会議を終えて
バレンタイン。流石に世間のお祝い事やイベントに疎い私でもどういうイベントか分かっている。
「友達にお菓子をあげる日だよね」
パッシオを除く全員に何言ってるんだろうこの子って顔をされた。あれ?なんか違う?私の知ってるバレンタインは友人同士でお菓子を交換する日なんだけど。
違うの?って首を傾げると、委員長が車椅子をわざわざ移動させて私の肩を叩く。その笑顔はなんでしょうか……。
「パッシオさん、ちょーっと席を外してもらっていいですか?女の子の話をするので?」
「ん?あぁ、それは失礼。人間じゃないからその辺の事がどうしてもルーズでね。出来てない時は注意してくれると僕としても助かるよ」
多分そういうことじゃないと思うんだけど、パッシオが体よく追い払われて席を離れる。これで味方がいなくなった。一体私はどうなってしまうのか。
ぷるぷる震えていると、委員長がほっぺを潰して私と無理矢理目を合わせて来る。怒ってるわけじゃないと思うけど、目が怖いよ。
「真白ちゃん、日本のバレンタインはちょーっと意味が違うんだよ。真白ちゃんが言っているのは海外の、欧米とかでのバレンタインだね」
「日本のバレンタインって何か違うの?」
欧米のバレンタインと日本のバレンタインの違い、と言われても私にはよく分からない。あ、でもそういえばなんだか日本のバレンタインはやたらとハートマークが散りばめられていたような……。
それとお返しの日があったはず。ホワイトデーだっけ?贈り物をされたらお返しをする、日本人らしい文化だなぁとは思っていたけど。もしかしてそれも関係してる?
「真白ちゃん。日本のバレンタインはね。好きな人にチョコをあげる日なんだよ?」
「好きな人に、チョコ?」
なんで?というのが正直な疑問だ。好きな人にチョコ?全く繋がらない。何故贈り物がチョコ限定なのか。
好きな人に贈り物をして、気を引こうというのは何となく分かる。でもそれならその人が欲しい物とか、喜ぶものを送った方が良いような気がする。
そしてそれに一番適してるのは私は誕生日じゃないかなって思うんだけど。この感覚がおかしいの?
「元々は日本のお菓子メーカーの販売戦略だったらしい。バレンタインデーに好きな人や恋人にチョコレートを贈りましょう、という具合にな。それが上手く定着して、日本ではバレンタインデーというものはそういう色恋ごとの行事になってるんだ」
「へー」
成程、日本になかった海外の文化をお菓子を買ってもらうための戦略として輸入したのか~。
クリスマスと似たような感じだね。日本のクリスマスはカップルが街にあふれるけど、海外のクリスマスはむしろ家族と家でのんびりと過ごす日だったりする。
その逆もきっとあるんだろうなと思うけど、今のところ知ってるのだとお花見とかかな。桜の木は時折日本と親交のあった国の広場なんかに植えられているんだよね。
「へー、じゃないよ真白ちゃん。真白ちゃんも準備しないと」
「準備?なんで?」
「そりゃ、パッシオさんにチョコをあげないと」
満面の笑みでそう答えた委員長に私は更に首を傾げる。好きな人にチョコをあげる日が日本のバレンタインじゃないの?
さっきと言ってることが違う気がするんだけど。
首を傾げたあと千草を見てみると、物凄い苦虫を嚙み潰したような顔のお手本みたいな顔をしている。そっちはそっちでなんでそんな凄まじい顔をしているのか。
しょうがなく他の皆の顔を見ると、呆れたような表情の人もいれば、興味無さそうにしてたり、苦笑いしてたりしている。一体どうしたと言うのか。
「真白にはまだ早いと思うわよ」
「同感だ。それに、チョコを贈る相手がパッシオだというのも気に食わん」
「すっごい私怨が入ってる気がするっすけど。ボクとしてもちょっと違うようなきがするんすけど」
「えー、あんな良い雰囲気なのに皆ノリ悪いなぁ~」
ぶぅーっと膨れる委員長にイライラしてる千草。興味無さげな他のメンバーにひたすら首を傾げてる私。
「すぴー……」
墨亜はいつの間にか充電切れで頼んだオムライスを完食してから爆睡してる。相変わらず自由過ぎる。




