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奇妙な噂

あとそうだ、ともう一度アズールが声を上げる。何かと思って視線を向けると


「ウチらの上司の一人。まぁ、立場で言うと主任だか監督だかなんだけど。一度で良いから話をしたいって来てるけど」


「言ったでしょ、スカウトは受け付けないわ。悪いけど、そういう事なら他を当たってちょうだい」


「あ、いや、その事じゃなくてよ」


「じゃ、情報ありがとう。私の方でも色々動いてみるから、何かあったら伝えるわ」


何か言いたそうなアズールを尻目に、俺はさっさとその場を去る

スカウトならお断りだ。ただでさえ色々と爆弾を抱えている身でおいそれと魔法庁に近付くことは出来ない


協力はするけど、目的が違うと言うのも大きい。魔法庁が魔法少女で魔獣を倒すことが主な目的なのに対して、俺達は魔法少女を無くす事が最大の目的だ


今はその方法の模索をしながら、他の魔法少女の脅威を出来るだけ払っているだけであって、もし魔法少女を無くす方法や代案が出来た時、俺達は魔法庁と真っ向から敵対する可能性だってある


そんな奴が魔法庁の中で虎視眈々と潜伏し続けられるのかもまた怪しいところだ


「とりあえず、噂とやらを追ってみるのかい?」


「まずはね。問題はその方法だけど、あの子達なら知ってるかな」


魔法庁と俺達のことに関することに考えを巡らせるのはその辺にして、俺とパッシオは次の方針決めだ

まずはアズールの言っていた噂について。確か、突然行方をくらませたと思ったら、数時間後にフラッと戻って来る人が多いって内容だったか


あの言い草だと中高生辺りに広まっている噂なんだと思う。それなら碧ちゃんや紫ちゃんが知っているかも知れないから、朝のランニングの時に聞いてみよう


朱莉ちゃんにも、次のお見舞いの時に聞いてみれば良いかな。何か得られれば良いんだけど







「……行っちまった」


取り付く島もないっつーのはああいう事なんだろうなと、ウチはあっと言う間に姿が見えなくなったアリウムが向かった方角をバツが悪そうに眺めた


ウチの言い方が悪かったんだと思う。雛森ちゃんに聞いた通り、あの感じだとアリウムは大人がすっげぇ嫌いっぽい

雛森ちゃんが話があるって言った瞬間、アイツの眼の色と態度がガラッと変わった。何つーかツンケンとしてるって言うか、絶対嫌だって頑固に拒否ってる感じ


「アイツ、飯とか食ってんのかなぁ。すっげぇほっそいし」


アリウムはすっげぇ綺麗だ。お姫様みたいだとウチも思う


ただ、そのお姫様っぽい理由ってのが、首とか腕とか、足とかがすっげぇ細いって事

スタイルが良いって言えば確かにそうだけど、ウチらはどんなに転んでもガキだ


成長期真っ只中、食って、動いて、寝て、デカくなる時期の子供なんだ。そんなのが、大人のモデルみたいに首も腕も足も、ほっそいってのはちっとおかしいとウチは思うんだよ


……まぁ、雛森ちゃんの言ってたことパクっただけだけど


「母ちゃんの飯、今度持って行くか……?」


家帰ったら母ちゃんに頼んでみよう。折角できた友達だ、困ってる事があるならお互い様!!野良とか政府所属とか、そんなめんどくせぇことは後回しだ


【もしもし、アズールちゃん。魔獣反応は消えたみたいだけど、何かあった?】


色々考えてたら雛森ちゃんから連絡が来た。あの人もかなり心配性だよなぁ

ま、だから雛森ちゃんに付いて行ってるんだけどな。前任者はクソッタレだったし


「わりぃ、雛森ちゃん。アリウムに会ったんだけど逃げられちった」


【……そう。ありがとうアズールちゃん。処理班を向かわせるから、貴女は離脱して大丈夫よ】


「おっけー」


電話口で雛森ちゃんがめっちゃ凹んでる。相当嫌われてんの気にしてんだよなぁ

野良のまんまで良いから、せめて話くらいはして欲しいぜ。そん時は腹いっぱい飯食わせるか


そう思いながら、ウチはその場を後にした。今日の晩飯、なんだっけか


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