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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
守護獣

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ペットな魔獣

真っ黒だった手や鼻先をしっかり洗って無事隅々まで綺麗になった私達は新しいシャワー室からホカホカ気分で出て来る。

いやー、シャワー室とは言うけどシャワーだけじゃなくて色々設備があって、どちらかと言うとリラクゼーションルームみたいな感じだった。なんと、予約をすればマッサージまでしてくれるとか。ちょっと気になるから今度試してみたい。


「お待たせ―」


「おっ、来た来た。楽しめたみたいだね」


パッシオが待っている休憩コーナーまで駆け足で行くとパッシオが気付いて駆け寄った私を抱き上げる。ヒョイと持ち上げられるのは驚くけど、少し慣れて来たのでされるがままに腕の中に収まるといつもとは違う視線の高さが新鮮だ。


ザックリ20㎝以上は違うしね。パッシオと身長差は多分40㎝近くあると思うから抱き上げられて肩の位置に視線が来るようになったとしてもまだまだパッシオの顔の位置には程遠い。


「お仕事お疲れ様?」


「ありがとう。このくらいなら何てことないよ」


休憩スペースのテーブルに広がっている書類を見るに時間の合間に光さんから割り振られた仕事の処理をしていたみたいで、邪魔しちゃったかなと思うけどパッシオは平気だと言うので気にしない事にする。


本気で忙しい時は構ってくれないのは年末年始の騒ぎで把握済みだ。


「まるで年上のお兄ちゃんに甘える妹ね」


「なんだ。姉に甘えるか」


「バカ」


「あいだっ」


私達を茶化す朱莉ちゃんを茶化す碧ちゃんがゴツンと頭を殴られて蹲ってる。朱莉にそんなこと言ったらそうなるのは当たり前だよ。あと、誰が妹だ誰が。


蹲る碧ちゃんを放っておいて、皆で好き勝手に休憩スペースに陣取るとお茶やミルクを持って来たり、お菓子を持って来たりしてのびのびと過ごし始める。

新しい本部ビルはとにかく居心地がいい。職員さんからの評判も好調らしくて、特に魔法庁支部から引き抜いた人たちからは絶賛の声だと光さんから聞いている。


まぁ、これだけ設備が整っててお給料も安定してる職場なんて早々ないよね。私達魔法少女が出勤するような事態になったらすさまじい激務になるんだろうけど。ま、それは魔法庁支部の頃から変わらないか。


「あ、ノンちゃんだ。どしたのー?」


「夜ごはんっすかね。準備してあると思うっすから一緒に取りに行くっす」


「行こ行こ~」


パッシオに抱えられたまま、手際よく書類が片付けられていくのを見ていると休憩室の外にノンちゃんがやって来ていた。どうやらお腹が空いたらしく、私達の姿を見かけて餌をねだりに来たようだ。


お昼にご飯を上げてからもう夕方。確かにお腹の空いてくる時間だ。


墨亜と舞ちゃんが率先して餌を取りに行くを見送りながらぽけーっとしているとまたひょいっと抱き上げられる。


「一体いつまで抱きかかえてるつもりだ。いい加減離せ」


「真白が案外降りないからさ」


「言い訳は聞かん。さっき忠告したばかりだろう」


パッシオの膝から私を持ち上げた張本人は千草だ。なんだか妙にぷんすか怒っているけどどうかしたのかな?パッシオも困ってるよ?ただいつも通りに一緒にいただけだし、そんなに怒らなくてもいいのにね?


怒る千草に連れ去られ、パッシオから離された位置に降ろされる。まだ千草の機嫌は直ってない。シャワー室に入って来た時もなんだか不機嫌そうな感じだったし、どうかしたのかな。


なんて素直に聞いても千草は絶対「なんでもない」って言うから話してくれるか自分で解決するまで待つしかない。意地っ張りの度合いで言えば朱莉以上だから困っちゃう。


「真白、あんまりパッシオとベタベタするな」


「え、なんで?」


「なんでって、そりゃパッシオは一応男性だろう?真白は女の子な訳だし、むやみにベタベタしているのは色々問題だろ」


色々問題、そう言われて私は首を傾げる。何が問題なんだろう。パッシオは別に下心がある訳じゃないの分かってるし別に身の危険を感じたことは一度もない。

あれは私がフェレットみたいな姿。便宜上妖精態って呼んでる姿をしているパッシオを抱えるのと特に変わらないと思う。


胸やお尻を触って来るならともかく、パッシオはちゃんとそういうところは避けてくれるし私が不愉快にならないようにむしろ気を配ってくれてる。

家族みたいなものだし、抱っこくらいは普通じゃない?


「ダメだ」


「えー」


不機嫌な千草は頑なだ。なんでそんなにパッシオを急に目の敵みたいにするかなー。

別に悪い事はしてないよね?ってパッシオに同意を求めるとパッシオは苦笑いするだけで終わりだ。そういうところではぐらかすから千草が勘違いするんだってばもー。


「まぁまぁ千草さん。真白ちゃんとパッシオさんは特別ですし。ほら、朱莉ちゃんとリオ君みたいな関係だと思えばただのスキンシップですよ」


「なんか言った―?」


「にゃー」


「何でもないですよー」


紫ちゃんが宥めるけど全然ダメだ。なんでそんなにヘソ曲げてるのさ。一度機嫌悪くなるとしばらく引きずってるの千草の悪い癖だよ。自分の機嫌くらい、自分でコントロールしてほしい。


はぁ、とため息をつきながら外を見ると墨亜と舞ちゃんが運んできた餌の入った大きなポリバケツにノンちゃんが頭を突っ込んでむしゃむしゃと餌を食べていた。


呑気でいいなぁ。


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― 新着の感想 ―
[一言] ノンちゃんは癒し
[一言] まあ、千草ならそのうち自分で折り合いつけるでしょう
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