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奇妙な噂


ズドドドドドッと凄まじい勢いと共に障壁に鹿の魔獣が突撃していく

突然現れた障壁に衝突した勢いで首が折れるのもいれば、後続の魔獣の角にくし刺しにされているのもいる


少なくとも、死にはしていないが先頭を走っていた魔獣を始めとして、かなりの魔獣にダメージは入った筈

しかも障壁に四方を囲まれ、閉じ込められている状態では自慢のダッシュからの突撃も密集していることもあってままならない


中には傷つけられた怒りからか、魔獣同士で角を突き付けてケンカを始めるのまでいる始末


「ふぅ、間に合ったようね」


同士討ちは想定外だが、予定通り魔獣の囲い込みは完了した。最大の懸念は障壁が耐えられるかだったが、そちらも無事クリア


魔獣の角のいくつかが、障壁の3枚目までを貫いた時はヒヤヒヤしたが、破られることなく終えられたのは普段の特訓の賜物だろう


「あの数の魔獣を魔力障壁で受け止め切るなんて……」


「アリウムお姉ちゃんスゴーイ!!」


空中に置いて来た障壁の階段を駆け上り、追い付いて来たアメティアとノワールもこの光景には驚いているようだ。本当になんとかなってよかった


ただ、喜んでる暇はない。何せ障壁の発動だけで魔力の5割は体感で持っていかれている

現状、傷つけられる障壁の修復と維持で魔力がガリガリと削られている


長い間は維持できない。その間に二人に高威力の魔法で殲滅してもらわなくてはならない


「ありがとう。さ、二人とも魔法であの魔獣を――」


「アリウム!!」


パッシオの声が耳に入った瞬間、俺は咄嗟にアメティアとノワールを障壁の足場から突き飛ばす

それと同時に、足元の障壁が砕ける音と全身を鋭い痛みに襲われた


「ぐぅっ?!」


足場が無くなったことと、痛みで身体を空中に投げ出した俺は、そのまま、数m下の小さなビルの屋上へと叩きつけられる


ダメもとで咄嗟に足元に張った防御のための障壁もあっさり破られた。ため、怪我の具合が中々に酷い。白いドレスが、受けた攻撃で出来た裂傷でいたるところが赤く染まっているのを確認するが、俺自身に回復魔法をかけられるほど、魔力のリソースに余裕は無い


「アリウム!!」


「アリウムお姉ちゃん!!」


俺に突き飛ばされた二人の方は怪我らしい怪我も無い。流石は日ごろから訓練をしている魔法少女。数mの落下程度では怪我の一つも無いらしい


そんなことよりも、何が起こったかの現状把握だ。分かったのは攻撃されたという事だけ

それ以外はパッシオからの声だけからの咄嗟の行動でしかないので、全く理解していない


そのパッシオも怪我をしているようだが、それでも倒れている俺の周りを忙しなくウロウロとしている。他人の前では出来るだけ喋らないというルールがこういう時は恨めしい


「ごめんなさい。咄嗟だったから、何が起こったかは分かる?」


「それよりも怪我を……」


「私は大丈夫。先に現状確認を」


パッシオの傷を癒し、上半身を起こした俺はアメティアに何が起きたのかの説明を求める

……体の節々がズキズキと痛む。思っている以上にかなりダメージを負っているらしい


だが、自分に治癒魔法をかける余裕は無い。今でも障壁の維持だけで魔力がドンドン減って行っている。魔獣を閉じ込めていられるのは短い時間だけだ


「魔獣の角が爆発しているのが見えました。恐らく、角を爆発させて飛ばして来たのかと」


「魔獣さん、また角生えて来てる。また爆発するかも」


「成る程。生え代わりの発展ですか、厄介ですね」


鹿の角が生えかわる生態が魔力によって変質した攻撃方法のようだ

スピードもあり、近接性能も高く、遠距離攻撃方法も持ち合わせている上に群れる。厄介以外の何物でもない


幸いなのは、連射は出来なさそう、という点か


「っ!!また来ます!!」


この会話の時間で生え代わりは終わったらしい。リキャスト自体は数分。連射はやはり出来ないらしい


魔獣を観察していたアメティアからの合図に俺はまた障壁を張って対処。アメティアとノワールも魔法を当てて相手の弾数を減らして行く



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