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それぞれの魔法少女

俺と魔獣の戦いは一進一退の攻防を繰り広げていた


「ウオオォォォウォウ!!」


「っ!!」


4階まである、建物の骨組みも見える構造の吹き抜け。その骨組みをまるでジャングルジムを軽快に昇り降りするかのような身軽さで動き回る魔獣と、1階で魔獣の攻撃を確実にしのぎながら、動き回る魔獣を障壁で捕らえるタイミングを見計らう俺


体格差からすれば本来逆の立場であろう魔獣と魔法少女は、どちらも決め手に欠けたまま戦い続けていた


「全く、図体の割にすばしっこい」


「猿を元にした魔獣がここまで手強いとはね。魔獣にしては高い知性と、木から木へ飛び移る機動力。成る程、厄介だ」


勝負は時の運、なんて言葉もあるがとにかく今回は場所が悪い。ジャングルジムの様に移動ができる吹き抜けのこの空間はあの魔獣にとって正に地の利がある場所。水を得た魚、鬼に金棒、と言ったところか


何せ自身の機動力を十分に発揮できるフィールドなのだから

俺がここを動こうとすれば、執拗にここから出ない様に攻撃を仕掛けて来るし、じゃあここで障壁で捕らえようにも機敏過ぎて今の俺では捉え切れない


かと言って、向こうの攻撃がこちらに通るかと言うと、そちらはほぼ無効化出来ている

体格の割には相手の攻撃に重みはあまりない。スピードで重さを乗せているという感じで、衝撃は確かにあるが、都度障壁で受け止めるくらいの余裕はある


「お互い決め手に欠けるね。しかもこのままだとジリ貧なのは僕らだ」


「分かってるわよ。そう言うなら知恵の一つでも貸してちょうだいね」


今、実戦で使えるレベルの耐久度がある障壁は同時展開で8個。この手数でどうやって攻めるか俺達は頭を捻り上げて行くしかない

魔法少女の変身時間に限りがあると言う特性上、長過ぎる膠着状態はこちらを不利にするだけだ


さぁて、どうするか


そう考えながら、俺はまた飛んで来た魔獣の拳を障壁で受け止め、その瞬間を捕らえるべく障壁を展開するも、既に魔獣は空中へと躍り出て、再びこちらの隙を窺い始めた


「アリウムフルール!!」


「アリウムさん!!」


長期戦を覚悟しつつ、ひたすらに次の一手を考えていた俺達の耳に不意打ち気味に届いたのはまだ到着しないだろうと予想していた魔法少女二人の声


「アズール!!アメティア!!」


『激流の魔法少女 アズール』『色彩の魔法少女 アメティア』。二人の魔法少女の増援はこの硬直状態に光明を見出すものだった


この二人はアリウムフルールにはない攻撃力と手数の多さを持った魔法少女。アズールの攻撃力とアメティアの豊富な属性魔法。そしてアリウムの障壁と回復魔法


無駄の無い、申し分のない布陣であることは確実。人数の有利も相俟って負ける要素はこれでなくなった


「あの魔獣の特性を」


「見ての通りのお猿さんよ。あっちこっち動き回るせいで、私の障壁じゃ捕まえられなくて困っていたの」


近くまでやって来た二人に、対する魔獣がどんなものなのかを実に簡単に伝えてやる


「へへ、じゃあやることは決まりだな。アメティア、頼むぜ」


「うん。私が追い詰めて、アリウムさんが捕まえて、アズールがトドメ。それでお願いします」


「任せてちょうだい」


するとあっという間に作戦会議は終了だ。お互いが何を得意かを知っているというのは作戦を立てる上でも重要で、そのくらいのことが出来ると言う認識もある


アメティアが簡潔にまとめた作戦に頷きで返すと早速、アメティアの色とりどりの属性魔法の弾丸が魔獣に向かって殺到する

一発一発は屋内であることを考慮して大したものではなさそうだ。代わりにワザと空いているスペースを作り、そこに魔獣が逃げ込んで、その魔法の弾丸をやり過ごす


そしたら俺の出番。次に動く場所さえ分かっていれば、捕らえることは簡単だった


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