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それぞれの魔法少女

魔力を伴った強力な攻撃。障壁一枚では防ぎきれないと判断した俺は、さらに障壁を増やすべく魔力と共に手を前へ向ける

いくら障壁が殆ど予備動作が必要ないとは言え、迅速に展開するなら身振り手振りがあった方がスムーズに、そしてイメージ通りに障壁が展開できる


そうやって障壁を追加で三枚、先程の合わせて合計四枚の障壁を展開しながら、更に俺はその場から離れる為に後方にステップしようと足に力を籠めると


「ちょっとアズールちゃん!!なにしてるの!!」


大きな怒号が飛んで来て、ビクリと俺とアズールの身体が止まる。明らかに怒気を孕んだその声の方へ視線を向けると、『色彩の魔法少女 アメティア』が宙にふわふわと浮きながら、アズールを睨みつけていた


「いや、ウチはコイツをとっ捕まえようとだな……」


「その必要があるのですか?」


「だってよ、コイツは俺らの獲物を横取りしようと……」


「その根拠はあるのですか?」


「じゃなきゃ、私らから隠れる必要が無いだろ……?」


「彼女にその意志の有無を確認したのですか?」


「だから、そのためにとっ捕まえようと……」


「それならこちらから問いかければ済むことです。何故貴女は明らかな敵意と負傷させるつもりと判断できるほどの魔力をその戦斧に纏わせているのですか?」


「えっと、その……」


あっという間に尻すぼみになっていくアズールの回答に憐れみを覚えつつ、俺はふうっとため息を吐いて魔法少女との戦闘は一先ず回避できたようだと安心をする


こちらに対して攻撃的な意思を持っていたアズールが、目の前で一緒に行動している仲間のアメティアに正論でボコボコにされてどんどんと小さくなっていくのは、見れば見る程可哀想になって来る


「良いですか?まず、私達魔法少女が政府に属するか否かは、あくまで任意です。法律で定められたルールではありません。確かに政府所属になれば様々な恩恵を得られますが、同時に魔獣を討伐しなければならないと言う危険な義務も生じます。それを了承出来ない、隠れの魔法少女がそれなりの数いることは、貴女も知っている筈です」


アメティアの言う通り、魔法少女の中には大別される二つの魔法少女の他に、もう一つ隠れの魔法少女、という分類も存在する


彼女達は魔法少女になれるが、魔法少女として戦いたくないと言う選択をした少女達の事を指す

別にこれに関しては何の不思議もない。むしろ10代の少女達に魔獣と言うバケモノと戦えと言う方が酷なのだ


この隠れは、政府所属の数倍の数がいるのではないかと言われているが、戦いたくないと主張する彼女達を、無理矢理戦いの場に引き出すなど、人権問題にかかわる


この国を始めとした、多くの国家がこの隠れを容認している訳だ。代わりに、政府所属となった魔法少女は手厚く保護し、歓迎している訳である


「じゃあ、何でアリウムは政府に所属してないんだよ。戦ってるじゃないか」


「野良と隠れは違います。隠れはそもそもに魔法少女になろうとすらしません。対して野良は、何らかの事情で政府に所属しない、出来ない魔法少女達です。確かに犯罪行為に利用するために魔法少女の力を使う不届きな者もいますが、同時に私達と同じ様に魔獣の脅威から民間人を守っている野良の魔法少女だって沢山います」


さて、では野良の魔法少女と言うのはどんなモノなのか、改めて説明するとアメティアの説明にも有った通り、何らかの理由で政府に所属しないor出来ない魔法少女達を指す


俺、アリウムフルールがまさしくその例だ。元が男と言うとんでも爆弾を抱えている上に、魔法少女や魔獣が現れる原因になった妖精をお供にしているのである。政府所属になったらどうなるか分かったものではない


他にも反対する親に隠れて魔法少女として人を助ける為だったり、そもそも政府所属という制度を子供であるが故に知らなかったりなど、その理由は様々


中には、犯罪に加担するために魔法少女の力を振るう魔法少女も一部存在する。こちらは立派な捕縛対象。早い話アズールとしては、野良とはこの犯罪側の魔法少女だと疑うのが筋、という考えなのだろう


その考え方自体は別に間違っていないと思うが、それで怪我をさせられる方はたまったものではないので、アメティアのような穏健に済ませようとしてくれる魔法少女の存在は大変ありがたい

さて、そろそろ言い負かされているアズールが泣き出しそうだ。助け船を出してやるとするか……


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