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奇妙な噂

やって来た女医さんの問診と診察を受け、過度の疲労以外は怪我も病気も見られない健康体、と言う太鼓判を頂き、女医さんは帰って行った


わざわざご足労ありがとうございます。と言うか、病院に行くんじゃなくて、家に医者を呼びつける辺り、マジのお金持ちだ


このやけに肌触りの良い布団も、とんでもなく高級な物なんだろうなと思案していると、コンコンとノックする音が響いた


「彼女が起きたと聞いた。話をしても大丈夫か?」


「千草お嬢様ですね。貴女を保護してくれた方です。お通ししてもよろしいでしょうか?」


ドアの向こうからくぐもった少女の声が聞こえると、メイドさんが俺に迎え入れても良いか聞いてきたため、頷いて応える


俺を保護した少女、となると恐らくは。あまり考えなくても予想が出来る相手だ。一応、ある意味初対面ではあるが


「失礼する」


「……失礼します」


入って来たのは、聞こえた声の数とは違い二つ。亜麻色の長い髪をポニーテールにまとめた凛々しい女の子と、可愛らしいワンピースと、兎のぬいぐるみを持った栗色の幼い少女の二人だ


美弥子(ミヤコ)、すまないが席を外してくれ。少々込み入った話をする」


「かしこまりました。紅茶の準備はいかがいたしますか?」


「長くなると思うから頼む。その時はノックをしてくれ」


「承りました。準備ができ次第、お運びいたします」


亜麻色の髪を持つ女の子が、メイドさんにテキパキと指示を出すと、メイドさんはやはり音もなく部屋を退室していく。やはりプロだ、恐れ入る


っと、それよりも注目すべきは目の前の二人の少女達だ。彼女達が如何なる用事で俺の下を訪れたのか、聞かないといけない。勿論、ある程度の想像は出来るが


「まずは身体は大丈夫か?外傷らしい外傷は無かったが」


「ハイ、大丈夫です。助けていただきありがとうございます」


二人が部屋にある椅子に腰かけながら、俺の寝ているベッドに向くと、まずは亜麻色の彼女から心配の声がかけられる


目つきの鋭い、少々キツイ顔立ちの子だが、とても優しい気質が見受けられる。俺が問題ないと答えると、安堵したように息を吐いていた


「さて、本題だ。君は私達が、何をしている人間か見当がつくか?」


来た、と思った。流石に見逃してくれる筈もないか


何せ、あの場所に一般人の少女が取り残されてる事はほぼない。あの時はまだ避難指示も解除されていないし、あそこにあるのはかつて住居だった建物ばかりで、中身は住居の形をした倉庫街だ


そもそもに見た目が中学生から高校生くらいの人間が居る場所じゃない


「一応は、助けていただいた時とはだいぶ印象が違いますけど」


「ふむ、では質問を変える。君と私達は初対面じゃない、そうだな?」


「……答えかねます。あまり、人の顔を覚えるのは得意では無くて」


困った。思っているよりも確信めいた質問を投げかけてくる

チラリとパッシオを横目に見るが、そちらもこの状況には、対応を決め兼ねているようだ


「では単刀直入に言おう。『純白の魔法少女アリウムフルール』とは、君のことだな?」


ど直球のストレート。その質問に、俺はどう答えるべきか決めあぐねる。


彼女がそうまでして断定するという事は、彼女の中では既に今の俺の姿がアリウムの変身前の姿だと認識し得る、何かを持っているという事だろう


彼女は猪突猛進だが、馬鹿ではない。戦いになるとちょっとおつむがアレになるだけだ


「……なんか失礼なことを考えてるだろう?アリウム」


「……はぁっ、分かったわよ。観念するわ。私がアリウムフルールよ。後、別に失礼なことは考えてないわ。事実を思い起こしてるだけで」


「度々思うが、良い性格をしているな」


「褒め言葉として受け取っておくわ」


ジトリと睨まれて、こうも確信を持たれて追及されては、弁明のしようもない。俺は仕方なく、アリウムフルールであることを認めると、張り詰めていた空気が緩み、亜麻色の彼女、恐らくフェイツェイも肩を落としながら安堵したような表情を浮かべていた


「……アリウムお姉ちゃん!!」


「わふっ、ハイハイ。この甘えんぼさんはノワールね?この姿では、初めまして」


「初めまして、諸星(モロボシ) 墨亜(スミア)です」


アリウムだと白状すると、フェイツェイと思われる少女の隣の椅子にうずうずしている様子で座っていた栗色の髪をした少女がワッとベッドに飛び込んで来る


驚きながらもキャッチしてあげると、人懐っこそうにすり寄って来た。やはりこの子がノワールエトワールだったか


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