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魔法少女アリウムフルール!! 魔法少女を守る魔法少女の話 + 魔法少女を守る妖精の話  作者: 伊崎詩音
戦う理由と姉の矜持

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お袋とウチと親父候補

「なんて?」


学校から帰って来て、夕飯明け。いつも通りダラダラとテレビを見ながら座布団の上でゴロゴロしてたウチは、お袋から聞かされた話に思わず顔を上げた。耳を疑ったというか、寝耳に水っていうか。


完全に予想もしていなかった話を聞かされて、思わず聞き返していた。


「だから、その、お母さん。彼氏が出来るかも知れないんだけど」


「うん、うん?」


二度目を聞いても頭の理解が全く追いつかない。お袋に彼氏?いや、言ってることはわかるけど、自分の親に彼氏ができるかもしれないとか聞かされても、なんて返したらいいのかさっぱりわからない。

これなんて返すのが正解なんだ?


すっかり困惑しきってるウチに、お袋の方もようやく気が付いたようで、あまり見たことのないテンパってる感じの身振り手振りをしながら、ウチにも分かり易いようにと本人なりにかみ砕いて説明を始める。


「ほら、この前パーティーに参加したでしょ?」


「あぁ、あん時のね。それで?」


先日警護にあたったパーティーの話は記憶に新しい。暇で暇でしょうがなかったのもそうだけど、お袋がパーティーに参加していたってことが一番の衝撃だ。


あの後、意を決したようにお袋が元お嬢様で、ウチがどんな風にして生まれたのかを聞かされたけど、感想としてはなるほどなぁ。って言う納得があっただけだ。

お袋はてっきりウチからなんか言われるのかと思ったみたいだったけど、自分の出生がどうのとかお袋の実家がすげぇ大豪邸を持つような金持ちだって聞かされても、ウチからすればピンと来ない。


だって見たことないし、ウチが知ってる家の現実はお袋が必死こいてウチを育ててくれたってことだけだ。お金持ちの実感なんてないし、縁切った実家が金持ちでも何の意味もねぇし。


親父に関しても、ウチは顔も知らなければ見たことすらない。どこにいるのかも知らないし、親父がいないのはウチにとって当たり前だ。

その話を聞かされても、やっぱりピンと来ない。


ウチがこの前不満だったのは、お袋の言い方が気に食わなかっただけで内容については割とどうでもいい。


そのことを伝えたら、ポカンとされた後に大笑いされて、抱き上げられた挙句ベッドにぶん投げられた。

意味わからなかったけど、お袋が嬉しそうだったから良しとする。


で、そのパーティーでまた何かあったのか?


「実はその時にね、結婚を前提に是非って言ってくれた人がいてね。すぐにはお返事は出来ないから、折り返しでこの前連絡をしたんだけど」


「物好きもいたもんだぁててっ?!」


軽口を叩こうとしたらお袋に思いっきり拳骨を頭に叩き込まれてウチは座布団の上をのたうち回った。

だってそうじゃねぇかよ。


ウチだってそうだし、お袋だって正直ガサツなほうだ。口は悪いし荒っぽい性格は親子ともどもってやつで、お袋は若い頃はモテてもアレだったし、正直ウチはモテた試しがない。

そんなのに惚れるなんてもの好きじゃんかよって思いながら、抗議の視線を向けるけど、睨み返されて終わった。


ふう、ウチはお袋の拳骨と説教がこの世で一番怖いんだよ。


「とにかく、その人に連絡が取れて、明後日の夜にご飯に誘われたから、アオも来なさい」


「え?ウチも?そういうのは二人で行くもんなんじゃねぇの?」


てっきり、その日は留守番を頼んだ的な話だと思ったら、その逆。ウチもそのデートに連れて行くらしい。


いや、折角の初デートなんだからお邪魔虫のウチが一緒にいるのは迷惑になるんじゃねぇかなって思うんだけど、と素直に伝えるとお袋を首を横に振って違うと答えた。


「そりゃ、確かに男女のデートにはなるけどね。私としては私の夫じゃなくて、アオの父親として関わって欲しいって思ってるから」


「ウチの親父?」


なんだってそんなことをわざわざするんだか。結婚するのはお袋とその男の人で、ウチは言ってみれば金魚の糞だ。

二人の生活の邪魔になるようなら静かにしてるし、その気になりゃ家を出てくのも選択肢だろうに、って考えてるとお袋からは馬鹿な事考えてないで、ちょっとこっちに来いと手招きされる。


ダイニングにおいてあるテーブルに用意されてるのは、綺麗に手入れがされたスプーンとナイフのセットと真っ白な皿が一枚。それが向き合うように2セット置いてあった。


何に使うのかと首をかしげていると、座るように促されてされるがままに座る。


「とりあえず、今からテーブルマナーを叩き込むからしっかり覚えなさい」


「げえっ……」


待っていたのはお袋直々のテーブルマナー講座。普段は気にしないくせに、いざとなるとうるさいのは身にしみてわかってるから、ウチはげんなりとしながら逃げられないことを確認して、渋々教えられたことを頭と体に叩き込んでいくのだった。


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