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奇妙な噂

今のアリウム、いやこの場合は真白ちゃんと言った方が良いか。この話を根掘り葉掘り聞くことによって、あの子の心を傷つけてしまう可能性がある。


明らかに精神的に弱っているところに、その行為は避けなければいけないことだ。なんともじれったいが、もっと長期的に彼女を観察、保護を続けていく必要がある。急いてはことを仕損じる、とはまさにこのことなんだと思う。


「最初に、私のやり方で、あの子のドロドロとした本音を吐き出させたときに出て来たのは『お母さん、死んじゃ嫌だ』『なんで助けてくれなかったの、お父さん』『どうして皆酷いことするの』『独りはやだ』『助けられなかった』。そんな言葉ばかりだったわ」


「……真白ちゃんは自分のことを、知っているのですか」


「詳しくは分かって無さそうだけど、彼女は聡いわ。自分が普通の立場で無いことは分かっていると思う。じゃなきゃ、逃げ出した先で大人に頼るはずよ。……その大人が信用出来なかったとも考えられるけどね」


聞いているだけで胸が痛い言葉ばかりだ。私が聞くに堪えかねてしまって、話を逸らすと、光さんは何事も無かったかのように答えてくれた。監督者なんて立場にいながら、情けなくなって来る。


「とりあえず、あの子を取り巻いている状況は何となく掴めたわ。まずは私達が、あの子の保護と観察をしっかり続けるわ。療養もね。その上で、今すぐに国に所属している貴女に出来ることが無い。そう意味での今は手を引きなさい、と言う意味よ」


「私の不用意な彼女への接触が、逆に危険に晒す行為になる。そういう事ですか」


「えぇ。無戸籍の魔法少女だなんて、国が知ったら一体何をしでかしてくるか分からないわ。最悪、彼女を不安分子として、処分する可能性すらある」


今の国や政府は、魔獣によって常に国家存亡の危機がチラついているせいか、非常にナーバスな傾向がある。国籍を有している、普通の野良や隠れの魔法少女はともかく、無戸籍の魔法少女など前代未聞だ。一体、どういった措置を取るのかが読めない以上は秘匿するに限る。


マスコミに知られた場合などは最悪だ。下手な書き方をされた場合、世論からアリウムフルールが迫害されかねない。昔から、あの手の連中は人を見えないナイフで殺すことなど全く厭わない。


「私達があの子を。守って守って、守り続けるわ。だから貴女は、抜け道を探しなさい」


「抜け道?」


「あの子が抱えている問題は沢山あるけれど、一番の問題は戸籍が無いこと。流石に諸星と言えども国のルールには手出しが出来ない。だから、国の人間である貴女が、抜け道を探しなさい」


「……!!」


成る程、そういう事か。私が直接、真白ちゃんに出来ることは無いけれど、真白ちゃんを迎え入れる準備を整えることは出来るかも知れない。

それなら、私は私で出来ることをしよう。


「彼女の事は、お願いします。何か新しいことが分かったら、逐一連絡ください」


「えぇ、そちらこそ頼んだわよ。真白ちゃんの将来がかかっているんだから」


「分かっています」


こうして、私達はガッチリと握手を交わして、アリウムフルールの真白ちゃんの保護と療養、そして戸籍確保の約束をする。


さぁ、今日からまた一段と忙しくなりそうだ。











「くしゅんっ!!」


お風呂から上がり、墨亜と千草ともう慣れてしまった一緒の入浴を終えて髪を乾かしていると、突然鼻がむず痒くなり、くしゃみが飛び出してくる。


「真白お姉ちゃん、風邪?」


「墨亜に移すなよ」


「風邪じゃないわよ。ちょっと鼻がムズムズしただけ、人聞きが悪いわね」


元通りに歩けるようになり、洗面台前で三人でじゃれながら話をするのも、なんだかもう当たり前の光景になってしまった。因みに、朱莉ちゃん達の方には既に連絡済みだ。


しばらく家を空けるから、一緒にランニングは出来ない。と言う簡単な連絡だが、三人とも了解の旨を伝える返事が返って来た。


まぁ、そろそろ学校が始まる頃だし、朝のランニングは学生の彼女達には時間的に難しいだろうし、無難なところだったと思う。

問題は、ここ、諸星家から全くもって抜け出せるビジョンが浮かばないこと。パッシオに至っては、この前と打って変わって治療に専念しろとのお達しだ。


……実際問題、今の俺の状態じゃ、ここを抜け出しても家から出られるかどうかも怪しい。今割り振られている部屋から出るのでさえ、誰かと一緒じゃないと震えてしまって、ドアを開けることも出来ない。


情けない。守ると豪語しておきながら、守られてばかりの今の体たらくに呆れるばかりだ。

同時に、この環境が酷く落ち着いている自分がいる。一体、どうなってしまうのだろうか。不安と妙な期待を胸に渦巻かせながら、俺はブラシを手にして、髪を梳かすのだった。


なんか、前ページ含めて取っ散らかすように書いてしまいましたので、後で手直し入れる可能性大です。


疑問に思う点は感想に、文章おかしくない?という点は誤字脱字報告にあげていただきますと大変助かります。


誰だこんなややこしい話を作った奴は

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