そうだ街へ行こう
ピコンと『イキシア』から通知音が鳴る。同じように朱莉のスマホからも通知音が鳴って、私達のグループチャットからの通知だということは分かった。
「あはは、紫ちゃんめっちゃ怒ってる。朱莉、教えてなかったの?」
「うん、真白からは二人で行こうってオーダーだったしさ。皆でどっかに行くのはやろうと思えばいつでも出来そうじゃない?紫も来たら他のメンツも連れてけーって言うだろうしさ」
「確かに、3人くらいになったらもういっそ全員呼んじゃうかってなっちゃうよね」
チャットは私達が二人で遊びに行っている写真を上げたことに一番最初に気が付いた紫ちゃんからだ。
ずるい!!という一言に怒っている絵文字が添えられていて、二人で遊びに行っていることにやきもちを妬いているみたいだった。
「それにしてもここのパンケーキ美味しいね。見た目も可愛いし」
「でしょ?映えよ映え。真白はSNSとかやらないの?」
「一応、クラスメイトがアカウント作ってくれたんだけど、どう使えば良いのかわからなくて」
味もさることながら、その見た目がお洒落だったパンケーキは写真を一枚撮った後には私達のお腹の中に吸い込まれていった。
甘いけど食べやすい甘さで、ボリュームもそれなり。お昼には十分な量だと思う。朱莉はそのパンケーキの写真をグループチャットと自分のSNSアカウントへと早速投稿しているみたいだった。
「私は大体美味しいもの食べたときとか、今日買った新しい服とかを投稿してるわよ。今日はこんなことしてましたー的な」
「投稿してどうするの?」
「別にどうもこうもないわよ。コメント帰ってくることもあるけど殆どないわね。私鍵垢だし」
「……鍵垢?」
ダメだ、話に全然ついていけない。クラスメイト達のお話は皆が私のレベルに合わせてくれていたんだなとヒシヒシ感じる。うーん、色々勉強しないと。このままだと本当に世間知らずのお嬢様になってしまう。
せめて一般常識レベルの話は出来るようにするべきだよね。色々困るもん。
「ロックを掛けたアカウントのこと。鍵のマークがついるから鍵垢って通称なのよ」
「へー」
「そうすると、相互フォローしてないとお互いの投稿が見れないのよ。ま、変なのに絡まれたくないためにする自衛手段の一つね」
成る程なぁ、そういうことも出来るのか。確かにうかつな投稿一つでストーカーに付きまとわれたなんてニュースも稀に聞くし、私もしとこう。怖いし。
といっても使うかといわれると微妙なんだけど。だって使い方イマイチよくわかんないし。
「結構機械音痴よね。最初にあった頃は完璧超人くらいに思ってたけど、勉強以外は割とポンコツよね」
「もうちょっとオブラートに包んでもいいんじゃないかなっ」
相変わらずドストレートな物言いにもうちょっと優しめに伝えてほしいかなと要望するけど、朱莉は笑うだけで反省の余地もない。
そこが朱莉らしい部分でもあるけど、もうちょっと棘を引っ込めて良いと思うな私は!!
特に私への物言いがひどい気がする。それだけ対等に見てくれているということなのかも知れないけど。
「さて、移動しましょうか」
「そうだね。あ、移動するなら荷物をどうにかしないとね」
「そういえばそうね」
紙袋がお互い5個はある。かなり買い込んでしまったけれど、中々に楽しかった。因みに今は服を着替えていて、二人そろって色違いの同じ格好をしている。
朱莉は赤のワンピース。私は白のワンピースにお揃いの紺のコートを着ている。それに私はいつもの白いマフラー。朱莉はピンクのキャップを被って少しだけスポーティにしている。
最初に朱莉が提案した双子コーデというやつだ。最近では仲のいい友達同士でやることも多いみたいで、成る程同じ格好をしているとなんだかテンションの上がり方も一緒になるように思えて良いと思う。
私達はめちゃくちゃ仲のいい友達ですって主張しているような感じも私としてはなんだかうれしい。
でもやっぱり荷物が多すぎて移動には支障をきたしているし、この荷物をどうにかする手段には一応心当たりがある。
「もしもし美弥子さん?」
【は、はい。なんでしょう】
「多分近くにいるんだろうから、荷物お願いしたいなぁって」
【あ、あぁ、そういうことでしたか。はい、分かりました今からそちらに担当の者を向かわせます。少々お待ちください】
その心当たり、美弥子さんに連絡をするとやっぱりなーって感じだ。
いくら私が望んだこととは言え、諸星家が何の対処もしていないわけがない。ボディーガード用の人員くらいは寄こしている筈だと読んで、電話をしてみればビンゴだったみたい。




