸をしつつ、再び天井の傍へと上がっていく白竜を見つめる。
「宙に浮いているのは疲れるだろ。さっさと下りてこいよ」
白竜は確かに体力を消耗し続けていた。
なんせ重たい体を浮かせるためにずっと羽ばたいているのだから。
対して瑠璃のほうは、100体以上の魔物と同時に戦っていた際に消耗した体力が、徐々に回復してきている。
どちらが有利かはあえて言うまでもなかった。
これ以降は地味な戦いになったため結果だけを言うが、最後に生き残っていたのはやはり瑠璃だった。
戦闘が終わった後、彼はすぐさまその場に腰を下ろす。
「ふぅ……久しぶりにめちゃくちゃ楽しかったぞ」
さすがにファーストステージのダンジョンほどではなかったが、それなりに怖い場面はあった。
第一階層で金属スライムを相手に鬼のようなレベル上げをしていなかった場合、死んでいたのは瑠璃のほうだっただろう。
「にしてもこれでセカンドステージは…………て、あれ? 今回はなんのアナウンスもされないな。まだクリア条件がそろっていないということか?」
彼は辺りを見渡す。
しかし、いくつかの死体が残っているだけで、特に気になる物はない。
「ま、この部屋の探索は後にして、とりあえず休もう。喉が渇いたし疲れた」
瑠璃は白竜の血と生肉を食し、すぐにその場で眠りについた。
さっきの強敵たちとの戦いはもちろん、わずか一日で第一階層からここまで攻略してきたこともあり、かなりの疲労が溜まっていたのだ。
一時間後。
「──っ!?」
何者かに攻撃されて吹っ飛びながら、瑠璃は目を覚ました。
空中で体勢を整えつつ周りを見渡すと……先ほど倒したはずの強敵たちが全て生き返っていた。
「は?」




