取り戻した日々
「おー、パッシオ君久々だねー。元気にしてたかな?」
「きゅい」
呼ばれて私の肩まで駆け上って来たパッシオの頭を撫でる委員長。
わざとらしく可愛い声を出して撫でられているパッシオに私と千草は白い目を向けておくけど、まぁ場所が教室だから仕方がない。
後でパッシオの事は話すけどね。委員長も晴れてというか、必然的に魔法少女関係者。
本人も魔法少女になる事を望んでいるし、色々と情報の擦り合わせが必要だからね。
「パッシオ君もすっかりクラスに馴染んだよね〜」
「最初は留守番させるつもりだったんだけどね」
今では私たちのボディーガードという仕事も光さんから与えられてる手前、離れる訳にも行かない。
リオ君みたいに猫に似てるなら野良猫を装っていけるんだけどね。フェレットに似ているパッシオは野生にいる動物にはとても見えない。
イタチやテンとも言えるかもだけど、やっぱり街中で見かけるような動物でもないし、人目に見つかった時に保健所の方とかを呼ばれても大変だし、結局これが1番いいんだよね。
「授業をはじめますよー。……ぶはっ」
やがて先生が入って来て、生徒達に着席を促す。
その際に私の姿を見て笑うけど、やっぱり特に何も言わずに授業を始めた。
いや、止めてほしい。
そんなことをしているうちに委員長はリハビリのために学校を早退。私たちもあっという間に授業を終えて放課後になる。
「じゃーねー」
「また明日ー」
クラスメイト達と別れ、足早に迎えに来ている田所さんの所に向かう。
昇降口を出れば、美弥子さんが待っていてすぐに案内もしてくれたから、素早く車に乗り込む事も出来た。
パッシオも忘れてない。バッチリだ。
「みんなもう集まってるみたいだ」
「流石に高校より中学の方が早いね」
千草がスマホを覗いて、グループチャットを確認するともう皆が集まってるらしい。
どうしても授業時間が長いからこういうのばかりは私達は遅くなりがちだ。
「委員長も来てるかな?」
「私達でご案内しましたのでご到着なされてますよ」
今日は委員長が学校生活に復帰したのもそうだけど、改めて私たち魔法少女達と顔合わせをしようということも予定されていたのだ。
私と千草、墨亜は委員長の事をよく知ってるけどみんなは委員長の事知らないし、委員長が持ち込んだ情報や、元支部長の尋問に関しての情報も多少はもたらされてるとかなんとか。
【ノーブル】について一気に知る事が出来るだろう今回の集まりに私達はかなりの期待をしている。
ゆっくりだけど、確かに私達はアイツらの全貌に近づき始めている。
「パッシオも妖精について何か話があったりはしないのか?」
「妖精、っていうよりは奴ら側についてる妖精を1人知っているからね。それについての報告かな」
「パッシオが魔女って言ってた奴だね。ショルシエだっけか」
とにかく、今後の対応や活動について今日がより具体的な指針が決まる日だ。気を引き締めていかないと。
この間に【ノーブル】の活動が無かったのはラッキーだと考えて良いのだと思うけれど、同時に力を蓄えていると考えられる。
ここからの戦いはより苛烈になると考えた方がいい。
「全く、やる事が多過ぎるな」
「私どもも全力でサポートさせていただきます。お嬢様たちはこれからの事に集中なさってください」
「僕も可能な限り手を尽くすよ。美弥子さん達には見劣りしてしまうけどね」
それでもありがたい事に変わりはない。
美弥子さんもパッシオも、皆のお父さんとお母さん。家族の協力があって、私達は魔法少女の活動に集中出来ているしね。
本当にありがたい話だ。
「ありがとう」
「いえ、皆さんがそうしているように、これが私達のやるべき事ですから」
「そうでございますよ。さ、そろそろ着きます。ご準備をお願いします」
本部ビルが車の窓の外に見えて来る。さてさて、どんな顔合わせと情報が出てくることやら。




