諸星家主催のパーティーにて
「パーティー?」
「えぇ。本家主催のパーティでね。諸星グループの創立記念を祝って、毎年この街で執り行われるの」
学校を終え、訓練も終え、シャワーで汗を流すっていう毎日の日課を熟した後の家族団らんの夕食の時間に光さんにそう告げられた私は、首をかしげて答えた。
諸星グループ本家主催のパーティ。
そういえば毎年この時期にニュースで大々的にやっていた気がする。街全体でも、世界中から集まる有名企業のトップやら、政界、財政会などなど、お偉い様たちが集まって、壊滅した物流を復活させた諸星グループの現会長の諸星 檀さんを労い、交流を深めよう的な物だ。
実際は政治的経済的な諸々の事情をたぶんに含んだラフな国際会議に近く、魔法少女も護衛に駆り出される重要なもの。
そんなパーティーに私も出席してほしい、ということらしい。
……なんで?
「あぁ、もうそんな時期か。まぁ、実際は大人たちが大義名分で集まる大宴会だ。真面目な雰囲気は公開される最初の一時間だけだから安心しろ」
「お小遣いたくさんもらえるよ!!」
「えぇ……」
それでいいのか世界のトップ。その大宴会のガードに駆り出される人たちも不憫でならない。
光さんも美弥子さんもその話を聞いて苦笑いなところを見ると、概ねそれは事実らしい。
「兄さんは祭り好きだからな。今回、真白を連れて来てほしいというのも兄さんの要望でな。真白の容体が最近は安定してるとは言え、大人数がいるところには連れていけないとは何度も言ったんだが、専用のラウンジと何かあった時の対策は万全に講じると言ってきかなくてな……」
「檀おじさんは強引だからな……」
「ヒゲじょりじょりされるから気を付けてね」
世界を牛耳ると言っても過言ではない諸星のトップともなると全て有言実行するのだろうから大変困る。
どこまでが本気と言われれば、おそらく全部本気だ。あとヒゲじょりじょりは想像するだけで嫌だからご遠慮願いたい。
「お兄さんというのもあって無碍にも出来ないし、私ももっと時間がたってから小さなホームパーティでって思ってたんだけどね。真白の話をしたら今すぐ会いたいって聞かないのよ」
「……ロリコン?」
「きゅ~」
思わずそういう感想を言わずにはいられない。私はあくまで諸星の保護を受けているのであって、養子でも何でもない。
いや、諸星の保護を受けている以上はいつかはご挨拶しなくちゃいけないんだけど、それにしても強引。
もうちょっと段階というものがあってもいいと思うのだけれど、まぁ忙しいから会えるチャンスの時に、ということなのかも。
実際、私の立場からしても無碍に出来ないので、受けるしかない。
千草からもいつかは出ることになると思うっては言われていたし、今回がパーティーデビューということになるのかな。
「そんな感じだから、この後お洋服の採寸とドレスの見繕いをするから、お部屋にいてちょうだい」
「ドレスかぁ~」
ひらひらする洋服は可愛いけど、ドレスとなると少し気恥しい気もする。というか、光さんの事だからフリルマシマシ少女趣味全開のドレスにされかねないからそれだけは阻止しないと。
アリウムの格好についてはあれは魔法少女の正装なので良しとする。というかあれ以外はロゼになる以外方法ないし、どのみちロゼの格好もドレスじゃん。
あれ、もしかしてドレスには着慣れているのでは……?
「千草はどんな格好するの?和服?」
「なんでだよ。私も一応パーティドレスさ。カジュアルドレスというやつだな」
「千草、可愛いの着てくれないのよ」
可愛いの着てほしいのに、と漏らす光さんに千草が顔を赤くしながら反論している。あの顔は一度ひらひらのドレスを着させられたとみた。写真あるだろうからあとで見せてもらおうっと。




