第一話【レベルランキング】
「なぁ、お前。レベルの世界ランキングを見たことあるか?」
とある酒場にて。
巨大な鎧を着た男が、仲間に向かって尋ねた。
「ああ、もちろんだ」
「突然日本にダンジョンが現れてから三年。琥珀川瑠璃というやつが第一位の座から離れたことは一度たりともない」
「噂では、ランキング画面のバグか何かだって言われているらしいな。なんせ誰一人として琥珀川瑠璃を見たやつはいないんだからよ」
「まあ、そうだな」
つぶやきつつ、鎧の男はメニューからランキング画面を開いていく。
ランキングには上位100名が表示されており、誰でも確認することができる。
【第五位 海風 凪 ・雨の神風組 Lv577】
【第四位 夜霧 拓哉 ・天神ノ峰団 Lv579】
【第三位 赤松 斗真 ・天神ノ峰団 Lv580】
【第二位 村雨 刃 ・天神ノ峰団 Lv598】
「第二位だって、俺たちにしてみれば雲の上の存在なんだ」
「俺なんて死ぬのが怖くて、今よりも下の階層を探索しようとは思わねぇよ」
「だよな。安全に先へ進むには、やっぱり大規模ギルドに入るのが一番ってわけだ。なのに……」
【第一位 琥珀川 瑠璃 ・無所属 Lv10003】
「無所属なのにもかかわらず、大規模ギルドのメンツを抑えてのダントツ一位。しかも、どう考えてもレベルの桁がおかしいだろ! ……はぁ、もし本当に存在しているなら、一度見てみたいもんだぜ」
「きっと巨大な大男に違いねぇ」
「もしかすると小さな子供かもしれないぞ?」
「ははっ、そりゃねぇだろ」
そんな会話をしつつ、二人は朝まで酒を飲み続けた。