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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
紅き騎士の誓い

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そうだ街へ行こう

朱莉の超絶技巧に目を奪われてポカンとしている内にゲームが終わって、それを後ろで見ていた藤子さんが笑って眺めていて、朱莉は何やってんのよとこちらを見ているけど私の腕はそんなに早く動かない。


「鬼難易度じゃなければこんなのやらないわよ」


「凄い顔してたぞ。あー、おかしかった」


音ゲーは極めると人間辞める。真白覚えました。


そんなことをしつつ、そのあとは普通にそのゲームを楽しんだ。普通の難易度は普通に楽しめたよ。

朱莉がやった鬼難易度はもう、まずどう動かせばいいのか分からないくらい奴だった。


他にも朱莉が洗濯機と呼んでいた、確かにドラム型洗濯機とても良く似た形の筐体のゲームや可愛いキャラクターが画面で踊ったりしているのをタイミングよく画面をタッチして遊ぶゲームなんかを遊んだりした。


その中で、色々と一番の反響というか凄いことになっていたのは曲に合わせて矢印を踏んでダンスをするというゲームだ。

これが何故かギャラリーが出来ていた。


シンプルなゲームだから1人でも出来ると思って、二人は後ろで見ているという風だったんだけどその後ろに10人近い人だかりが出来ていたのだ。

たまたま振り向いたら知らない人たちが何人もいてびっくりした。


藤子さんがギロリと睨んだら蜘蛛の子を散らすようにして逃げていったけど、果たしてアレは何だったんだろう。


「全く、ロリコンどもめ。油断も隙もあったもんじゃないわ」


「真白クラスの美少女を見たいなら画面越しの観賞かアイドルでも見てろってーのよ」


なんだか二人はぶつぶつ言っているけど、怖いから詳しくは聞かないことにする。ああいう時はあの逃げていった人たちの方が大概悪いのだ。


そんなことよりトイレに行きたい。私がそのことを告げると二人が分かったと言ってトイレの入り口まで案内してくれた。

他にもいろんなゲームしたいし、手早く済ませてしまおう。








「朱莉、ちょっと話があるわ」


「今ここですることですか?」


「緊急よ。アリウムフルールについての」


真白がトイレに入ったのが見えたところで藤ねえが話しかけてきて、藤ねえと同じように壁に寄りかかって応える。

ゲームセンターなんて場所でするはずのない仕事モードのマジトーンに私も相応の態度で返すけど、アリウムについてで緊急の話とあっては私もこの場で聞くべきだと判断した。


「支部長の馬鹿がやらかしたわ」


「結論から言って。真白が戻ってくる。聞かれないために二人の時に話を振ったんでしょ」


支部長の馬鹿はいつものことだ。最近は大人しいものだったけど、過去には散々振り回され、そのせいで辞めた魔法少女も多い。

セクハラパワハラモラハラ上等のクソ上司。それが私達の支部長に対しての評価だ。


それがアリウムに対して何をやらかしたというのか。彼女はあくまで野良。政府や行政が彼女に対して何かを行使できる権限は持ち合わせていないはずだけれど……。


「妄想甚だしい理屈でアリウムの逮捕状を請求したわ。既に受理されて、対魔法少女用の尋問官がこっちに移動し始めてる」


「んなっ?!」


藤ねえの言葉に思わず藤ねえの胸倉を掴む。ふざけるな。アリウムに、真白に逮捕状?そんな明らかに、どう考えても根も葉もないことで私たちの仲間が犯罪者扱いされようとしているのかと、激昂しかけた私に藤ねえは冷静に言葉を返す。


「魔法庁の権限で魔法少女に対して逮捕状請求が出来ることは知っていたけど、まさか妄想レベルの話で『スパイ容疑』での拘束が認められるなんて私も思わなかったわ」


「今すぐ取り下げられないの?」


「一度受理された以上は難しいでしょうね。まだ容疑者としての逮捕だから、訴訟されるかはまた別だけれど……。スパイ容疑である以上、尋問はかなり厳しいものになるわ。彼女が私たちに語っていない部分も不本意な形で晒されることになるし、何より野良とはいえ、街を守る為に戦っていた魔法少女が逮捕されるなんていうのはマスコミの格好の餌食でしょうね」


逮捕状、スパイ容疑、ふざけた話だ。そんなことは一緒に戦ってきた私達があり得ないことをよく分かっている。


仲間の尊厳を傷つけ貶めるような行為に私は怒りをどこにぶつけるべきか分からなくなって藤ねえの掴んでいた胸倉を荒々しく離す。

思い切り壁に叩きつけられる音がゲームセンターの騒音の中にかき消される。


「何か方法は無いの?」


「最善は彼女が潔白であると彼女自身が証明することよ。ただ、反論の余地を残さずにやらなきゃいけない。相手はプロ、生半可なことをすればそこからこじ開けようとしてくるわ」


「そんなの悪魔の証明じゃない……っ!!」


身分を明かせず、諸星に保護されている真白相手となれば相手はどんな切り口からでも攻めることが出来る。


何故黙っているのかは分からない。ただ彼女の真摯な行動が、時折見せる吹けば消えてしまいそうな脆さを見た人たちが、あの子を何とか今いる場所に縫い留めようといろんな人が奔走していることは私だって察している。


真白は例え語れない事があっても、その行動とそこから見える信念で私達の信頼を勝ち取ったのだ。

それを、それを……っ!!


「私からも可能な限り出来ることはするわ。雛森さんはもう諸星に連絡を入れてる。でも、いざいうという時にアリウムフルールを守るのは貴女達になると思う。……出来るわね」


「やるに決まってるわ。何回もアリウムには守られてる。次は私たちの番よ」


「頼んだわ」


既に大人たちは動き始めているみたい。だったら、私達も出来ることをしないと。


「お待たせ―。次は何して遊ぶ?」


「今度は音ゲー以外のゲームもしてみない?いろんなゲームがあるわよ」


「格ゲーはいよいよ初心者向けじゃないですよ」


「さすがに格ゲーは勧めないって」


ようやく、友達になれた。これからもっともっと仲良くなりたい友人を私は絶対に守って見せる。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 逮捕状なんて出したの気付かれたらアウリムが二度と出て来なくなる可能性は考えなかったのだろうか、 [一言] 考えなかんだろうなあ、あの無能は、
[一言] 政府は全員絞めた方がいい気がしてきた
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