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それぞれの魔法少女

すみません、ちょっとエグイ内容になってしまった感あります


苦手な人は飛ばした方が良いかもです

私の今の状態を鑑みるに、状況はどう足掻いても不利


だけど、ここで逃げたらあの魔獣が何処で何をするのか分からない。飛行出来る魔獣は移動範囲も広い。それはつまり被害の範囲も広い


幸い、魔獣のターゲットとしたのは私。逃げなければこのまま引き付けていられる

時間さえ稼げば、アズールもアメティアもすぐ来てくれるし、フェイツェイとノワールだってこちらに向かってる


「それにアリウムフルールだって来るはず」


それだけの魔法少女が揃えば、あの魔獣だって倒せる。私はあれを引きつけながら時間稼ぎをすればいい


「キュルウァアァァァァァァッ!!!」


私が戦意を見せたことに気付いたらしい魔獣が戦闘の合図と言わんばかりに吼える


私もそれを皮切りに、足裏を爆発させて一気に空中へ躍り出た


「……!!」


それだけ、たったその動作だけで自分の調子が如何に悪いかを自覚する


いつも通りに出力させたはずの魔法の効果が甘い。足裏で小爆発を起こして無理矢理推進力を得る単調な魔法だからこそ、それが嫌な程実感できた


具体的に言うと、遅い上に目的の場所まで行くのにいつもより3割増しくらいの回数が欲しい

だけどそれで引いて良い訳でもない。戦いのゴングが鳴った以上、背中を見せた瞬間にこの魔獣は襲い掛かって来るだろう


「はっ!!」


まずは一撃。手に握る直剣を振るい、すれ違いざまに切りつける


がそれは翼の一振りで大きく避けられ、同時にその動作で私に打撃を撃ち込んで来る

私もこれを足裏を大きく爆発させてさらに高く飛び上がることで回避する


デカい上に機敏だ。大体大型の魔獣になれば成る程、その身体の大きさから機敏さが失われて行き、代わりにその一撃の破壊力が増していく


私の眼下に映る魔獣もかなり大きい。鳥型、恐らく猛禽類が魔獣化したそれの体高は5mを超えている、翼を完全に広げたその翼長は20mはある様に見える

それでいて、空中でのこの機敏さは鳥型故と言える


ただ、鳥型魔獣の共通の弱点はその防御力の脆さ。飛行能力を獲得している鳥は、身体を極限まで軽くするために骨が空洞だったり、体表を覆って身体を守る脂肪も少ない

それらの元になった生き物の特徴を魔獣は引き継いで、巨大化、凶暴化するのだ


ただし、現代兵器は更にその上を覆う魔力によってほとんどすべてが無効化される


それをすり抜けるのは同じ魔力。つまり私達魔法少女の攻撃


「はぁッ!!」


細かい爆発を足裏で連続で起こして、落ちないように維持しながら、ジグザグに動き回り、肉薄する

それを避けられ、反撃され、私が避ける。同じことの繰り返しで、決定打も無いものだけれど、私の仕事は時間稼ぎ。これで良い


ここでコイツを足止めして、皆が来るのを待つのが私の仕事

もう一度、足裏を爆発させる


「――ッ!!」


思わず言葉を失ったと同時に、マズいと悟った。飛び上がったその先に、待ち構えるように魔獣が先に移動していた


何度となく同じ行動を繰り返したことで学習したのか、私の移動先を読んでいたのか

迫り来る爪に剣で対応するも、誤魔化しにもならず鋭い爪で容赦なく私の肌を切り裂いて来た


「う、ぐぅううっ!!」


鋭く焼けるような痛みに声が漏れて堪らず、大きな爆発をヤケクソ気味に起こして無理矢理その場から身体を弾き飛ばす


計算した規模の爆発じゃないので無秩序に吹き飛ばされた私は、そのまま自由落下でドンドンと高度を落としていく。流石にこの高さで地面に激突したら魔法少女とは言え相当なダメージを負う


それを避けるために、どうにかして空中で姿勢を整え、もう一度足裏を爆発させて上に飛び上がろうとするが


「キュァッ!!」


「なっ?!」


その間に魔獣の方は体勢を立て直して、私に肉薄していた


ガシリとその太い脚に捕まれた私はもがきはするものの抜け出すことは出来ない。これが平時なら強力な炎魔法で焼き鳥にするところなのだが、私の魔力は既に2割を切っており、その魔法を使う余力は残されていなかった


「離せっ!!このっ!!」


暴れる私を無視して、魔獣は高度を上げると唐突に私を空中でポイっと投げ捨てる

一瞬、何が起こったのか分からなかったが、そこから先が地獄だった


落ちる私を、この魔獣はまるで落とさないように遊ぶかの如く、ひたすら空中でついばみ続けたのだ

鋭く、巨大な嘴は爪以上に私を蹂躙した。魔法少女由来の体表を覆う魔法があるとは言え、そんなものは今の状況ではちょっと頑丈になった程度のそれでしかない


「キュアァァ」


やがて、飽きた様についばむのを止めた魔獣に見下ろされながら、地上にその身体と意識を落とした


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