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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
戦う理由と姉の矜持

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正体不明の魔獣を調査せよ

何かをされる前に反射的に出鼻を挫こうとパッシオと共に動く。

燃える花びらの障壁と同じく燃える尻尾による打撃。障壁で動きを制限させながら、尻尾による打撃を確実に打ち込む策。


「ふんっ!!」


ただその全方位から行った攻撃はシャドウが地面を叩き、地面が隆起したことで防がれてしまう。

防がれたことよりももっとまずいと思ったのは同時に煙幕を張られたことだ。


これでは狙いが定められず、攻撃を当てることが出来ない。特に接敵して攻撃するフェイツェイと狙撃をするノワールの支援はこれでほぼ無効化されてしまった。

狙撃は誤射の可能性があるし、煙幕の中に闇雲に突っ込むのは危険極まりない。


先程と同じように全方位攻撃を行うのは手ではあるが、相手がどんな手を用意しているかもわからないのでは手出しも躊躇われる。

こういった駆け引きが上手いのだ。本当に戦っていて厄介だと感じる。


「相変わらず判断から意思決定が早い。一番厄介な相手だ」


【True Memory(トゥルーメモリー), Earth drake(土龍)!! Pseudo Memory(スゥードメモリー), Soil(土)!! Double Slot(ダブルスロット)!!】


「それはどうも。私もあなたの相手が一番面倒よ」


背後からの声に間髪入れずにノールックで踵を後ろに蹴り上げる。感触は無い、事前に距離を取られていたようだ。奇襲ではなく別の目的、再び聞こえて来た電子音声、SlotAbsorberで何かをしたのだろうけれど、背後にいたということと初めて聞く音声に何をしたのかまではわからない。


振り返れば地面には穴が開いていてシャドウがその奥側に立っていた。そういえば、ルビーと私から逃げる時も穴を掘って逃亡していた。

これも土龍のメモリーの力ということのようだ。こと地面に関する事柄に関してはかなりの融通が利いてそうだ。


「よそ見をしてる暇があるのか?」


「してるつもりはないっ」


隙を狙ったフェイツェイのハヤブサのような急降下からの攻撃に対して、シャドウは岩石の弾丸を作り上げて上空に放つ。今まで無かった魔法による攻撃にたまらずフェイツェイは再び急上昇をしてこれをやり過ごしていた。


「さて、こちらも出し惜しみせずに行かせてもらうぞ」


その言葉の直後に辺りに砂塵が巻き起こり、視界が少し不明瞭な中。いつも通りの余裕を取り戻したシャドウに私は思わず舌打ちをするしかなかった。


先程の煙幕と同じだ。ノワールからの狙撃とフェイツェイの空からの強襲を同時に目くらましして潰す方法。

中にいる私は先ほどの煙幕ほどの濃さは無いのでシャドウを視認できるけれど、離れている二人からはこの砂塵の中を把握するのは難しいだろう。


口や鼻から砂が入るのも地味に不愉快だ。私は首に巻いてあるストールをマスク替わりに口元覆い隠させながら、パッシオと二人でシャドウと相対することになる。


少しの睨み合いの末、動いたのは同時だった。


隆起した岩の棘と障壁を変形させた茨状の棘がぶつかり合う。岩の棘は茨の棘を貫くが、茨の棘は岩の棘を蔓で絡めとって勢いを止める。

その間に近づいてきたシャドウにパッシオが迎撃。つかず離れずの距離で拳と尻尾の殴り合いが始まる。


殴り合い自体は数秒で終わった。腕二本、足を含めても四本の手数に対して、パッシオの自在に変化する尻尾は非常に有利だ。

押され始めたと認識した辺りでシャドウはすぐに一度後退して隙を探ろうという腹積もりだろうが、こちらは二人だ。隙などそうそう見せるつもりもなく、次の一手を放る。


「ちっ」


思わずしたのであろう舌打ちの音を聞きながら、私は宙に用意した二本の巨大な棘を時間差で投擲する。


どちらも燃える花弁の障壁を変化させて構築したものだ。熱量も物量も相当ある。当たれば土龍の外殻と言えどもただでは済まない。

ルビーに土龍に対してどう戦ったのかを聞いておいてよかった。焼き切ることが出来るのであれば、焼き貫くことも出来るだろう。


それが正解かどうかは、舌打ちをしたシャドウの反応を見れば分かることだ。


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