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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
紅き騎士の誓い

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覚悟を決めろ

ぞわりと鳥肌が立つ感覚を全身が襲うけど、何度も言うように覚悟はしていたことだ。

というより、こうなるべきなのだ。僕は僕自身がしでかしたことを洗いざらい話したうえで、真白の身の安全を担保してもらおうとしているのだから。


真白を使って自らの安全を確保したんだ。その逆、それ以上のことをしないと道理に合わないだろう。


「具体的にお答えいただけると助かりますパッシオ様。美弥子の方が今にも飛び出しそうなので」


美弥子さんの肩を抑える十三さんに急かされ、僕は更に追加で説明をするために口を開く。


元々、真白に魔法少女にならないかと提案をしたときに僕が説明をした内容は、まるで僕が妖精界から事態鎮圧のために送られて来た人員であり、上司に命じられて嫌々ながらに魔法少女にならないか?と持ち掛けている、といったものだった。


だけど、先ほど説明した通り今の僕に上司も何もない。僕をこの世界に送り込んだのは僕を捕虜として捕らえた帝国であって、その流刑地としてこの世界が選ばれただけだ。

誰かに命じられたわけでもない。僕が僕の都合で、真白を魔法少女という戦いの道に引きずり込んだんだ。


「世界に穴が開き、僕らが送り込まれて来たのがこの世界での10年前の出来事。そして10年前から都合よく魔力を扱える少女達が現れるようになったのもまた、妖精たちに原因があるんだ」


「妖精が魔法少女を生み出したと?」


「そうだよ。魔力を貯め込める素質を持った少女達は言わば出口の無い魔力の溜め池だ。僕らは持っていた魔法技術で最初の魔法少女達に魔力を外へと吐き出すための道筋を補助をした。そうして彼女たちは魔力を扱えるようになった。それが魔法少女だ」


僕ら妖精が何故そんなことをしたのかと言えば、魔力が得られるからだ。この世界の魔力

濃度は僕ら妖精界の世界に比べれば希薄過ぎる。


魔力を十分な量補充出来ない妖精は魔力保有量が少ない個体からバタバタと倒れていった。そのさなかで見いだされた有効な魔力補給の方法が、魔法少女を生み出すこと。


貯め込んだ魔力に道筋を作り、体外に噴出した魔力は大気中のそれより濃度が濃く上質だ。量も多いため、この技術が生まれた後は多くの妖精達が生きるために魔法少女を多く生み出していった。


「それが君たちがファースト世代と呼ぶ魔法少女達だ。藤子さん、それに雛森さんと新田先生もファースト世代の魔法少女だよね?」


「ハイ、そうですね。私と那奈は主に後方支援の担当でしたけど」


「私達が魔法少女になった理由にそんな裏があったとはね」


雛森さんと新田先生が魔法少女だと気付いたのは最近になってからだ。魔法少女に変身する前の魔法少女は魔力を体外に放出していないので感知が難しい。

少しの時間直接触れ、意識して探知を行わないと無理だ。


では何故探知が難しい変身前の魔法少女、及び魔法少女の素質がある少女達を妖精が探すことが出来たのかと問われると、僕たちが探し出せたのは魔法少女の素質がある中で魔力許容量が限界に達し始めている少女達、というのが正しい言い方になる。


中身が見えないコップと水と考えてくれればいい。コップの中に水が収まっている内は僕らに検知は出来ない。これが零れそうな時や、溢れ始めた時に僕らもようやく素質がある少女達を検知できると言うことだ。


逆に自らの容量を超えてまで魔力を貯められない少女は自動的に魔法少女になる素質が薄い。


そんな少女達を、僕たちはひたすら探し続けたのだ。豊富な魔力のお零れを、僕らが人知れず受け取るために。


「僕も例に漏れず、そんな妖精の一人だった。身体を小さくさせることで燃費をよくする独自の方法は編み出してはいたけれどね」


「妖精はそんなにころころ姿を変えられるものなの?」


「妖精からすると個人を判別する手段は容姿じゃなくて魔力だからね。姿かたちが変わっても、魔力が同じなら同一人物だ」


妖精自体はさっきも言ったように元をたどると魔力の塊だ。魔力という不定系なものを由来としているが故か、僕らは姿形をある程度変えることが出来、その中で僕は身体を小さくすることで、日常的に消費してしまう魔力量を抑えていた。


でも、そんな他人の蜜を啜って生きていくのにも限界は訪れた。


「と、言いますと?」


「ひとりでに魔力を放出出来るようになる子が出てき始めたのさ。魔力というものに適合し始めたんだろうね。ここ最近の魔法少女はほぼそうだよ。碧ちゃん達も千草達も皆自分で魔法少女になった子達だ」


「自分で魔力を放出出来るようになったということは……」


「妖精たちは能動的に魔力を回収する手段を再度失っていったのね」


玄太郎さんと光さんの言う通り、僕らは緩やかにだけど魔力を取得する方法を失っていった。

まぁ、それ以前から少女を戦地に送る罪悪感に押しつぶされる妖精がいたり、魔獣と誤解されて魔法少女に倒されたりする妖精も多かったし結局妖精は外来の生き物で、この世界に適応しようとしなかった時点できっと道筋としては決まっていたのだと思う。



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― 新着の感想 ―
[良い点]  雛森さんが魔法少女なところ、気付きませんでした。現場で少女に同情しているだけではなくかつて戦場にいった友人を思い起こして怠業しているのですね。 [一言] >この世界に適応しようとしなかっ…
2020/04/03 20:40 通りすがりの人
[一言] そんな裏がねぇ
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