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それぞれの魔法少女

こちらの売り場の方に来ると、シューズのデザインは男性が好む黒や濃い青などから、白や挿し色の赤と言った、万人受けしやすい色つかいとシンプルなデザインに変わって来る


シンプルなのも悪くないのだが、どうせならカッコいいのが良いと思うのはもうどうしようもない。なにせサイズが無いのだから


「あれ?真白さんはメンズの方で選ぶんじゃなかったんですか?」


ここまで来ると女性向けのデザインを扱う方へ行っていた3人の姿も見える。その中をフラフラと歩いていると、紫ちゃんが俺の姿を見て声を掛けて来た


売り場で別れる前に、男物の方で選ぶと言っていたのにこちらへ来たのだから彼女の言い分はごもっともだ。仕方ないじゃないか、サイズが無いんだから


「あー、サイズが無くてな、諦めた」


「……真白さん、その、小柄ですもんね」


中学生に気を使われる26歳、男性。ツラ過ぎる


「ま、いつもの事だから良いんだけどね。潔く男女兼用のシューズを選ぶよ」


「それなら一緒に選びませんか?私もちょっと悩んでて」


「良いよ、良さそうなの有ったら教えるよ」


紫ちゃんもシューズ選びで悩んでいたらしい。どちらかと言うと、彼女の場合はデザイン選び、という点だろうけど一人で選ぶよりは良いかも知れない


他の二人は少し離れたところを物色している様だし、俺は紫ちゃんと二人でシューズを選ぶことにした





そうやってシューズ選びに時間をかけ、俺のウェア選びにもそこそこ時間を掛けて、無事に購入を終えると、俺達は1階に戻って、お昼ご飯を取ることになった


ついでに買った物の公開だ。俺と紫ちゃんは買ったシューズは知っているが、残る朱莉ちゃんと碧ちゃんのシューズがどんなものなのかは見ていない


なお、お昼は某有名ドーナツチェーン店だ。ミートパイなども意外と置いてあり、元々食の細い俺にはこのくらいで充分である


「で、皆どんなの買ったんだよ。ウチはこれ!!朱莉はこれの色違いだぜ!!」


「ちょっと、それじゃあここで見せる意味がないじゃない。まぁ、一応こういうのを買いました」


いつも元気いっぱいに喋る碧ちゃんは全体的に青に染まったシューズだ。そして、朱莉ちゃんはそれと同じデザインの赤色


そのシューズのメーカーとデザインを見て、俺と紫ちゃんは目を合わせてキョトンとした後、お互いクスリと笑う


「ん?なんだよ二人とも笑って、何かおかしかったのか?」


「いや、ちょっとな。まさかそうなるとは思わなかったから」


「はい、ちょっとビックリですね」


そうやって、俺達も買ったシューズの箱をぱかりと開ける。そこには、それぞれ同じデザインの色違いが収められていたのだ


4人とも、特別意図することなく同じデザインの色違いを選ぶとは、何というか特に面白くも無いのに笑ってしまう


因みに紫ちゃんは淡いパープルカラー、俺は全体が真っ白な白一色の物だ


「あ、皆同じシューズを買ったのね」


「ね、少し可笑しくて笑っちゃった」


にこにこと笑う面々に、ちょっとした奇跡みたいなことが起きた事は何とも必然のようにも思える。それくらい、3人は仲が良い


「へへ、そんだけウチらの仲が良いってことだろ。真白も新しく仲間になったし」


「おいおい、俺はだいぶ年上なんだけどな」


「なんだよ、真白はウチらと友達じゃないって言うのかよ」


「それはちょっと心外です」


「ひどーい」


さりげなく俺もその仲間内にカウントされていることに抗議ではないが、ちょっと違くないかと意見したらまさかの猛ブーイングを喰らい、俺はすぐさま降参する


確かにいくら年が離れていたって、一緒に買い物に出るくらいには仲が良い。それはもう友達と呼べる範囲内だろう


「39番のお客様―」


そうやって騒いでいると、商品受け渡し口にいる店員から、俺の持つ受け取り番号が書かれた番号を呼ばれる。メニューの中にはその場で作ってくれる物もあるのがテイクアウトしない時のちょっとした楽しみだ


「悪い、ちょっと行って来る。先に食べてて」


そう言って俺は席を立ち、受け取り口で商品を受け取ろうとした、その時


「真白、魔獣だ!!」


フードの中にいるパッシオから小さくもハッキリとした警告の声と共に、店内のガラスが割れる音と悲鳴が響き渡った


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