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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
英雄

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再戦

街の中で突然の爆発。通信越しにもわかる慌ただしい様子の番長のいる協会。言葉足らずながらも委員長の危機を伝えてくれたノワールからは通信が途絶えている。


恐らく、狙撃による支援や妨害を行っていて手が離せなくなったのだと思う。


「っ!!」


「フェイツェイ?!」


どうするのが最善手なのか、思考を巡らせている内にフェイツェイがこの場を離れて爆発のあった方向へと飛んで行ってしまった。


いや、この場で向かうのはフェイツェイが最適だ。クルボレレはあの魔獣を止めるのにこの場にいるメンバーでは最も適している。トドメを担当するのがフェイツェイの役割の一つではあったが、恐らくノンちゃんやパッシオでもイケるだろう。


飛行による移動速度の速さで現場につくスピードも速いフェイツェイならすぐに対応できるはずだ。


【番長!!街の状態は!!】


【戦闘行為があったのは一画だけよ。他には見られないわ。場所は中央区住宅街の南東入口付近。大規模な魔法が使われたわ。被害の規模も詳細も何も分かってないけれど……】


ノワールが言ったことが本当なら、狙いは委員長。街の中央区にある高級住宅街の入口で襲撃されたというのもそれなら納得できる。

あそこは協会から帰る時に一番近いルートだ。


周囲と仕切るためや、家の一軒一軒が大きいため、周りにはあまり何もない珍しい場所でもあるけれど、堂々と街中で襲って来るなんて思ってもいなかった。


「アリウム先輩」


「どうしたの?」


緊迫した状況の最中、魔獣を足止めしていたクルボレレが私のところに戻って来て耳打ちをする。

その間はパッシオとノンちゃんが抑えてくれているようだ。


炎と水の魔法。圧倒的な質量とパワーのぶつかり合いで地面が揺れているのが感じられるくらいに戦いはさらなる激化を見せている。


「要先輩のところに行ってください。ここは、ボクとノンちゃんが抑えるっす」


「何を言ってるの。あの魔獣相手にそんな無茶は……!!」


「やれるっす」


何の根拠があってそんなことを言っているんだ。そう言いたいけれど、クルボレレは一向に引く気配が無い。

むしろやれるから早く行けと言わんばかりの態度に、私は困惑と迷いが生じる。


ここを任せれば確かに委員長の助けに迎える。でも、あの魔獣はクルボレレとノンちゃんだけで抑えられるとは思わない。

魔法少女3人とパッシオとノンちゃんを合わせてようやく優勢になったレベルなのだ。


戦力を半減以下にさせて勝てる、それどころか対等に戦うことだって難しいはずだ。簡単に首を縦に振ることは出来ない。


「やれるっすよ。信じてください」


「ダメよ。そんな無茶はさせられない」


「やれるっす。だってやらなきゃダメっすもん。要先輩は状況からして怪我を負ってる可能性が高いと思うっす。それに守ることのプロフェッショナルなアリウム先輩が行けば、要先輩も守れるし、街の被害も抑えられるっす。そっちの方が大事っすよ」


「クルボレレ!!」


自分と他のモノを天秤にかけたクルボレレに思わず私は怒る。それでもクルボレレは笑ったままだ。

それだけで、この子は何が何でもそれをやるつもりだと理解してしまう。


ダメだ、それだけは。でも、委員長や街の被害を抑えるには彼女の言う事にも理がある。


【話は聞いたわ。クルボレレ、10分耐えなさい。私が増援に行くから】


「了解っす。10分なら余裕っすね」


どうするべきか悩んでる私の耳に、通信機越しのルビーの声が聞こえて来る。

私達の話を聞いていたのかと目を見開いていると、クルボレレが悪戯っぽく自分の通信機を指差して、通話がオンになっていることを示す。


最初からそのつもりだったらしい。誰かに聞かせれば、作戦を立てるアメティアなり誰かが反応するはずだと。


【行ってくださいアリウムさん!!こっちは2人で抑えます!!】


【っつーわけだ!!ルビーもアリウムもさっさと動け!!全部間に合わなくなるぞ!!】


「ってことで、ここは任せてくださいっす」


「――パッシオ!!」


そして私はこの場を託すという選択をする。パッシオを呼びつけ、すぐさま応じたパッシオはクルボレレと入れ替わると私を乗せて全速力で走り出した。


何もかもが心配だ。こうならないために魔法少女になったのに、どうして上手くいかないのだろうか。

悩むけれど、弱音は吐いていられない。仲間を信じて、これが最善だと思ってやるしかなかった。








「さて、踏ん張りどころっすね」


アリウム先輩がパッシオさんに乗って街へと戻っていくのをちらりと確認しながら、ノンちゃんの横に立つ。


目の前にはさっきから散々苦労させられてるゴリゴリマッチョの魔獣。一撃貰ったら即アウト、逃げることは状況的に無理、なんて理不尽なぶっ壊れ敵キャラみたいな相手っすけど、やるしかないのが現実っす。


10分経てばルビー先輩も来ますし、気楽に本気でやるっすよ。


「行くっすよノンちゃん」


「グォンッ」


頷いてくれた頼もしい味方と一緒に、ボクは先手を打つためにボクの出来る最速で魔獣に飛びかかるっす。

ボクは疾駆の魔法少女クルボレレ。ちょっとだけ、ボクの本気に付き合ってもらうっすよ。


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[一言] クルボレレ いつのまにそんなかっこよくなっちゃって
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