気が付いたら
担当の先生に遅いぞと小言を言われながらもお咎めなしで無事間に合った私たちは、授業自体も何事もなく熟した後、昼食をとるために食堂へと足を運んでいた。
「最近ちょっとボーっとし過ぎじゃないか?」
「んぐっ、そう?」
もうすっかり慣れてしまった高級食材を使ったメニューを口にしている私に、千草は眉尻を下げて最近の私の様子について、苦言を漏らしていた。
そんなにボーっとしてるつもりはないんだけど、考え事というかちょっと気を取られてるというか気が付いたら考えていることは確かにある。
「パーティーが終わってから変っていうか、妙に物思いに耽ってるって感じだよな」
「なにかあった~?」
一緒に食べている優妃ちゃんと美海ちゃんにも心配されてしまって、やっちゃったなあと反省する。
確かに普段ならボーっとし過ぎて授業に遅れかけるなんてことはなかったし、話しかけられてようやく現実に戻ってくるなんてことも今までなかった。
「いやー、ちょっと考え事というか、不思議なことがあったからあれなんだったんだろうなーってついつい考えちゃって」
「へー、どんなことなの~?」
美海ちゃんに何を考えているのかを問われて、先日のパーティーで助けてくれた男の人のことを話す。
なんだか私のことを知っている様子だったんだけど、私は男の人の知り合いなんて玄太郎さんや十三さん、田所さんくらいしかいないし一体誰なんだろうなって思うし、お礼もしたいし、もう一度会えたらなって思うってことを伝えると、おぉっ?!と皆が盛り上がる。
「え、なになにイケメンさん?どんな人なの~?」
「面白そうな話じゃん、詳しく聞かせろよ」
「そのことについて考えてたのか。まぁ、確かに気になるところだな」
三者三様の反応でこそあるものの、色めきだった反応に私は少し引き気味にのけぞって、食いついてきた皆にどう説明しようかと悩む。
薄暗い中抱えられて短い距離を進んだだけだし、会話というよりは一方的な話を聞いただけで一体彼がどこの誰で、どうして私のことを助けてくれたのかも分からない。
「なんて言って助けてくれたの~?」
「確か、お姫様だとかなんだとかは言ってたけどなんでそんなこと言ってたのかはわからないし……」
「へー、ってことは結構キザな奴なんだな。真白はお姫様っぽいしな」
「もー、やめてよー」
茶化してくる美海ちゃんと優妃ちゃんのせいでなんだか恥ずかしくなってくる。二人がきっと思ってることのようなことはないのに、もうすぐそういう方向に持ってくんだから。
私はただあの男の人が一体どこの誰で、どうして私のことを知っててそして助けてくれたのかがどうしても気になるだけなのに。
「私も確かに気にはなるがな。妹を助けてくれた御仁にお礼も言いたいし、どんな人なのかも見てみたいな。……イケメンだったら真白もその気になるんじゃないのか?」
「千草まで!!違うってば!!」
にやにやとした笑い方でからかうように言ってくる千草に頬を膨らませて怒った顔をして見せる。
悪い悪いと笑って応える千草にぷくーっと膨らませた頬をぶしゅっと潰されてほっぺをもみもみされる。
「相変わらずよく伸びるな」
「のはすなー」
伸ばされるほっぺをむにむにされながら、皆でじゃれていると騒ぎを聞きつけた他のクラスメイト達も寄って来て、なんだなんだと私たちに声をかけて来る。
これは良くない流れだ。三人にあることないこと適当なことを吹き込まれて盛り上がってしまうに違いない。
なんとかして止めようとするけど、千草からの妨害で私からの説明を遮られてしまう。最近ちょっといじわるじゃない?
素が出て来たのかなとも思うけど不服です。
「真白ちゃんに王子様が現れたっぽいよ~」
「えー!!詳しく聞かせて!!」
案の定、美海ちゃんから全然違うことを聞かされたクラスメイトは、コイバナの予感にノリノリで目を輝かせながら私の方へと視線を向ける。
完全にロックオンされてしまった。しばらくは何を言っても「またまた~」なんて言って離してもらえないに違いない。
「だから違うんだってば―」
私の必死の弁明がむなしく食堂へと響いたのだった。
そういえばですが、12月22日は真白ちゃんの誕生日なので、何かしたいのですが忙しくて首が回っておりません……。
当日、祝ってくれたらとても喜ぶので、よろしければ感想やTwitterのリプライなどなどにお祝いの投稿をして頂ければ、なんて思います。




