諸星家主催のパーティーにて
諸星主催のパーティー、という大舞台というのだろうか。そこで会長である壇さんの弟、玄太郎さんの養子候補として新たに紹介された私は、定期的にラウンジで休みながら食事や催し、参加者との簡単な会話などを熟していた。
そのはずなんだけど。
「ど、どうしよう……」
諸星 真白、16歳。現在、迷子である。
弁明させてほしいのは決して自分からチョロチョロしたわけじゃないということ。千草がお客さんとお話ししているときに、近くのテーブルに美味しそうな和菓子のコーナーがあったからそこに釣られ……。あれ、これ私が自ら迷子になったパターンでは?
んんっ、ともかく私から目を離した千草を探さなくてはならない。私から目を離さないとか言ってたのにあっさりこれである全く。
「……きゅー」
「うっ、分かってる。ちゃんと自分で探すってば」
言い訳をつらつらと脳内に浮かべているとマフラーの中から顔を出したパッシオから無言の圧が飛んで来る。
でも、マフラーの中でウトウトしていたパッシオにも問題があると思う。ボディガードを自称するなら、ちゃんとそういうところも見てて欲しい。
キョロキョロと辺りを見回すけれど、あいにく会場内のステージで催されているパフォーマンス、どうやらマジックショーのようだけど、私からは周囲の大人たちのせいでよく見えないし、ショーを演出するために会場は照明が一時的に落とされ、ステージ上だけがライトアップされている状態。
薄暗く、人を探すのには不向きだ。
「パッシオ、探せる?」
「人が多すぎて無理」
会場としては広いけど、それでも人口密度で言えば相当なモノ。その中で特定の人物を探し出すのはパッシオにも難しいみたい。
もとより魔力察知は人間よりずっと上だけど、それ以外の五感はそんなに変わらないみたい。見た目が動物っぽいだけでこの世界の動物ではないから当然といえば当然だし、魔法少女は変身してないと魔力探知が難しい。
結局、私たちははぐれた千草と墨亜か、私たちの知り合いをこの薄暗い、互いの表情を窺がうことも難しい会場で見つけ出さなくてはならないようだった。
「闇雲に探してもしょうがない。僕が皆を探してくるから、真白は壁際で待っててよ」
「うん、よろしくね」
人ごみが苦手なうえに、こうも薄暗いと動き回るのも大変だし、パッシオの提案には賛成だ。
小声で会話をしながら壁際に移動すると、パッシオがじゃあちょっと待っててねと言ってタタタッと身軽な足音を立てながら、視界から消えていく。
「……」
パッシオが離れて、1分もしないうちにソワソワとし出した私はその感情を隠すようにイキシアを取り出して、ポチポチと朱莉ちゃんに教えてもらったソーシャルゲームの画面を立ち上げる。
ソワソワの原因はわかってる。単純に不安なのと、一人という環境が寂しいのだ。
完全に一人なのはパッシオと出会ってからほとんどない。特に諸星に来てからは、常に誰かがそばにいるのが当たり前だったし、そうじゃないとどうしようもない私の状態もあった。
最近はずいぶん落ち着いたから良いけどね。とにかく、出来るだけパッシオには諸星家の誰かを見つけてもらうとしよう。この際雫先生でも良い。
そんなことを思いつつ、壁に寄りかかりながらイキシアの画面を操作する。
「えっと、確かまずはストーリーを進めてっと」
朱莉ちゃんは結構なゲーマーで、休みの日はよくゲームをしているみたい。碧ちゃんや舞ちゃんもそれなりにゲームを嗜むみたいで、ちょっと意外だなって思った。
私的にはあまり女の子がゲームをするという印象があんまりなかった。これも古い価値観なんだなと分かったのはみんなと遊ぶようになってからだ。
お嬢様学校でも、話を聞いてみれば意外とみんなゲーム機の類は一台くらいは持っていた。
流石に男子みたいに現行のゲーム機を全部持っているということはないみたいだけど、携帯ゲーム機とか、家族や兄弟姉妹で遊ぶ用にと置いてあったりするらしい。
その中でも、みんなが意外にやっているのはスマホのゲーム。通称ソシャゲと呼ばれているジャンルのゲームだった。




