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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
英雄

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抗い

チャイナドレスに似た青い服に銀色の髪を小さくおさげにした私の魔法少女としての姿。目と肌の色が【ノーブル】に捕まっていた時とは変わっているらしくて、澄んだ水色の瞳と真っ白な肌。


千草には中国風雪女、なんて言われたけど実際属性は氷だしね。否定はしないかな。


「はははは!!抵抗を選ぶか。良いだろう遊んでやる。どうせ結末は変わらん」


魔法少女に変身した私を見て、大笑いする女性。その視線は相変わらず私を小馬鹿にするような見下した視線だ。


逆を言えば、油断しているとも言える。それだけ隔絶した差があるのも分かっているけど、そこにこそ付け入る隙がある。


教えてもらった事を全部思い出せ、実践して、やれること全部やって、時間を稼げば何とかなるはずだ。

戦いになれば騒ぎになる。そうなったら、協会だって気付くし、戦ってる皆にも知らせが行く。


助けが来るまで、私が戦う。逃げたら余計な被害を出す。だから、持ちこたえろ!!


「……ほう、人間にしては上出来だ」


真白ちゃんや紫ちゃんが教えてくれた。私の強みは魔法を構築するスピードだって。

真白ちゃんはコントロール、紫ちゃんは属性、墨亜ちゃんは狙撃。ウチの魔法少女は個性がそれぞれ分かれてるから、私のスピードは良い具合に穴を埋めてくれるって。


だから、私がまず出来る事はこれだ。


「いけぇっ!!!!」


2秒。その間に200発の氷の礫を作り上げて、無造作に打ち込む。精度とか追尾とかそんな細かいことはこの短い時間には出来ない。


けど、弾数だけなら用意出来る!!


がむしゃらに撃った魔法が、全部着弾してアスファルトを砕く。

飛び散るアスファルトの欠片から顔を庇いながら、私はジッと魔法を撃って煙が上がる場所を睨み続ける。


視線は絶対敵から外さない。油断は禁物、あんな魔法くらいならあの女性なら無傷で済んでるくらいに思った方が良い。


「っ!!」


煙の向こうに一瞬だけ影が映る。瞬間的に氷の槍を10本作り、すぐにまた打ち込む。

ただ、それは女性に届く前に振るわれた何かで全部砕かれてしまった。


舌打ちをする間もなく、すぐに何回も魔法を放つけど全部防がれる。


「その魔法生成速度は中々のモノだ。妖精でもそこまでのスピードでそれだけの量を用意できる者はそうはいない」


「へぇ、褒められる人なんですね」


「評価と分析というのは実験においては基本だ。事実をまず事実として認めなければ実験の検証に支障をきたすだろう?」


私の魔法の連打を簡単に止めながら、女性は冷静に私の事を評価して来た。

馬鹿にするでもなく、ただただ事実としての評価というのも上から目線で腹が立つ。自分は評価をする上位者だと言外に言っているのだから。


「魔法少女として見れば、貴様ほどの魔法の連射速度を持つのは今の世代で探すのは難しいだろうな。隠れを隈なく探し出せばいるかも知れんが、やはり――」


私への評価を口にしながら一歩踏み出した女性に、私は仕掛けていた魔法を発動する。


「凍れっ!!」


両手を合わせ、強く握った瞬間に女性が3mはあるだろう氷の塊の中に閉じ込められる。


目に見えないほどの細くて薄い氷を地面に這わせていつでも魔法が発動できるようにしていた。

直接触れるとバレそうだから、一歩踏み込んだその瞬間に発動させれば罠としても効果がありそうだと思ってやってみたけど効果はありそうだ。


「――頭も回る。やはり傀儡にするにしても、ある程度の思考能力を持たせておかなければダメか。クライスの方はフィジカルばかりを強化したから、馬鹿に馬鹿が掛け合わさって折角の魔力を無駄にしているからな」


そう思ってガッツポーズをした瞬間。女性から生えている毛に覆われた大きな尻尾でその氷を粉々にされる。


3mもの氷の塊をだ。砂の壁を壊すのとはわけが違う。それを尻尾の一振りで破壊されて、いよいよその根本的なスペックの差を感じ始める。

まるで大人と子供。絶対に敵わないのは分かってるけど、こんなに簡単に破られるのは正直キツイ。


「やはり欲しいな。貴様ほどの逸材を手放す羽目になったのは【ノーブル】としても私としても損失だ」


「誰がっ!!」


消耗品になるつもりは毛頭ない。あっちに戻りたいとなんて思うはずもない。

抵抗をするなと言われても最後までしてやると思って渾身の力を込めて展開した500の氷の礫。


「この際生死はどうでもいい。下手に抵抗されても面倒だ。だからまぁ、遊びに付き合うのはこれで終いだ」


それをあっさりと覆す、圧倒的な魔法の数に私は息を飲むことしか出来なかった。


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[一言] だから逃げるんだよー!
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