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第九話【第四階層】

 第四階層。

 

 そこには海が広がっていた。


 一定時間ごとに波の音が聞こえ、潮の匂いが漂ってくる。

 

「単純にすげぇ。砂漠とか草原もそうだったけど、とてもダンジョンの中だとは思えないぞ」


 海の向こうには小さな島がひとつだけ見える。


「あそこに行けということか?」


 周りを見渡してみると、左右には森が広がっていた。

 

「森には階段はないような気がする。……やっぱり遠くに浮かんでいるあの島が怪しい。とはいってもどうやって海を渡ればいいんだ?」

 

 見た感じどこにも船のようなものは用意されていない。

 

「泳いで渡れば、海中にいる魔物にちょっかいを掛けられそうだ。俺ならどうせ死なないだろうけど、見えないところから噛みつかれるのはムカつく。何かいい方法は……」


 顎に手を当てて思考する瑠璃。


 一秒後、いい考えが浮かんだとばかりに走り出した。

 

「海の上を走ればいいじゃん」


 瑠璃は激しい水しぶきを上げながら海の上を進んでいく。


 彼が通った後から、鋭い牙の生えた魚たちが次々と飛び出してくるが、そこにはもう誰もいない。

 魚たちはそのまま海中へと戻っていく。

 

 その光景を遠くから見た者がいれば、大量の魚たちが一人の人間を歓迎しているようにも見えただろう。


 まるで遊園地のパレードだ。

 

 

 

 

「思い付きでやってみたけど、意外と行けるな」

 

 さほど時間がかかることなく、瑠璃は向かいの島に到着した。

 階段はすぐ目の前にある。

 

「この島、向こうから見た時は小さかったのに、いざたどり着いてみるとめちゃくちゃ大きいぞ」

 

 そんな感想を言いつつも砂浜の上を歩き、すぐに階段を下りていった。

 

 本来であれば、森に生えている木を使用して頑丈な船を作り、それに乗って海中から迫りくる魚たちを追い払いながら進むのが普通なのだが、またもや瑠璃の身体能力にものを言わせた攻略法ですぐに終了した。

 

  ◆ ◇ ◆ 

 

 第五階層。

 

 一階層目と同じく、大草原が広がっていた。


 遠くに湖と森が見える。

 

「……はぁ、また同じか」


 似たような所で五年間過ごし続けたため、瑠璃はもうこの景色に見飽きていた。

 

「なんかやる気がなくなったな」


 そう言いながらも走り出す。

 

 

 

 

「ふふっ……はははっ!」


 湖に向かう途中で、突然瑠璃が笑い出した。

 

「めちゃくちゃ良いこと思いついたんだけどさ。ダンジョンって階段を下りて、下の階層に進んでいくわけじゃん?」


 周りには誰もいないが、まるで誰かに伝えるように話していく。

 

「じゃあ地面を掘って下りても一緒じゃね?」


 人外の化け物がなんか言い出した。

 

「いちいち階段を探すの面倒くさいし、ちょっとやってみるか」


 瑠璃は全力で地面を殴った。


 凄まじい爆音が響き、辺り一面に砂埃が舞う。

 

「おっ、予想以上に掘れたな。これなら何度か殴れば行けそうだぞ……って、あれ?」


 地面がものすごい速度で埋まっていく光景を見て、瑠璃はそんな声を上げた。

 

「まさか……地面の修復速度って、壁や植物とは比べ物にならないほど速いのか?」


 今彼が言った通り、地面を掘って先に進まれないよう、ダンジョンの床はすぐに修復するようになっていた。

 普通の人であればその修復速度を見て、地面を掘るという選択肢を諦める。

 だが、瑠璃は普通じゃなかった。

 

「うん。この程度なら連続で殴ったら余裕だな」


 これ以降、瑠璃はまともなダンジョンの攻略を止めた。

 

 なんかいろいろとかわいそうです。

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― 新着の感想 ―
ダンジョンくん、君のことは忘れない!多分
[一言] ん?ほんとに空があるわけじゃなくて上空100メートルとかに天井があるってことかな? そもそも魔法あるなら水魔法で海凍らせるとか風魔法で飛んでいくとか火魔法で海を蒸発させるとかできそうな気が…
[一言] うわぁ…… だんじょんかわいそう
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