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JK真白ちゃん

どうして俺が学校、しかも女子高に通う事になったのかは分からないけど、恐らく少し前にやった学力テストみたいなのが、郡中女子への編入試験も兼ねていたのかも知れない。


内容的には中学生から高校1年生くらいの内容だったと思う。特に理数系が公式を忘れていたりして、割と大惨事だったと思うのだけれどな。

ともあれ、この学校に入学することになったのは間違いなく光さんが原因だと思う。


せめて事情を説明してくれたらいいんだけど、何というか俺には敢えて話をせずに物事を進めているような気がする。

多分、俺に無用な心配を掛けないようにしているんだと思う。実際、10日経った今もまともな生活が出来ない確信があるし、光さんを頼らないとどうしようもない現実がある。


言い訳がましいかもしれないけど、さ。


「千草の後ろに隠れちゃってホント可愛い~」


「ほらほら、おいでおいで、お姉さん達が遊んであげよう」


「同学年です!!!!!!」


囲まれてビビりまくっていた俺を回収した千草の後ろに隠れるように、俺に群がって来たクラスメイト達を威嚇するが、その行為すらも可愛らしく映るらしく、皆してニンマリしている。おのれ。


「お前ら、あんまりグイグイ行ってやるな。先生も言ってたがワケありでな、ちょっと人が苦手なんだ」


「聞いても大丈夫?」


「あまり人に聞かせる内容では無いんだがな……。耳を貸してくれ」


ワケあり、なんて言われて気にならない人も早々いない。特に噂好きな女の子達には格好の的だ。


クラスメイトの中にもいた、噂好きな子が興味津々な様子で聞いて来たが、流石に大っぴらに話せる内容でもない。千草が代わりに耳打ちで、多分簡単に教えてるんだと思う。


「一応プライバシーだから、あまり言いふらすなよ」


「うん、分かった。言いふらす様な内容でもないし」


「真白ちゃーん。おいで」


何人かに耳打ちしたら皆の表情が真面目になって行き、千草の忠告にもしっかり頷いて応じていた。


その内の1人が、手招きして俺を呼ぶので恐る恐る近付いていくと、手を握られてそっと近くまで引き寄せられる。


「改めて、よろしくね。真白ちゃん」


「よろしくー」


「よ、よろしく……」


今度はまくし立てる様にではなく、1人1人がゆっくり言ってくれたので、ちゃんと応えられた。

ポンポンと千草に頭を撫でられて目を細める。しばらくそのまま撫でられていると、


「千草ばっかズルい!!私も撫でる!!」


「私は抱っこしたい」


「ほっぺ柔らかそー。触って良い?」


我慢しきれないと言わんばかりに結局群がって来た。そんなに撫で繰り回したいか。……嫌いじゃないけどさ。


「キュイ」


多少はビビリつつ、集まっているクラスメイト達と戯れていると、机に掛けたスクールバッグの中から、ガサゴソと音がしたと思うと、鳴き声1つ上げてパッシオがひょっこりと顔を出す。


お前、出て来るなよ。ややこしくなるだろ。


「えっ!!可愛い?!」


「真白ちゃんの鞄から出て来たけど、ペット?」


「初めて見るー。なんて言うの?」


瞬く間に視線と話題はパッシオへと移る。学校で動物を見る事なんてそうそうないし、ましてやクラスメイトが持ち込んで来るなんて事も無いだろう。


外に放す時間が出来るまでは、鞄から出てこないって話だったのに、さては女子高生の声に釣られて出て来たな?このスケベ妖精め。


クラスメイトに撫でられて、媚びに媚びているスケベ妖精に非難がましい視線を向けているも、当の本人はつゆ知らず。

見つかったら怒られるのは俺だから、勘弁して欲しい。


「真白、パッシオは置いて行けと言っただろう」


「……今回ばかりは勝手について来たのよ」


呆れる千草に言い訳をしながら、さて先生にはどう説明して逃げるかに俺は頭を悩ませるのだった。

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