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奇妙な噂

何が起きたのか分からない内に、持ち上げられていた腕を男が唐突に離し、俺は崩れ去る様にして地面に落ちる


その上を続けざまに3つ、魔法の弾丸が飛んで行き、逃げる男を追う


「ちっ、別の魔法少女か……!!」


舌打ちをして身を翻し、襲って来る魔法を避け、防いでいく男は憎々し気に魔法が飛んで来た路地の向こうを睨み付けた


「こんなところで、そんな怪しい恰好で何をしていたのか、教えてもらおうか。まぁ、語ってもらう必要もないくらいには明白だがな」


路地の向こう側にいたのは合流こそしなかったが、先程まで同じ鹿型の魔獣を討伐していたフェイツェイの姿だ

既に抜刀した状態のようだが、その刀身は目に映らない。どうやら、フェイツェイの魔法具の効果のようだ


つまり、もういつでも戦闘に移れる状態。俺と言う人質兼、足手まといがいなければ、すぐにでも斬りかかっているところなのだろう


「『翠剣の魔法少女 フェイツェイ』か。よりによって一番厄介な」


「それだけじゃないぞ」


フェイツェイの姿を確認し、更にその声音を低くする男だが、フェイツェイがいるという事はほぼ確実にもう一人の魔法少女が近くにいることと同義だ


不敵に口角を上げて笑ったフェイツェイの後ろから、再び流星のように輝く魔法が次々と放たれて行く


「私もいる。おじさん悪い人なの?捕まえちゃうよ」


フェイツェイの後ろ、その背に隠れるようにして分厚い本を開いて魔法を打ち続けているのは、ついさっきまで一緒に戦っていた魔法少女のノワールエトワール


あれだけの大魔法を打った後だと言うのに、まだ戦えるだけの魔力を残しているらしい

小さいあの身体に一体どれだけのポテンシャルを秘めているのだろうか


「もう少しだったのだがな。流石に策がなさ過ぎたか」


「魔法少女が戦ったすぐ横で、いたいけな少女に乱暴しようとしている、その豪胆さだけは評価してやる。大人しくしてもらおう」


ジリジリとノワールの魔法に押され、俺から距離を離されて行く男は、仕方がないと諦めた様子を見せる


ここまで来て大人しく捕まるとでも言うのだろうか?いや、コイツはそんな奴じゃない。無計画っぽく口ぶっているが、最低限の保険は掛けているような、そんな奴な気がする


「楽は出来んという事だ。次はしっかりと策を練るとしよう」


「ほう?次があるとでも言いたげだな?」


「勿論」


案の定、ここから逃げおおせて見せると言う算段があるような口ぶりを見せると、わざとらしく懐を漁り始める

片手が塞がる、その好機をフェイツェイが見逃すわけもなく。彼女は一気に踏み込んで、その切っ先を男の喉元に突き刺そうとした瞬間


パリンっ、と何かが割れるような音と共に、男の姿がガラスのように砕け散った


「……逃げられたか」


ガラスのように砕け散った男がいたそこに、代わりに散らばったのは、魔力障壁の欠片だ


どういう理屈かは分からないが、恐らく自身の姿を魔力障壁をスクリーンにして、あたかもそこにある様に見せかけていたのだろうか


働かない頭ではその方法に全く見当がつかないが、少なくともフェイツェイの苦々し気な顔を見れば、男に一杯食わされたのは明白な様子


「……大丈夫?」


男に無造作に手放され、硬いアスファルトに投げ出されていた俺を心配する声が聞こえたと思うと、ノワールが俺のそばへと腰を下ろしており、やはり心配そうな表情で、俺の顔を覗き込んでいた


「私からも大丈夫か?と、言いたいところだが、どう足掻いても大丈夫そうでは無いな。起き上がれるか?」


周囲に男の気配も感じ取れなかったのか、魔法具の刀を鞘に納めてこちらに駆け寄って来たフェイツェイに抱き起された俺は、その問いにゆっくりと首を横に振る


「ぱ、っしお……」


「ぱっしお?なんだそれは」


それよりも男に吹き飛ばされて気を失っているらしいパッシオの容態を確認してほしかった俺は、息も絶え絶えにフェイツェイに訴えかけるが、上手く伝わらず首を傾げるばかり


「この子の事?」


「んん?こいつは確か……。そうか、やはり君は」


パッシオに気付いてくれたのはノワールの方で、優しく抱きかかえられ、呼吸はしているのが窺えた


その横で、フェイツェイが何かに気が付いたようだったが、俺にそれを気にする余裕は残っていなかった


「よか、った……」


自らの身の安全と、パッシオの無事を確認して、気の抜けた俺は眠る様にして意識を失ったのだった


住んでるアパートの電気トラブルで、二日ほど電気が付きませんでした


これからまた更新しますので何卒よろしくです

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