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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
新学期とバレンタインと進路の話

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ノーブル対策会議

『魔法少女協会』本部ビル。その会議室までやって来ると既に全員が揃って、会議の開始を今か今かと待ちわびている様子だった。遅刻はしてないけど、ギリギリだ。挨拶もそこそこに指定された席へと座る。


「すみません、遅くなりました」


「お疲れ様。しょうがないわよ、この中で学校の拘束時間が一番長いしね」


座り心地の良い椅子に身体を預け、光さんに労われながら机の上にに用意されていた資料にサッと目を通す。


それなりの量があるので全部をすぐに読み切るのは難しいけど、全体の流れを把握することくらいなら出来るだろう。


「ハイ、では定刻になりましたのでこれよりテロ組織【ノーブル】の対策会議を始めます。まずは新しい顔ぶれの紹介からしましょう。要ちゃん、自己紹介をお願いね」


「分かりました」


時刻は17時。予定されていた会議開始時刻になったのを確認して光さんの音頭で会議が始まる。まずは要ちゃんの自己紹介だ。


光さんにお願いされて、要ちゃんはゆっくりと立ち上がる。まだ車椅子なのであまり無茶はして欲しくないけれど、短い時間立つくらいなら本人の判断で出来る様だ。

それでもおっかないのでおとなしくしててほしい感はあるけどね。でも動かさないと回復しないし、難しい。


「雛菊 要と言います。皆さんには大変なご迷惑をおかけしたと同時に、こうしてこの場に無事に立つことが出来たことをとても感謝しています。今はまだ身体が不自由で、皆さんのように戦うなんて言うのは無茶ですけれど、いつか胸を張って一緒に戦えたらと思っています。よろしくお願いいたします」


ペコリ、と頭を下げて感謝とこれからの抱負を語った委員長はササっと座って次を促す。自己紹介は手短に、本題は【ノーブル】についてなので、委員長と皆のちゃんとしたファーストコンタクトはこの会議が終わった後でも構わないと思う。


他の皆も特に何を言うまでもない。まぁ、ここでいちゃもんを付けるような器の小さい人もいないだろうけどね。


「ありがとう。要ちゃんとの交流は各自、会議が終わった後にでもお願いね。では、まず最初の報告よ。田母神さん、お願いします」


「ハイ。まず魔取りから、元魔法庁南東北支部の支部長であった権田 智則氏への尋問や身辺調査等についての報告をいたします。尋問の成果ですが、どうやら権田氏はあくまで協力者の立場であり、【ノーブル】の内部情報までは詳細を知らないようです」


「スパイだったのに内部情報を知らねぇのか?」


「正確には諜報員というよりは諜報員の情報入手先、というのが正しい立場だったようです。多額の現金や【ノーブル】が開発した魔法技術などの提供などが報酬として支払われていたようです」


成程ね。いわゆるズブズブの関係だった、という訳だ。恐らく【ノーブル】から接触があり、元支部長がその力と金銭に溺れて行ったといったところか。


元より権力を振りかざすような人だったというけど、その身に合わない力が湧いて出て来てさらにふんぞり返っていたのだろう。全く持って迷惑。同情の余地もない。


ただ、やり取りされた情報がどんなものなのか気になる。私達の身辺に関わる情報が流れていたら非常に厄介だけれど。


「あちらに流された情報の種類は分かりますか?」


「あちらに流れたのは主にこちらの魔法少女のスペック情報のようです。後は警護当番のローテーション、当日の作戦タイミングなどを流したと証言しているようです」


「変身前の身辺情報は?」


「そちらは雛森さんが厳重に管理をしていたので無事だったようです。こればかりはデータ管理でなく、文書管理のみにして、専用の金庫保管にしていたのが功を奏しました」


それを聞いてホッと安心をする。私達の住まいや本名などがあちらに漏れていないのならそれは一つの安心材料になる。容姿を口頭で伝えられた可能性は否定できなくもないけれど、魔法少女の姿に反して、皆目立たないというか美少女というだけで特徴自体はそこまで突出したものではないだろうしね。


例外は私だけ。赤い髪に青灰色の瞳、色白の肌なんて特徴全部盛りみたいな容姿だから、ホント魔法庁支部内部で変身を解かないようにしていたことがこうして自分の身を守ることに繋がっているのはラッキーだ。


「魔法少女のスペック情報に関しても、今の情報より古いモノが渡っています。雛森さんが警戒をして、最新の情報は自分の懐だけで管理していたのもラッキーでした。とはいえ、既に何度も【ノーブル】とは戦闘しているので、こちらの情報がアテにならないのはあちらも理解しているでしょう」


どれだけ信用が無かったのかが伺える。よくそれで組織が機能していたものだ。あぁ、だから全部雛森さんに皺寄せが行ってたのか。それなら彼女の尋常じゃなさそうな忙しさにも納得が行く。


今、雛森さんは魔法庁に残り、行政でしか出来ない情報収集と同じようなスパイ行為をしている人物がいないかを探っているらしい。この街からも一度離れていて、東京の魔法庁本庁舎へと出向しているとのことなので、そちらも何か進展があれば嬉しいところだ。


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[一言] 身バレしてないのは良かった
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