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第八話【第二階層】

 セカンドステージの第二階層。


 地平線の先まで、ただひたすら砂漠が続いていた。


 所々に大きな岩があったり、大きな蛇のようなものが砂のなかを泳いでいる。

 

「やっぱり初めて行く所はワクワクするな」


 そうつぶやき、瑠璃はさっそく走り出す。


「喉が渇いたらどうしようかな。飲み水はなさそうだから……ファーストステージと同じで魔物の血を飲めばいいか」


 そう、今本人が言ったとおり、瑠璃は向こうのダンジョンで何年も魔物の血を飲んで生きていた。

 すごい速度でレベルを上げ続けた瑠璃だからこそできたことであり、普通の者が真似をしたら数週間ともたないだろう。


 一般的に魔物の血を飲み続けると、塩分の取り過ぎや感染症などで死ぬとされている。


 実際瑠璃も最初のうちは何度か体調を崩している。

 だがその度になんとか生き残り、今にいたるわけだ。


 今では魔物の血を飲んでもなんの影響もないどころか、むしろ栄養を吸収するまである。


「ま、今の俺なら喉が渇く前に突破しちゃうけどな」


 そうつぶやいた直後だった。


 砂のなかに潜んでいた巨大な蛇が、正面から瑠璃に襲いかかった。

 

 不幸な蛇である。

 相手が瑠璃であったがために、命を落とすことになるのだから。


「必殺、ただのパンチ!」


 右ストレートが口元に当たった瞬間、蛇が破裂しながら吹っ飛んだ。

 血と肉と骨が、全てバラバラに飛び散る。


「ごめんね蛇ちゃん。この階層に長居する気はないから、手加減してあげられなかった」


 蛇の血を被ったのにもかかわらず、瑠璃は全く気にしていないような素振りで走り続ける。





 砂漠を猛スピードで探索し始めて、一時間ほどが経過した。

 

「ふぅ、ようやく見つけたぞ」


 どこを見ても360度砂しかないため、瑠璃は途中から自分がどこにいるのかわからなくなっていた。

 それでも適当に走り続けて、ついに階段を発見したのである。

 

「さっさと先に進むとしよう。案外この階層で時間を使ってしまった」


 そうは言うものの、この広い砂漠のなかから一時間で階段を見つけるというのは、十分すごいことだろう。

 

  ◆ ◇ ◆ 

  

 第三階層。

 

 階段を下りた先に広がっていたのは、左右に分岐した石造りの通路。


 どうやらさっそく分かれ道になっているようだ。

 

「えぇ……。まさか迷路みたいな感じになっているのか? 上二つの階層からしてこの三階層もどうせ広いだろうし、ちょっと面倒くさいな」


 瑠璃は分岐点で一度立ち止まる。


 そして数秒ほど悩んだ後、急に何かを思いついたらしく、笑顔になった。

 

「そっか。迷路ってこうすればいいんだよな」

 

 シンプルに正面の壁をぶん殴った。


 ドゴォォォン! という派手な音と同時に、壁に巨大な穴が空く。

 

「うん、これが正しい迷路の進み方だろ」


 決して正しくはないが、馬鹿げた攻撃力を持っている瑠璃の場合、これが一番効率の良い攻略法であるのは事実。


 そもそもの話、ダンジョンの壁は壊れないようにできている。

 しかし攻撃力の数値が300万近い男のパンチに耐えることは不可能だったようだ。

 

 正面の壁を三枚ぶち壊して進んだ所で、瑠璃は階段を発見した。

 

「やった。この階層は楽勝だったな」


 かかった時間はおよそ一分。

 

 ここまでくると、迷路が少しかわいそうになってくる。


 せっかく冒険者を簡単に次の階層へ進ませないために、行き止まりや分かれ道を作ったり、空の宝箱を置いてそのなかに罠を仕掛けていたりといろんな工夫が施されていたのだが、結局なんの意味もなかった。

 

 一応ダンジョンの壁はしばらくすると自動で修復されるため、次にやってくる冒険者が瑠璃の作ったショートカットコースを通れるわけではない。


 迷路にとってはそれが不幸中の幸いだっただろう。

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― 新着の感想 ―
サイタマかよ
[一言] アイテムボックスが使用でき、魔法で水が出せないのなら、アイテムボックスに大量に水を保管すればよいでしょう。魔物の血の方が気に入っているのなら別です。ダンジョン内で使えない大量の金塊よりも身体…
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