表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
紅き騎士の誓い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

401/1672

大人たちの反撃

そこからは議長やら議員やらのケツを蹴とばしながら何が起こっているのかを説明して大急ぎで必要な決議やら判子やらを押させる。反対意見やら何やらも跳んで来たけど、既に判子が押されれば即決行の状態まで準備済み。


お国とお国公認で話を進めていた諸星が中心にいるとなれば、諸星から多大な支援を受けているこの街のお偉いさん達は最終的にその口を閉じることになる。


元々、魔法少女に対しては比較的理解のある人たちが多かったのも多い。街の有権者は街を直接守る魔法少女に感謝こそあれど、不用意な敵対や私的利用を避ける傾向にある。

街にいる魔法少女と仲良くしておかないと、自分の身に直接かかわりかねないからね。


「例外中も例外の対応だよ」


「文句なら諸星家に言ってください」


議長さんに小言を言われたけど、私に言われても困る。この案件を進めてたのは光さん達で私は完全にお遣いだ。


支部長の後ろ暗い話に、世界的に知名度がある私が大急ぎでやって来たというのも議員さん達が大急ぎで話を進めてくれた理由の一つになるのかな。そういうところも目ざといというか、計算に織り込み済みなんだろうな。


そんなこんなで普段なら何日何週間、何か月と掛かるだろう検討の会議やら判子押しやら何やらをそれはもう強権的なものが見え隠れしながら数時間のスピードで通ることになる。


「前から話は来ていたが、こんな突然に大急ぎとは聞いてない」


「文句なら諸星家に言ってください」


何度目かの小言と、何回目か分からない私の返事にお互いため息を吐きながら、私はGOサインが出たことを光さんに連絡する。


【流石は世界を股にかけるS級魔法少女。緊急性を訴えたら普段はトロいクソ爺共も速いわね】


「色々漏れてますよ」


【まぁまぁ、それじゃあ次はお待ちかねの魔法庁に向かってもらうわ。協力者もそっちに行かせているから、合流して頂戴】


暴言に近い発言もちらほら見え隠れしつつ、次の行動を指示される。というか、やっぱり私の知名度というか、脅威に対する発言力の高さを考えて私をこのお遣いの担当に回したみたいだ。


本当に抜け目がない。最初から手のひらの上で転がされていたのではないかと錯覚してしまうくらいには用意周到。

実際にはありとあらゆる方法、手段を前もって用意して、どんなことにも対応できるようにあらかじめの準備をしていたのだろうけれど。


それにしたってとてつもない時間と労力、そしてお金がかかるはず。改めて光さんという個人の力量と諸星の資金力の高さを思い知る。


「失礼。東風 藤子さんで間違いないか?」


「……?貴女は?」


役所の外の自販機で缶コーヒーを買いながら、物思いにふけっていると後ろから声を掛けられる。ハスキーで色のある声だ。

振り向くと切れ長の目が印象的な綺麗なジャケット姿の女性が立っていた。


黒の髪を耳が出るくらいに短くしていて、一瞬顔の整った男性アイドル的な人かと思ってしまうくらいには凛々しい雰囲気のひとだ。


「失礼。私は魔法少女取締り部隊を取り仕切らせてもらっている。五十嵐(イガラシ) 千紗(チサ)という。諸星の協力を得てここに来ている」


「こ、こちらこそ失礼いたしました。まさか先輩だとは露知らず」


自己紹介をして、私は咄嗟に襟を正す。彼女もファースト世代の魔法少女の1人でかつて、S級魔獣の討伐の際に当時でも実力者に数えられていた人だ。


直接の関わりは薄かったのですっかり忘れていたけど当時の面影は確かにある。今とは違って長くて綺麗な髪をしていたと覚えているのだけど。


「よしてくれ先輩だなんて。当時の私は怪我で戦線から外れてしまったし、今でも第一線で活躍して研鑽を続ける君の方がずっと立派だ」


「恐縮です。協力者というのは、千紗さんということでしょうか?」


「あぁ、光さんは私に検察の仕事を叩き込んだ謂わば師匠でね。火急の頼みとあっては私も無下には出来なかったんだ。明依には会ったかい?確か同期で仲も良かったはずだが」


敬語を外さない私に苦笑いしながら、私の問いかけに千紗さんは是と答える。


どうやら元々光さんとは繋がりがあったらしい。師の頼みとなると、確かに断れない。元々バリバリに仕事を熟す検察官だったという話は聞いているし、相当しごかれたのだろう。


そして、その人が明依の上司でこうして私の前に現れるなんて奇妙な繋がりもあったものだ。


ただ、生憎明依とは多少の意見の違いがあり、今はたもとを分かってる状態だと伝えると逆に千紗さんはオッケーオッケーと、笑っていた。


「まぁ、こうして君がここにいるんだから上手くやったって事か」


「……話が読めないんですけど」


「我々は光先生の手のひらの上という事さ。国まで踊らせるんだからトンデモない人だよホント」


困ったように笑う千紗さんに、私は目頭を揉んで天を仰ぐ。


やっぱり、踊らされてたかぁ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 絶対に敵には回しちゃいけない人
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ