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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
英雄

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512/1704

英雄再起

やがて、私に半端者と称されたショルシエが下を向き少し前を置いてからくつくつと肩を震わせる。


「半端者だと、この私に対して?ふふふふ、クハハハハハハハハハハっ!!!!!!!!――舐めるなよ、小娘ぇっっ!!!!!!」


ひとしきり笑った後、見せた表情は狂気と怒りに染まったそれだ。

少しの間を開けて膨れ上がった魔力をヒシヒシと感じながら翼をはためかせ、前へと向かう。


少し前の私なら、後退して様子を伺っていただろう。退くのもまた正しい選択だ。

出方を伺い、戦略を練り、自分との戦力差を測る。それは一向に構わない、まさに理想的な選択の一つ。


だが、そんなことをしている猶予すらない時、一瞬の決断と強敵へ真正面に立ち向かうという選択は愚策にもなりえるが劇的な変化をもたらす時もある。


この一歩の前進で勝利の女神が微笑む時があるって事を私は何度も見て来た!!


「この私を半端者などと嘲笑った報いだ。その半端者の力で死ねぇっ!!」


ショルシエが出した尻尾の数は3本。それらに濃密な魔力を纏わりつけて次から次へと叩きつけて来る。


その間を縫うようにして飛び交う私は訓練の成果をここで如実に感じる。飛行訓練を付けてくれた空港所属の元魔法少女の方々にみっちり仕込んでもらった甲斐というもの。


羽ばたいて飛翔し、身体を捻ってギリギリで尾を避け、翼を畳んで急降下をする。

ルビーのような急な方向転換は流石に無理だがそれでも空中限定での移動速度と機動力の高さなら負けないと胸を張れるところまで来た。


「チョロチョロとこざかしい!!」


動き回る私を確実に捕えようと、巨大化させた尻尾で周囲を塞ぐように囲って来たショルシエ。そのまま押しつぶそうとしてくるが、私は風属性の魔力でそれを無理矢理押し返して出来た隙間に躊躇いなく飛び込む。


「お土産だ!!」


抜け出した場所に置き土産として氷の礫を数個放り、触れた尻尾がガキンっと音を立てて凍り付く。


ほんの少しの時間稼ぎだが、それがあれば十分。再度ショルシエへと肉薄し、『翠嵐』を振り下ろす。

障壁でそれを受け止めたショルシエが放つ魔法を氷の壁を作って防ぐ。


数十発も受ければ氷の壁はあっさり崩れるが、そこに既に私はいない。


「……貴様っ!!」


「だから言っただろう。下手くそなんだよ」


用意された氷の槍を降り注ぎ、少しだけ距離を取る。上がった土煙の中に飛び込むのはまた別だ。

敵が見えている中で突っ込むのと、敵が何をしているのか分からない中で突っ込むのでは話が全く違うからな。


逆を言えば、何をするのか分かっている場合や、何が来ても対処が出来るほどの自信があれば視界を遮られていても接敵出来る。

まだそれを出来るだけのこの姿での習熟度とショルシエが何を出来るのかの情報が足りない。


それに正直この姿、あまり燃費が良くない。魔力は以前よりずっと増えているがさっきまでのでかなりの量を使ってしまった。


この辺りも色々検討の余地ありだ。割と雑に魔法をばら撒いている部分もあるからな。大量の魔法をすぐに使えるこの魔法構成速度は確かに使い勝手が良いが、むやみに連発するとすぐに魔力切れになってしまうだろう。


私自身も遠距離の魔法を当てるという事がまだあまり出来ていない。もう少し私向きにカスタマイズが出来ればかなり長時間戦えるようになると思うんだがな。


【じゃあさじゃあさ、こういうのはどう?】


「ん?」


何処からともなく声が聞こえた気がして周囲を見渡すが誰もいない。

というか、この声は要の声だ。やたらとテンション高めなのが気になるがそもそも要自身はアリウムとパッシオが連れて行ったはずなのに、どこから声が聞こえてくるというのか。


【出来た!!名付けて『氷造武装(グラスアルケミア)』!!】


視線は外さず、それでも首を捻っていると要の元気な声と一緒に魔法が勝手に発動する。


私の周囲に飛び交っているのは氷で出来た抜身の短刀だ。それがいくつも私の周りを飛び交っている。


何がどうなっているんだ?考えているのも程々に傷を増やし、怒りの表情と魔力を更に濃くしたショルシエが獣のような咆哮を上げながら凍り付いた地面ごと吹き飛ばした。


めちゃめちゃ良いところなのですが、500Pあたりで言った作者のお盆休みをいただくことになりそうです。

楽しみに読んでくださっている読者の皆様には大変申し訳ないです。出来るだけ、更新出来るようにしますので何卒よろしくお願いします。(お休みは最長5日間位を予定しております)

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― 新着の感想 ―
[一言] 要ちゃんの魂?みたいなのが宿ってるのかな? そうだとしたら体の方は大丈夫なんだろうか
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