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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
戦う理由と姉の矜持

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やさしさの意味

瞼の上から映りこむ光がやけに眩しい。寝るのは好きだけど、この日差しにたたき起こされる感じはあまり好きじゃない。

ただ、これを逃すと大概学校に遅刻する羽目になる。


アイツら、自分が遅刻しそうになった時は起こせだの文句を言うくせに、私が遅刻しそうになった時はてんで起こしやしないと来たもんだ。

朱莉に至ってはおちょくって来る始末。全く、可愛げのない奴に育ちやがって。


そんなことを逡巡しながら、ウチは嫌々ながら重い瞼を上げる。


「……どこだ、ここ」


目覚めた場所は、普段は見ない部屋で広くて清潔感のある場所だ。でも見覚えはある。

この街の魔法少女なら、数回は世話になってる病院。その病室だ。


ただ、なんでウチがここにいるのかがわからない。確か、【ノーブル】の連中と戦闘になって……。


「――いったぁっ?!」


何が起こったのかを思い出しながら、ベッドから身体を起こそうとすると全身に走った激痛でのたうち回ることになった。

その動きで更に痛むもんだからたまったもんじゃない。


痛みに涙ぐみながら唸っていると、誰かが病室に入って来る気配を感じる。


「先生―っ!!」


病室の入り口付近でバタバタと騒いでいるのを耳にしつつ、そっちに顔を向けると真っ先に飛び込んで来たのは全力でダッシュしてくるお袋の姿だった。


ベッドサイドまで駆け寄ってくるとペタペタとウチの身体を触ってるけど、それが既に痛いから勘弁してほしい。


「良かった、良かった……」


その後、ギュッと頭を抱えられる。いってぇ。めちゃくちゃ痛い。ただ、ろくすぽ動けやしないのでどうにも出来ない。


そこまでいって、ようやくウチがどうしてここにいるのかも思い出した。あぁ、ウチ、生きてたのか。率直な感想はそれだった。


「先生こっちこっち!!」


「早く来てください!!」


また病室の入り口もてんわやんわの大騒ぎをしているのが聞こえる。そうか、あいつらも無事だったか。良かった。


それだけで、ウチが身体を張った意味があるってもんだ。静かにホッと胸を撫でおろしていると、お袋が離れて代わりに白髪のおじさんがウチの隣に座り込む。

看護師さんにアレコレ指示を出した後、ウチに根掘り葉掘り色々聞いてきた後、うんうんと頷いてからお袋たちに話しかけて、病室を出て行った。


「碧、大丈夫?」


「何か飲みたいものとか食べたいものはありますか?」


「止めろよ、人を病人みたいに扱うのは」


朱莉と紫が心配そうな顔でのぞき込んでくるもんだから、思わず軽口で返す。

大した事ねぇっつーの。そんな大げさにしなくてもこのくらいならどうってことねぇよ。


なんて思って、返事をすると朱莉も紫もピタリと動きを止めて俯きだす。なんだ?と内心首を傾げていると、震えた声が返って来て。その瞬間にあっとウチの方が顔色を変えることになる。


「だって、だって、死んじゃうかもって……」


「うううぅぅぅぅぅっ」


ヤバいと思ったときはもう遅い。紫はぽつぽつと言葉を漏らしながら、朱莉は耐えるように服の袖を掴んで唸っていたけど、そのうち二人そろってわんわんと泣き出した。


こうなったらもうどうにも手が付けられないのは昔からの経験則で分かってる。ちびの頃は事あるごとに泣いてたのを宥めてたんだからな。


「な、泣くなよ。泣くなって。な?」


「自業自得よバカ娘。……どれだけ心配と掛けたと思っているの」


痛みで動かしずらい身体を何とか起こしつつ、必死で宥めるけど一向に泣き止む気配のない妹分二人に、こっちはたじたじだ。


ただ、お袋にまで言われるとウチはもう反論する余地も無くなる。お袋の目にも光るものがあった上に、どれだけ心配をかけたのかなんて察するのはあまりにも簡単だ。

ちょっと前に朱莉が大怪我した時だって、ウチは気が気でなかったんだから。


それでも、泣き続ける妹たちを宥めない訳にも行かず、必死にあーでもないこーでもないと声と身振り手振りで平気アピールをしばらく続けることにはなった。


たいへん、全然終わらない(いつものこと

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― 新着の感想 ―
[一言] うん、日常ですね!
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