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大人たちの反撃

レンタカーを借りてきているという千紗さんに促され車の助手席に乗り込む。エンジン音を鳴らしながら発進したところで、私は一体光さんが何をしていたのかを聞いてみる。


千紗さんは少し唸った後、私も全容を把握してるわけではないけれどと前置きをしながらハンドルを回しながら答え始める。


「私のところに今回に関する話が来たのはそれこそ数年前からなんだ」


「数年前?!」


「いや、そんなに驚くことでもないよ。その時私達が依頼されたのは当時いるはずのないアリウムフルールの事じゃなくて、ここの支部長に関する調査だからね」


数年前と聞いて驚く私に、違う違うと片手を振って返って来て私はホッと息を吐く。そんな昔から今の状況を予測していたらそれはもう予言者だ。


魔法少女ですら出来なさそうなことを一般人が出来ると言われたらそれはもう本物の魔女か何かを疑うところだけれど、そうでない事に安心をする。正直、光さんが魔女だと言われても、納得しかないけれど。


「その時依頼されたのが、支部長の身辺調査でね。要は引きずりおろすために強請るネタが欲しかった訳だ。その時には魔法庁を如何にして解体して、魔法少女をより自由に活動させるかって考えがあったみたいで、あれこれ動いてたみたいなんだ」


「よくそんな個人的な依頼で動きましたね……」


「あまり良い噂を聞く人物でも無かったし、私達魔取りは元を辿れば魔法少女。魔法少女のためになって、それがより世の中のためになりそうであるなら政府よりそっちにつくさ。あの人たちの件もあるから特に私達世代は政府に対して疑念を抱いてることも多いしな」


火のない所に煙は立たない、ということだろうか。少なくとも確かに人間としても決して良い人ではない。どちらかと言えば、なんて言わずに圧倒的にクズ寄りだ。

自分の利権のためなら、いそいそと犯罪行為に手を染めることだろう事が容易に想像できる。主に賄賂とかその辺りだ。


それに、あの人たちというのは先輩達、S級魔獣と直接戦った魔法少女達の事だろう。

あの戦いでS級魔獣と直接戦った魔法少女達はほぼ全員が命を落としている。いや、死ぬだろうと分かっていて戦いに赴いた。


半ば政府や世界に、大多数のために死んでくれと言われていたようなものだったのだ。それを知ったのは戦いが終わってからであったけど、ファースト世代の魔法少女達が政府から離れている傾向にあるのはこれも大きな原因の一つだ。


「まぁ、そんなこんなで私達魔取りも日頃の職務の合間を縫って、調査をしていたわけだ。魔法少女取締り部隊、とは言われているけど実際には魔法犯罪に関する捜査権限を持つ部隊でもあるしね。魔法庁内のアレコレなら、広義の意味では私達の管轄でもあった」


「で、収穫は?」


「数年前に依頼されたのに今動いてることを察してもらえると。何かをこそこそやっている怪しい連中はこの支部以外にも何人かいたんだけど、その肝心の何かが把握出来なくてね。中々苦労していたんだけど、思わぬところからこの半年間でヒントが転がり込んできた」


思わぬところ、とはどこだろうか。まさか相手の内部からの密告でもあったのか。いや、それならそれこそもっと迅速に動いてるべきだ。タレコミがあった時点で動かないと逃げられる。


その思わぬところとは何かを考えていると、君の身近な子達からだよと答えられた。

身近、というとこの街の魔法少女達だろうか。いや、でも彼女達が?


それこそ、彼女たちの問題は後から出て来たことであって、今回の件に直接かかわりがあるのはアリウムフルールの逮捕状の件だけだ。半年間の事柄、と言うのは不適切な表現になる。


「【ノーブル】。そう聞いた時、ピンと来るものがあってね。昔、まだ私達がS級魔獣と戦っていた頃に小耳に挟んだことがあったんだ。君たちはまだ当時12歳とかだったし、知っていたのもごくごく一部の者達だけだったと思う」


【ノーブル】。今、この街の魔法少女達が全面的に敵対しているテロ組織。

特徴は相手も魔法を使えること。魔力を扱う技術がある、ということだ。この街近辺での活動が多いようではあるけれど、近隣の街を中心に警戒を促しているところ。


世界的な活動はしていないようだから、お世辞にも規模は大きくないと推定されるけど、警戒すべきはやはりその謎に満ちた技術。


Slot Absorberをはじめとしたそれらはこちらにも利をもたらしてはいるけれど、目的も見えずひたすらに不気味な印象を持っている。

それが、8年ほど前から名前を聞いたことがあるというのだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 思ったより前からあったのかあの組織
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