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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
紅き騎士の誓い

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設立、魔法少女協会

でもまぁ真っ先に聞くなら『魔法少女協会』についてだろう。どういった運営体制になるのか、どんな変化があるのか、ここが重要だと思う。


「基本的に何かが変わる訳じゃないわ。魔獣の討伐という魔法少女の職務に関しては貴女達は今まで通りやってもらって構わない。一番変わるだろうところはそうね、魔法少女を軍人として扱わないってところかしらね」


「つまりどういうことだ?」


「兵力、軍事力としてカウントしないってこと。今まで、魔法少女は広義の意味で見ると国所属の軍人だったから、それから第三者機関にその機能を移すことで魔法少女を軍人や兵力、軍事力としてカウント出来なくさせたわ」


それでなにが変わるかわかる?と問われて、この街の魔法少女達は揃って首を傾げる。無理もない、この国はそれとはしばらく縁遠かった国だからね。


私は海外を飛び回っていた経験があるからすぐに思い浮かんだ。軍人ではなくなるということはつまり。


「戦争に使われるリスクが減るってことだよね」


「その通り。流石はアリウムちゃんね」


光さんに頭を撫でられて、目を細めながら手のひらにほっぺをすりすりと押し付けておく。

よしよしと少しの間撫でられて話は再び戻る。


魔法少女は現状魔獣への対抗策であるけど、国によっては強大な兵器として運用している場合もある。

そのため、各国は魔法少女を軍人としていつでも招集出来るように管理をしているわけだ。


いざという時魔法少女に魔法少女をぶつけて戦わせるために。


勿論人権的には大問題だ。でも、世界の軍事情勢を見るにそう易々と引っ込めるわけにもいかない。そんな状況に一石を投じようと光さんはしているわけだ。


恐らく、光さんの最終目標は『魔法少女協会』を世界規模の国際的な機関にすること。世界中の魔法少女はここに在籍し、軍事から切り離して魔獣に対抗しようというのが光さんがやりたいことのはず。

それを伝えると、光さんは強くうなずいて見せる。


「アリウムちゃんの言う通り、私がやりたいのはそれよ。でもすぐにそうはいかない。実績を積んでいって認められる必要があるわ。そのために、力を貸して頂戴」


それには私達も賛成だ。国の面倒事から切り離されて行動できるならそれに越したことはない。

私の目標である。魔法少女を守るという部分にもとても重要な事柄になるなら、光さんがやろうとしていることには全面的に協力する。


皆も完全に理解しているかはともかく、悪い事ではないとは分かっているようで良いんじゃないかなと肯定的だ。

細かい部分は親を交えた話し合いになるだろうから、しばらくは忙しい感じになりそうだ。


「色々調整が終わったら私は街から離れますね」


『魔法少女協会』の在り方について軽い説明が終わるとウィスティーさんが唐突にそう告げる。その目は覚悟をした目だ。いや、ようやくやりたいことが出来るとこれからに期待をしている目にも思える。


「ふふっ、そう言うと思ったわ。任せなさい、貴女にとって最高のパフォーマンスが出来るようにサポートするわ」


「ありがとうございます」


「ウィスお姉ちゃん、また行っちゃうの?」


「あはは、ごめんね。今度こそ帰ってこないかも。世界中を回らなきゃ。助けられる人がたくさんいるからね」


あぁ、なるほど。国からの束縛が無くなるということは、活動領域にもより幅が効くということだ。多少の調整は必要だろうけど、国所属ではないならより広い地域に足を運ぶことが出来るはずだ。


そこにはやっぱり魔獣被害で困っている人がいるはず。ウィスティーさんはそういったところにも足を運び、人々を救うつもりでいるらしい。


「可愛い後輩たちはどうするの?」


「んー。リエ、頼んでもいい?」


「言うと思った。分かったわ。バッチリ鍛えておくから」


そうなるということは、ウィスティーさんがルビー達の訓練の指導から外れるということ。その代役はどうやらリエンダオさんにバトンが渡されるようだ。


呆れたように笑うリエンダオさんもそれは予想済みだったようで、ウィスティーさんの背中に寄りかかりながらお小言を言っている。


「リエンダオさん。私からも一つお願いが」


「ん?雛森さんだったわよね?私に?」


「ハイ。私は政府側の魔法庁にまだしばらく残ります。パイプ役が必要ですし、色々やることがまだあるので。それらが終わるまで、彼女達を私からもお願いしたいと思います」


「はぁ~、大先輩の一人に言われたら断れないですよ。わかりました」


驚くことに雛森さんも一旦離れるつもりらしい。主に政府と『魔法少女協会』との橋渡し役を一手に引き受けるつもりのようだ。成程、確かに私達にかまってる暇はなくなるだろう。


え~、と他の魔法少女達からも声が上がるけど、雛森さんはごめんねと笑って言うだけだ。いつかは戻って来ると言っているし、それを待つのが良いと思う。


「さーて、その辺りの調整は年末年始を跨いでからでも間に合うわ。今日はもうお終いにして、クリスマスパーティーなんてどう?新しい顔ぶれも多いから、皆で一気に親睦を深めましょう」


「さんせー!!」


「お腹空きました!!」


「肉食いたい!!」


大人の引継ぎ業務の話も程々に、大騒ぎだった騒動はひと段落。羽を伸ばすのには大賛成だ。

なんたって今日は12月23日。明日にはクリスマスなんだからね。


とんだ大騒ぎの誕生日とクリスマスになっちゃったけど、それもまあいつかの思い出ってことで。


「僕らの秘密なんてまるで小さな出来事だったね」


「良いじゃない。変に暗くなるよりは丸く収まったんだもん」


「それもそうか。じゃあ改めて、誕生日とクリスマスおめでとう?で良いのかな?」


「あはは、誕生日はおめでとうだけど。クリスマスはメリークリスマス!!って言うんだよ」


騒ぎが大きすぎて、すっかり霞んでしまった私達の秘密なんて本当に小さな出来事だった。

でもそれで良かったんだろうなって思う。後が良ければすべて良し、ってね。


自分の抱えているモノをちゃんと吐き出し切った私達はこれからもっと強い絆で結ばれていくと思う。

魔法少女と妖精と人間と魔獣と、皆で作った強い繋がりをこれからどんどん強くしていけば、きっとどんな敵にも負けない。


漠然とだけど、そうだと思えた。


5月に入ろうという時期にクリスマスというワードが出るという……

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― 新着の感想 ―
[一言] 一時はどうなるかと思ったけどよかった。 ちなみに私の働いてるところはここまで無能な人はいないので安心して下さい。災害とかあった場合必ず駆けつけます。
[一言] でっかい夢だなぁ まあ、光さんらしい。
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