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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
新学期とバレンタインと進路の話

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取り戻した日々

委員長の怖い目、というのは【ノーブル】に連れ去られる時と、連れ去られてからの事だと思う。

聞くのは時間をかけるべきなんだろうけど、【ノーブル】の情報となると私達は今、喉から手が出るほど欲しい重要な情報だ。


何か聞けないかな。とは思いつつ、やっぱり聞くのは悪い気がして談笑をしながらもどうしたものかと考え続ける。


「あっ、そうだそうだ。これ、忘れる前に渡しておくね」


「これなぁに?」


そんな時に委員長はごそごそと別途わきのトートバックの中からノートパソコンを取り出すと、それに取り付けてあったUSBメモリーを外し、私達に手渡してきた。

これは、もしかして……。


「私が連れ去られた時の、私が覚えてる限りの出来事を全部文章化してみたんだ。口で話すより、こっちの方が良いかなって思って」


「……無理に思い出さなくても良かったんだぞ?」


「ううん。私も皆の役に立ちたいもん。私がした経験が、アイツらを倒すきっかけになるなら、私はちゃんと伝えなきゃいけないもん」


恐れ入る。彼女は自分から恐ろしい記憶を思い起こして、こうしてデータとしてまとめてくれたのだ。

生半可な覚悟ではないと思う。恐ろしい記憶を思い起こすのはずっと勇気のいる行為だと私も分かっている。だから、委員長の行動は素直に尊敬できるし、逆に辛い思いをさせてまで、とも思ってしまう。


「私ね、決めたんだ」


「決めたって、何を?」


何かを決意した様子の委員長に私達は一体何を?と首を傾げる。今度は一体なにを、と戦々恐々というのが本音だ。何かとんでもない事を言いだしそうな気がする。


そう思いながら、委員長がその続きの言葉を吐き出すのを待つ。


「私、私も魔法少女になって皆と戦いたい」


「え」


「おいおい……」


「おー」


魔法少女として、私達と一緒に戦いたい。それはつまり、【ノーブル】と戦うということだ。

【ノーブル】に連れ去られ、実験体にまでされた委員長の口から出るものとしてはこれも度肝を抜かれることの一つだ。


まさか、離れるんじゃなくて立ち向かうだなんてね。普通はそうはならないよ。


墨亜は呑気にぱちぱちと拍手をしているけど、千草と私は困った顔だ。委員長の潜在能力は確かに凄い。【ノーブル】と戦う上で、戦力が少しでも増すならそれもありがたい。


それでも、委員長の身を案じると素直に喜べないというのが私と千草の感情だと思う。


「お母さんにはもう話をした。お母さんは困ってたけど、でもやられっぱなしも嫌。私に酷い目を合わせたアイツらを絶対けちょんけちょんにしてやるんだから」


「……そういえば、お前も負けん気が強いタイプだったか」


なんてタフなメンタルだ。やられたらやり返すを地で行く人なんて実のところ早々いないもんだけど、委員長はそこがガチらしい。


朱莉が怒りを爆発させるタイプの負けん気なら、委員長は静かに刃を研いで確実にやり返すタイプだ。怒らせると怖い系の人でもある。成程、氷属性だというのもうなずける。


「でも、それよりも何よりもまずはリハビリと退院。あと、日常生活が出来るくらいまでは体力戻さないとね」


「えー、真白ちゃんよりは体力あると思うけどなぁ」


私だってあれからだいぶ体力はついたんだよ。周りが体力お化け過ぎてまだついて行けないだけで。


魔法少女も最終的には魔力量と同じくらい体力が重要なのは散々言って来たし、散々鍛えられたからね。十三さんの訓練メニューはえぐいけどよく効くよ。


「とりあえず、これはありがたく預かっておく。要は要でやれることをやっておいてくれ」


「任せて。絶対みんなの力になってみせるから」


「無茶はしないようにね」


意気込む委員長に程々にね、と釘を刺しながら私達は残りの時間を雑談や学校の話に費やす。

優妃ちゃんや美海ちゃん達を今度は連れてくることを約束して、リハビリの時間が来るまで私達はいっぱい話し込んだ。


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[一言] 強い子だ
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