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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
英雄

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千草、放課後デート中

真白と別れ、魔法少女協会から車で20分。私は街中にあるドーナツチェーン店で待ち合わせをしていた人と合流するために入店をする。


私は最近こういう街中に当たり前にあるチェーン店を随分使うようになった。諸星に来てからはとんと縁が無かった類の店になるが、こうして使う機会が訪れるようになるとは分からないものだ。


「お待たせ」


「待ってなんてないよ。待ち合わせの時間10分前じゃないか」


店内のボックス席に待ち合わせをしていた相手。その、一応、私の恋人という事になる五代幸助(ゴダイ コウスケ)さんの姿を見つけ、早歩きで駆け寄って軽く声をかけてから彼の向かいの席に座る。


普段は五代さん、と呼ばせてもらっている。元々剣道関係の先輩にあたる人で私の2つ上の高校3年。今度の春からこの街にある大学に通うことが決まっている。


体格は女子としてはかなり身長の高い私よりも10㎝以上高い185㎝もある。身体も中々に引き締まっていて、いかにもスポーツマンといった風貌が特徴的な人だ。


性格は寡黙な人だと思っていたのだけれど、単純にあまり人付き合いというか、身体の大きさからして怖がられやすいらしく、あまり自分から話しかけないように心がけていたという事はお付き合いを始めてから知った。


素はどちらかと言うとお喋り好きな人で大きな体と少し目つきの悪い細い目からからは想像が出来ないくらいコミカルな人だ。


「でも待ってたんだろう?」


「お恥ずかしながら、待ちきれずに40分前から待ってました」


恥ずかし気に笑う彼に釣られて私も笑う。こんな感じでとてもお茶目な人だ。


まさか自分が男性と恋仲になるだなんて、1年前くらいの自分に教えてやりたい。それだけ、精神的に余裕が出来て来たのかもしれない。


「さ、ドーナツ屋に来たんだからドーナツくらいは食べるか。おいで、千草」


「は、ハイ……」


席を立った五代さんに手を差し出されたうえに名前まで呼ばれて、びくりと肩を振るわせた後ゆっくり手を取って一緒に席を立つ。


恥ずかしい。こうして人前で手を繋ぐことも名前を呼び捨てで呼ばれることも普段から家族や友人達には自然体で出来るのに、五代さんが相手となると恥ずかしくて仕方がない。


顔が真っ赤になっているのを感じながら、一緒にドーナツを選んだけれど、正直緊張しすぎて五代さんがアレコレ選んでくれるのをただ頷いているだけだったような気がする。


しっかりしろ、これではいつか呆れられてしまう。


自分を奮い立たせて、レジの会計を終えた五代さんに自分から近付いて、自分から手を握る。

それだけで五代さんは少し驚いた顔をしてから笑ってくれた。

少し喜んでくれたらしい。


「あんまり無理をしなくて良いよ?」


「わ、私がしたいから良いんだ」


「……俺の彼女めっちゃ可愛いなぁ」


ぼそっと呟いた五代さんの言葉が聞こえて思わず空いた手で腕をぺしりと叩いてしまった。赤くなるほどの強さでは叩いていないが、抗議だ。あまりこちらの思考回路をパンクさせるようなことは言わないで欲しい。


その反応すら五代さんとしては良いものらしく、ニコニコ笑いながら座っていたボックス席に戻る。


「大学の準備はどうなんですか?」


「順調だよ。大学の準備って言ったって、実家通いだしそんな大掛かりなことはしないからね。ノートパソコンを軽くて持ち運びしやすいやつに変えたくらいかな。あ、入学式に着るスーツを買ったなそういえば。ブレザーとスーツって、差なんてほとんど無いのになんか気が引き締まるよ」


「スーツですか。五代さんは着痩せするので似合いそうですね」


「親からはヤの付く人みたいだって笑われたよ」


頭の中で想像して、あぁ確かにと五代さんのご両親の意見に同意する。怖がられるような人相をしてるだけあって、スーツを着込んでピカピカの革靴を履けばそれっぽい。

それにサングラスでもかければ完璧だと思ってしまって、思わず頬が緩んでしまう。


千草まで、と肩を竦める様子もおかしくて、ドーナツを頬張りながら緩んだ頬はそのままだ。


「千草の方はどう?もう少しで新学年だけど」


「私の方も特に変わりませんよ。学年が一つ上がって、あぁ、そういえば以前から知っている友人が後輩として入学してくるんです。少し口が悪いので馴染めるかが心配ってくらいですね」


「郡女で口が悪いかぁ。確かに少し浮いちゃうかもね」


「付き合いの長い友人とは言え、他の生徒からすれば先輩ですからあまり関り過ぎても不和を呼びそうで」


お嬢様学校も中々一筋縄ではいかず、殆どの学年で派閥というものが存在する。私の学年、特に私のクラスは、私と真白という諸星の家系が二人もいるのでそこまで明確な派閥は存在しないが、他のクラスでは度々派閥間での小競り合いがあるようだ。


金持ちの子供特有の親の繋がりと女子特有の特定のグループを作る友好関係が普通校とはまた違うバチバチとした女の戦いを作り上げているという訳だ。


碧は良いやつだが、郡女であの口調と性格はかなり尖っている。まだ両親は婚約の段階でしかも連れ子、変な連中が増長して標的にしやしないか今からヒヤヒヤだ。


碧の事だから、やられたら容赦なくやり返してトラブルを大きくしそうなのも頭が痛い。


イケメン女子が恥じらうのは最高に良いと思うんだ

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― 新着の感想 ―
[一言] すごくいい 40分て
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