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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
戦う理由と姉の矜持

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正体不明の魔獣を調査せよ

調査が始まるのは明日。各自一度戻るのかと思ったんだけど、どうやらそれは違うらしい。


「魔法少女用の宿舎って、それ私が使って大丈夫なの?」


「大丈夫大丈夫。雛森さんには許可取ったし」


ぐいぐいと腕を引っ張って私を先導するのは朱莉もといルビー。重要な任務の前だっていうのに妙に気楽で楽しそうだ。

修学旅行じゃないんだから、外泊くらいではしゃぎ過ぎだと思う


「宿舎って言ってるけどどっちかと言うとアパートって感じだな。飯だけは言えば出してもらえるけど後は自分たちで的な」


「今回は特に緊急だったからもしかしたら誰もいないかも知れませんね」


「まぁ、各自夕飯は取った頃じゃないっすか?後は寝るだけなら問題ないっすね」


庁舎の中を我が物顔でぞろぞろと歩く私たちは、魔法少女がこういった長期の任務の時に寝泊まりするための魔法少女用の宿舎へと向かっている訳だけど、それ私が使っていいのだろうか。


それは政府所属の魔法少女達のモノで、野良のために用意されたものではない。それに、政府機関である魔法庁の施設で変身を解除しても大丈夫なのかとか色々頭の中に浮かんで来る。


「それに関しては大丈夫だろう。魔法少女用宿舎とは言うがその実態は……」


そう言って、魔法庁支部庁舎から離れた場所にある、また別の柵に囲われた区画の中。そこにある建物の扉を無造作に開くと。


「ウィスお姉ちゃんが占拠してるから」


「……」


その中は雑多な物で溢れかえった、ひじょ~~~に生活感の溢れた空間が広がっていたからだ。

えっ、ここで寝泊まりするの私たち?


「うわっ、きったないっすね」


「それ以上は藤姉さんのためにも言わないでやってくれ」


ドストレートなクルボレレちゃんの言い分に、思わずフェイツェイがフォローを入れるけど、これは……。

形容しがたい汚部屋ならぬガラクタ屋敷のどこで寝泊まりすべきかと頭を抱えつつ。今日も世界のどこかで活躍しているであろうS級魔法少女ウィスティーさんの評価がほんのり下がった。


人間、必ずどこかに欠点があるんだね。








そんなお気楽なひと悶着を必ず挟まなきゃ気が済まないのかと、どこからともなく叱責の声が飛んできそうなモノだけど、世界各地のお土産や置物などなどで通路まで侵略されている宿舎の中でも比較的マトモな一室で私たちは雑魚寝をして一夜を過ごした。


「皆さん。よく眠れましたか?」


「その如何にも寝てなさそうな顔で言われても……」


明朝。まだ薄暗いどころかほぼ夜の6時に起きた私たちは身だし並みを整えてから改めて庁舎の中、昨日の会議室へと出向くと、いかにも寝てませんと言った隈を作った雛森さんが口調だけはいつも通りに受け答えしていて不気味だ。


「すみません、徹夜作業になりそうなので一度メイクを落としたので」


「もしかして普段からその隈ですか」


「お恥ずかしながらここ最近は」


誰か今すぐ労働基準監督署に電話するべきだ。このままでは雛森さんが過労死してしまうのではないだろうか。

真面目に心配だ。目に酷い隈を常時作ってる人などヤバい以外のなんと言えば伝わるのだろうか。


早急に休んだほうが良いと思う。


「というわけで雛森さんとはバトンタッチで私、ウィスティーが今回の指揮を執るよ」


「うひゃあぁっ?!」


「にゃああぁぁっ?!!」


雛森さんのことを本気の本気で心配していると、不意に肩に手を置かれ隣にいた朱莉と一緒に飛び上がる。

揃ってその場から飛び出すと、お互い大慌てで千草と碧ちゃんの後ろに隠れてその犯人を睨み付けた。朱莉は威嚇の鳴き声のおまけつきである。


「おっ、良い反応でお姉さん嬉しいね。魔法少女ウィスティー、改めて東風 藤子だよ。藤姉って気楽に呼んでね。アリウムちゃん」


パチンとウィンクをしてスーツケース片手に立つスレンダーなお姉さんが魔法少女ウィスティーこと、東風 藤子さん。

現役最強の魔法少女の内の一人で、あのガラクタ宿舎を占拠している人らしい。


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― 新着の感想 ―
[一言] これがギャップか
[一言] 野暮を承知で申し上げると、労働基準監督署は公務員を守りません。 法律で適用除外、大袈裟に言えば公務員は必要なら死ねと規定されてます。 というか強制労働省自体がトップクラスのブラック官庁だし。…
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