表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
Disire

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

581/1674

堕ちた勇者

妖精。私達は散々聞いた呼称だ。魔力を肉体やエネルギーとして生きる異世界の生命。


パッシオとショルシエがそれだ。二人とも魔法少女を遥かに凌駕する強大な魔力と魔法を有していて、本気で戦えばS級魔法少女だってただでは済まないだろう。


そんな妖精が何故この世界で跋扈していないかと言われれば、この世界にそもそも魔力は無かったから。

この世界にある魔力は全て妖精界から流れ込んできたもので、この世界由来のモノではない。


この世界に魔力が流れ込んだのは10年前とは言え、その魔力が流れ込んで来る穴は一つ。穴1つから流れ込んで来る魔力には限界がある。

何処まで行っても、この世界の魔力は妖精界のそれより薄いのだ。


妖精にとって、魔力とは肉体を構成する重要な栄養であり、身体を動かすエネルギーであり酸素である。これが薄いとなれば、この世界で妖精はただただ弱っていくか、パッシオのように体をスケールダウンさせて温存、ショルシエのように何らかの方法で魔力を得て維持し続けるか。


このどれかになる。殆どの妖精はこの世界の魔力の薄さに耐え切れず死んでしまったそうだけど、パッシオとショルシエ以外にも何らかの方法で生き延びた妖精がいたということになる。


「敵?味方?」


「こういう時の仮想は敵だ。なによりこちらの障壁を壊して、ドローンを2機も落としてる。敵意があると思って行動した方が良い」


もしかすると【ノーブル】絡みではないかもしれない可能性が脳裏を過り、妖精体になって私を背負うパッシオに意見を求めると、逆にパッシオは気を引き締めるべきだと注意を促して来た。


確かに、パッシオの言う通り既にこちらは攻撃されていると判断するべき。楽観視はすべきじゃないか。


「分かった。アメティア!!」


「了解です!!ルビー!!クルボレレ!!様子を見る必要はありますが、初手から全力です!!」


「OK!!リオ、行くわよ!!」


【Slot Absorber!! Leo(獅子)!!】


「っしゃあ!!師匠から習った事、早速実践っすね!!」


司令塔たるアメティアに促すとすぐに指示が飛ぶ。最も最初に攻撃する二人が一番危険な目に合う以上、厳重に注意するように最初から全力だ。


早速ルビーはSlot Absorberによりリオ君の魔力を取り込んでシャイニールビーレオスタイルへと姿を変える。クルボレレも雷属性の魔力を高め、圧縮しているようだ。成程凝縮することで効率と効果を高める技術か。S級魔法少女に師事していることが早速目に見える成長としてうかがえる。


「まだフェイツェイも来ていません。特にアズールは今回到着が大幅に遅れる、いえいないと思ってください」


「分かった。前と同じだと思ってるなら大間違いだってところを見せつけてやるわ」


今回、別行動をしていたフェイツェイとアズールは遅れてる。街の中にいるはずのフェイツェイは飛行手段もあるし、じきに来るだろうけどアズールは街から離れているはずだ。

来るにしても数時間以上時間が掛かるはず。


リーダー役がいないのは少々不安でもあるけれど、そうも言ってられない。


【ノワール、位置に着いたよ。いつでも大丈夫】


【敵の強さは今以上に未知数よ。他にも敵がいないか、ノンを外に出して警戒させてる。目の前の戦いに集中して】


【属性は雷だよ。素早い攻撃に気を付けて】


それぞれ通信機越しに準備万端の連絡が来る。一体、どんな相手なのか、緊張感は高まり私達は一斉に街の外周にある倉庫街を飛び出した。


「いた!!」


倉庫街の更に外側、森と街の境界で待ち構えるようにその妖精は佇んでいる。そして、こちらを剣呑としたぎらついた視線を向けて来て。


「――っ?!」


「甘いわよ」


ガキンっと音を立てて、妖精が咥えていた剣を防ぐ。


雷属性特有の俊足。視覚的に追うことが難しいそれに対策を怠っている私ではない。

以前、瑞鬼ちゃんが見せてくれたトラップ型の結界。あれの私なりの応用。


極小の障壁を展開しているのはそのまま。それを幾重にも層のように自分を中心に展開して、敵が何処かの障壁に触れた段階で、私の周辺にある障壁が大きく、強固に展開される。


これなら、障壁そのものがレーダーの役割を果たすし、感覚的に扱える。五感よりも私の場合は魔力で感知した方が感度が良いのだ。


「捕まえたっす」


「ナマス切りにしてあげる」


よほどの自信があったのだろう。感知式の障壁に阻まれ、一瞬の判断が遅れた狼型はあっという間にウチの俊足アタッカー二人の接近を許していた。


炎と雷、それぞれをまとったパンチと斬撃が振り下ろされる。避けようにもパッシオの尻尾が既に足を捕えている。まずは一撃、こちらがもらう。


「――ぐっ?!」


短いうめき声と共に妖精は街の外へと再び吹き飛ばされた。


ふふっ、戦いは準備。ありとあらゆる状況に対応出来るようにしてあることこそが私の考える最強の戦略。事前情報で雷属性と分かってる時点である程度の対策も立てやすい。

情報と準備、これこそが戦いの本質。


私達はどんどんチームで強くなる。個人戦で勝てると思わない事ね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 初手を取って勝ち誇るのはなんかのフラグだぞ 気をつけなきゃ
[一言] みんなすごいなぁ やっぱこいつは勇者(笑)だな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ